1 / 5
白鳥
しおりを挟む
初冬の新聞配達は寒い。昼間は日が照り暖かいのだが、新聞を配達する時間帯となると上着を着なくてはいけない。
安い時給にため息をつきながら、自分には縁のない一軒家が多く並んだ住宅地を歩く。白鳥の鳴き声が聞こえた。上を見上げると、北へ白鳥の群れが飛んでいく。それを目で追っていると、ふと、マンションの二階の窓が見えた。
それは閑静な住宅地に似合う、レンガ調の二階建てマンションだった。
白いカーテンがひかれたその窓を見上げていると、すうっとカーテンが開いた。何が現れるのだろうと緊張していると、黒の長い髪がぬうっと出てきた。心霊の類だろうかと身を構え、尻ポケットにしまっていたスマホに手をかける。
窓のそばは物を置く程度のスペースがあるようで、黒髪はゆっくりとその上にのぼった。無地の白いTシャツ一枚をまとったその姿は写真集の一ページのような作られた姿に見える。
見せつけるように、黒髪はTシャツを下からゆっくりと捲った。じらすように白い太腿が見え、遠目ではよく見えないが、人間の急所が露わになる。出っ張りが見えず、黒髪が女であるのだと確信した。
Tシャツは黒髪が絡まりながらも、するすると上にのぼっていく。へこんだ腹が姿を現し、ついに胸部まで披露された。Tシャツが頭から抜け、さらりと黒髪がゆらめいた。
その肢体は全体的に肉が無く、日の光を知らないと言わんばかりに白い。
女は膝立ちをすると、影っている股の間に手を滑りこませた。ゆっくりと前後に手が動いている。半開きの口からは甘い吐息が漏れているように見える。
ふと、女と目があった気がした。黒く大きな瞳が獲物を捕らえた視線を向けている。
跳ねるように、その場から逃げた。
あとから聞いた話だが、あのあたりに一際目立つ美人がいるらしい。毎晩違う男と歩いている姿を目撃されている彼女は、目が合った人間を誘っているそうだ。
「私を見て」
安い時給にため息をつきながら、自分には縁のない一軒家が多く並んだ住宅地を歩く。白鳥の鳴き声が聞こえた。上を見上げると、北へ白鳥の群れが飛んでいく。それを目で追っていると、ふと、マンションの二階の窓が見えた。
それは閑静な住宅地に似合う、レンガ調の二階建てマンションだった。
白いカーテンがひかれたその窓を見上げていると、すうっとカーテンが開いた。何が現れるのだろうと緊張していると、黒の長い髪がぬうっと出てきた。心霊の類だろうかと身を構え、尻ポケットにしまっていたスマホに手をかける。
窓のそばは物を置く程度のスペースがあるようで、黒髪はゆっくりとその上にのぼった。無地の白いTシャツ一枚をまとったその姿は写真集の一ページのような作られた姿に見える。
見せつけるように、黒髪はTシャツを下からゆっくりと捲った。じらすように白い太腿が見え、遠目ではよく見えないが、人間の急所が露わになる。出っ張りが見えず、黒髪が女であるのだと確信した。
Tシャツは黒髪が絡まりながらも、するすると上にのぼっていく。へこんだ腹が姿を現し、ついに胸部まで披露された。Tシャツが頭から抜け、さらりと黒髪がゆらめいた。
その肢体は全体的に肉が無く、日の光を知らないと言わんばかりに白い。
女は膝立ちをすると、影っている股の間に手を滑りこませた。ゆっくりと前後に手が動いている。半開きの口からは甘い吐息が漏れているように見える。
ふと、女と目があった気がした。黒く大きな瞳が獲物を捕らえた視線を向けている。
跳ねるように、その場から逃げた。
あとから聞いた話だが、あのあたりに一際目立つ美人がいるらしい。毎晩違う男と歩いている姿を目撃されている彼女は、目が合った人間を誘っているそうだ。
「私を見て」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる