下ル下ル商店街

馬 並子

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ゲームアシスタントとは

「あうっ……」
ちゅるんと出ていくゴムの感触に、トオルは小さく声を上げる。
だが、ごく小さかったはずのその声は、遠くから何倍にもなって響いてきた。カメラのマイクが音を拾っているのだ。
衣擦れ音をうまくカットするその高性能なマイクのおかげで、会場のスピーカーからは、トオルの小さな喘ぎはもちろん、緊張と脅えに荒くなってきた息遣いまでもが、はっきりと流れていた。

「では、抽選台に玉を投入いたします。ご覧の通り、今夜使用するビンゴ玉はパチンコ玉と同サイズとなっております。現時点では番号は振られておりません。
抽選台に投入される玉の数は自動でカウントされ、後ほど、投入された最大数までの数字がビンゴ玉に一つずつランダムに振られます。
同時に、お客様の手元のビンゴカードにも、玉の最大数までの数字が表示されます。
つまり、投入する玉の数が多ければ多い程ビンゴが出づらくなりますので、こちらのウサギに有利となります。
抽選は全部で五回。ビンゴが出なければウサギの勝ち、ビンゴが出れば一抜けのお客様が賞金とこちらのウサギを獲得されます」

最大数がどうのという話はよく理解できなかったが、トオルには『バトラー』の最後の言葉が一番胸に刺さった。
薄々そうだろうなと思ってはいたが、やはりゲームで負けると身売りする羽目になるらしい。そのための浣腸であり、拡張だったのだろう。

覚悟はできているとはいえ、実際に耳にすればやはり心は重くなる。台に拘束されて尻を客席に晒しているのは、優勝商品の展示のためか。
なんて趣味が悪いのだろう。
だがまぁそういうショーだと言われれば致し方ない。金のためだ。とにかく、ゲームに勝てばいい話だ。
勝てば、尻の穴を見られたことくらい笑い話になる。

それにしても、『バトラー』がアナウンスした、『抽選台に投入された最大数』というのはどういうことだろうか。ビンゴなどしばらくやってはいないが、通常は1から99までの数字が振られているのではなかったか。

そんなトオルの疑問は、すぐに解決した。考えうる限り、いや、考えてもいなかった最悪の形で、ただちに。

「では、抽選台に仕掛けがないことをご確認ください」

アナウンスの直後、四つん這いで固定されたトオルの尻に、ぬるっとした硬いものが突き込まれた。
完全に無防備だったため、おそらく指二本分はあろうかというその硬く長細い物は、一気に深くまで入り込んでしまった。

「んひぃっ!」
情けない声を上げ、肘の力ががくりと抜けたトオルは、尻だけを高く掲げた状態で衝撃にぶるぶる震える。
何だこれ、入ってる、入ってる。

トオルがパニックに陥ったのも無理はない。何度も浣腸され、直前までバルーンで広げられていたとはいえ、くちばし状の金属で尻の穴を貫かれるのは初めての経験なのだ。しかも、目隠しのせいで、何を入れられているのか見当もつかない。

だがトオルが恐怖を自覚する間もなく、突き込まれた金属はギリギリとくちばしを開いていった。
「うぐううぅっ!」
唸りがトオルの口をつく。普段は閉じられている、意識もしていない場所の筋肉が、無理やりに押し広げられていくのだ。痛みや羞恥よりも、苦しさが遥かに勝る。

更にギリギリと押し広げられていき、腹の中にひゅっと冷たい外気が入って来た時には、トオルはパニックのあまり軽度の過呼吸を起こしていた。

「はっ、はくっ、はくっ、や、やだっ、やっ!」
拒否を表明するなと言われたことも忘れ、パニックに陥って暴れ喚く。だが、四肢を台の上に固定されていては碌に抵抗できない。

くちばし状の器具で抉じ開けられた内壁を、カメラがスクリーンに大写しにする。
晒されたトオルの腹の内側を、観客の男たちは「綺麗なピンク色だ」「若いねぇ」と口々に誉めそやした。そのざわめきが、更にトオルの不安を煽る。

「なに?なにが?」
まさか、自分の尻の内側が、この場にいる全員につぶさに観察されているなどとは思いもしない。
『バトラー』は更に、ペンライトでトオルのてらてらと光る肉壁を照らし、手ずから操ったカメラで奥の奥までをスクリーンに映し出した。

「この通り、中は完全に空洞です。……ではこちらに、ビンゴ玉を投入いたします」

まさか。
トオルの思考が一瞬停止した。引きつっていた表情が恐怖の形で固まる。

音と衝撃がトオルを襲ったのは同時だった。
じゃらじゃらと耳障りな音を立てて、外気に晒されたトオルの腹の中に、氷のように冷えた玉が無数に注ぎ込まれたのだ。
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