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事件の裏と冒険

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 「これでしばらくは動けないわね!」


 シェルの魔法封じと、私の氷で一切動けなくなった犯人は、抵抗もしようとしない。


 「この氷を壊したら、あんたも巻き込まれるからね。無駄なことはしないほうがいいよ」


 私のアドバイスに、犯人は黙って頷く。


 「しかしリーダー。今回も活躍なしですね」

 「ぐおっ!? 痛いところをつくなシェル。俺の魔法と相性が悪かったんだ。活躍したからって威張るな」


 リーダーのげんこつを受けて、シェルが目を回す。
 でも確かに、今回はシェルのおかげだ。

 シェルは接近戦ではなく、遠距離戦が得意で、サポートに徹することが多い。
 性格を考えると似合ってないけど。


 「さてと、それでは真面目な話だ」


 そう言うとリーダーは犯人に近づき。


 「魔法は最近使えるようになったらしいな。さっきフィオーラから聞いた。それは本を読んだのか?」

 「そ、そうです! 変な男に渡された本で、読めば願いが叶うって。触った瞬間、不思議な力を感じたんだ! 読んでいくうちに爆発魔法だとわかって、試したら出来ちゃって。怖かったけど、同時に復讐してやろうと」

 「やはり本か。その男の正体は見たか?」

 「いや、フードで顔が見えなかったんです。でも声で男だと」


 今回も新たな情報は無しか。
 謎の男、一体なぜ魔法使いを増やそうとする?



 あのあと男は警備団に連行。
 詳しい話を聞くと言うことだが、あれ以上の内容は望めそうにない。


 「リーダー、このまま事件が繰り返されても、新しい情報はないんじゃない? 私たちで調査するとか」


 私のこの提案が採用され、謎の男と本について調査を開始することになった。

 私は悪い奴が嫌い。
 だから、それを増やしている奴を絶対に止めなければならない。


 「これでよしだな」


 リーダーがギルドの扉に留守中のプレートをかける。


 「フィオーラ、シェル、二人とも行こうか。いつ戻って来られるかわからんが、事件を終わらせて必ず戻ってこよう」

 「ワクワクするなぁ」

 「リーダーは格好のいいこと言いたいだけでしょ」


 私たちギルドの冒険が始まった。
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