名もなき詩を幻影の世に捧ぐ

赤麦

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蠍は深紅の水神と聖職者を底に誘った

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   抜け殻と化した我が身の傍で
   最後の歌を君は紡ぐ
   赤い花を水面に落とし
   真っ赤な嘘に染め上げた

   それが神託だと誰が言った
   其処に辿り着いてしまうのか
   世界が反転する日を君は願うのか
   女神とよく似た色を孕みながら





 【蠍が見た夢】

   琥珀の中の我が魂
   愛する者を失った自責の念
   悪戯に生を貪る暗愚王
   炎の扉を開く鍵
   虚ろな肉体に流れる歌は



 【深紅の花が咲き誇る岸辺】

   美しきは生命の色
   溢れる血潮はあなたの名
   触れることを望み触れられることを拒む
   此処に辿り着いてはいけない
   魂の花が咲き誇る其処へは



 【水神と待つ門番】

   母なる海の守り神
   深い深い波の狭間に落とされて
   退屈凌ぎと水底に踊れば
   役目を終えた門は開かれる
   待ち侘びた鉄の番人は高笑う



 【聖職者を狂わせた神託】

   女神に仇なす者は異端者
   向こう側より舞い降りた
   無知な女神は狂乱の死神
   神殺しの術を託されし羊頭
   貼り付けられた笑顔のままに



 【底で見た景色】

   希望と絶望を詰めた箱
   庭園を彩る穢れの大輪
   醜いもので塗り固められた情景
   かつて描いた楽園の対
   独り善がりな幻想の影


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