モブキャラ男子の恋愛事情

大吉祭り

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モブキャラ男子の覚悟

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 「モブキャラからの卒業? お前がか?」


 驚いた表情で大地が聞いてくる。


 「そう、僕は昔のことも含めて、モブキャラで良いと思ってた。そっちの方が気楽だしね。でも、本田さんを見ていて、あっちの世界に憧れちゃったんだ。理想の高校生活を過ごしたいってさ」

 「そうか」


 僕の話を静かに聞いていた大地は、突然笑い出し。


 「いい事じゃないか。俺にも協力させてくれ」

 「本当に!? 頼りにしてるよ」

 「まぁ、お前と似たような俺がどこまで協力できるかだがな。それと、本田さんを目指すなら、相当頑張らないと」


 その通りだ。
 いきなりは無理でも少しずつ。
 夢のような生活に近づけていこう。


 「お互い頑張ってみよう!」


 僕は頷き、大地と握手を交わした。



 急いで昼食を終わらせて教室へ戻る。
 本田さんの周りには、今日も大勢の人が集まっていた。

 さすがにあそこまで目立たなくてもいいなぁ。
 でも、目標は高い方がいいか?

 そんな事を考えていると、授業開始のチャイムが鳴った。



 「博、途中まで一緒に帰ろうぜ」

 「わかった」


 ホームルームも終わり、下校の時間。
 あれ以来、本田さんとは話す機会もなく、授業を全て終えた。

 「そう言えば博、お前何か作戦は考えてあるのか?」

 「作戦って何の?」

 「モブキャラ卒業に決まってるだろ。まさか、思いついただけか?」


 まぁその通りだ。
 消しゴムの一件で、眠っていた僕の中の何かが弾けたような。
 そんな感じだった。


 「こりゃ、誰かに相談した方がいいかもな。俺たちだけでは無理だろ」

 「相談って、こんな事誰に」

 「俺には一人だけ、思い当たる人がいる」


 ニヤリと笑いながら、大地は続ける。


 「桜 結衣さくら ゆいさんって知らないか? 俺たちの学年ではそこそこ有名だが」

 「聞いた事ないなぁ」

 「そうか。桜さんはな、相談にのってくれるって有名なんだ。俺の知り合いも、彼女に相談したら真剣に考えてくれたって喜んでたし」


 そんな人が同じ学年にいたんだな。


 「つまり、その人に相談しろって事?」

 「まぁ強制ではないけどな。俺たち二人で悩むより、仲間は多い方がいいだろう」


 確かに大地の言う通りか。
 似た者同士で考えても、解決策は見つからないような気もするし。
 それなら恥ずかしさもあるけど。


 「よし、その人に明日相談してみよう!」

 「オッケーわかった。俺も明日一緒について行ってやる」


 こうして、ちょっとだけだがモブキャラ卒業に近づいたのだった。
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