愛なんて言葉だけだ

ヤクモ

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 彼に言えないことがある。

 中学生の卒業式、同級生に告白された。付き合ってほしいとは言われなかった。私はそいつに対して性の感情を抱けなかった。だから、何も言わなかった。付き合って、と言われたらNOと言えたのに。

 年賀状を送りたいと言われた中二の時以降、私とそいつはペンフレンドのようになっていた。
 基本的にあちらから手紙がきたら、私は返事を書く。2、3ヶ月経ち、またあちらから手紙が届く。
 手紙の内容は他愛の無いことばかりで、誰かに見られても支障のないものだ。

 彼と付き合っている今でも、そのやり取りは続いている。やましいことはない。私はやはりそいつを性的には見れないし、彼とそいつのどちらかを選ばなくてはいけないとき、迷わず彼を選ぶ。

「愛してる」
「うん」
 彼の囁く愛に縋りながら、ふと、手紙に何て書こうか考える。

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