夢幻廻廊の国

赤麦雅屋

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終幕

終わらない序幕

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      我らが住まうは流浪の国
   ──魂を捧ぐことこそ美徳とする
      我らが生きるは無碍の国
   ──故に獣は居場所を求める騎士団を滅ぼす
      散り逝く言葉は蛮語の国
   ──名もなき詩を伝言する夢の住人が追われる
      散り逝く運命は狂乱の国
   ──夢は後になって鏡の存在に気付く
      鉄鎖が絡むは手枷の国
   ──詩は同一の末路に辿り着くと残酷な神託
      鉄鎖の錠は血書の国
   ──罪を庭に集めた君は笑う
      ただ其処に在るは虚妄の国
   ──虹の橋を渡る足音は絶望を運ぶ
      ただ底に在るは追憶の国
 

     立ち寄る別記
     それは利己の名を燃やす得手
     名もなき詩 名もなき国
     魂の証左を拒む場所


     夢幻廻廊を隣り合わせに
     彼の国は誰が為に遺されたのか

     知る術はなき 夢物語か
     詩人が独り 詠うのみ


   あなたが内側に辿り着かぬことを願いながら
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