モブキャラ男子の恋愛事情

大吉祭り

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モブキャラ男子と連休の予定

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 学校が始まって最初の大型連休、つまりゴールデンウィーク前日。
 早くも僕の周りでは、その予定について盛り上がっている。

 僕はと言えば、当然のように何の予定もない。
 チラッと横を見ると、連休前の最後の放課後ということもあり、大勢の人が。

 お目当はもちろん本田さんだ。
 男子と女子関係なく集まっているのを見ると、本田さんの人気を改めて感じる。


 「おい博。どした? ボケっとして」


 声の主は大地。
 僕と同じく、おそらく何の予定もないであろう友人だ。


 「何でもないよ。それよりさ、明日から連休だけど、何か予定あるの?」

 「男子から予定を聞かれるとはなぁ」


 大地は少し驚いたようにいうが、それなら誰がお前に予定を聞くんだろう。


 「予定は特にないぞ? どうせ博も同じだろ」


 「そうだなぁ~」


 ここは少し見栄を張りたいところだろう。
 しかし長年の付き合いもあり、おそらくバレる。
 ……ムダだな。


 「予定はないよ。悪いか?」

 「何で少し怒ってるんだ」


 結局、僕たちはいつもと変わらないやり取りをする。
 安心できるが、時に不安にもなる。

 それは大地にも伝わっているようで。


 「博、なんか考え事か? 顔が……おかしくなってるぞ?」

 「おかしくはないだろ」


 念のため自分の顔を手で確かめつつ反論を。


 「どうせあれだろ? 変わりかけてるのにいつもと同じで、不安だってところか。俺には隠せんぞ」

 「まぁ、そんな感じ」


 やはりバレるか。


 「そんなに不安ならさ、相談すればいいんだ。俺でも、それ以外でも」

 「う~ん、そこまでのことじゃないからね。ただ、連休なのに予定なしって去年と変わらないなって」

 「確かになぁ~。俺と遊んだとしても、それほど変わらんし」


 それだと本当に去年と変わらない。
 ただ、今年もそうなりそうだけど。


 「ただ今年は変わろうとせっかく思ったんだ。何か行動してみればいいんじゃないか?」

 「行動か……」


 最早今年の、個人的流行語大賞に選ばれそうな言葉だ。


 「そうだね、考えておこうかな……って、明日からじゃん!」


 忘れていたが、明日からは連休だ。
 皆が本田さんを誘っていたのを、今更ながらに思い出した。


 「これじゃ、予定も聞けないかな」


 僕は肩を少しだけ落とす。
 すると、それを見ていたのか大地が。


 「まだ落ち込むのは早いぞ」

 「どういうこと?」

 「せっかくやる気が出たんだ。諦めるには早すぎる。何か行動すれば、新しい展開があるかもしれないぞ」


 納得できる部分もある。
 僕が少しだけ成長できたのは、行動したおかげ。
 きっと、遅すぎることはないはず。


 「そうだね。なんかやる気が出てきたよ。連休はそれなりに長い! 何か変われるかも」

 「おう! 頑張ってみろ」


 大地はそう言い、親指を立てた。
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