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森の中に
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ギルドを出発してから数日が経ち、詳細な情報がないまま大きな町を二つほど通過した。
各町のギルドに話を聞くが、本についての話はあったりなかったり。
この辺りでは、まだ大きな事件がないのだろうか。
「さて、勢いでギルドを出たが、情報がなさすぎる。ここらで滞在なんてのもありではないか?」
私たちが今いるのは、最後に通った町から、次の町への途中にある村。
それも、森の中にあってわかりにくいような場所だ。
「リーダー、もしかして迷子か? この森広くてどっちに次の町があるかわからないもんね」
「おいシェル、最初に迷子になったのはお前だろ? なかなか着かないもんだから、俺の直感で来たわけだ」
「二人とも、本当にひどいわ」
三人いて、かなりの間森をさまよっていた。
森に関する地図もなく、闇雲に歩くしかない。
「そういえば、フィオーラの魔法で上から見ればいいじゃん! やばっ、俺天才かも」
「そんなこと、シェルに言われなくても出来たらやってるよ。ただ、この森はなぜか魔力が少ない。見通せるくらい高い氷が作れないの」
そう、いくら私に魔力があっても、空間中にある魔力が少なければ、強力な魔法は使えない。
この森の魔力はかなり弱い。
だから困ったことに、木の高さを超えることもできない状況にある。
「だがまぁ、気にするな。とりあえず村には着けたんだ、この先もなんとかなるだろう」
お気楽リーダーで助かるわ。
「それでだ、一応この村にもあるギルドに顔を出してこよう。何か少しでも情報があれば」
「それだよリーダー! ここで寝てても仕方ない」
「私も賛成。こんな森の中だけど、ギルドがあること自体驚き。何か情報があってもおかしくなさそう」
三人とも意見が一致し、近くにあるギルドへ向かった。
「なぁリーダー。ここがギルドでいいんだよね?」
「それはそうだろう。ギルドって書いてあるからな」
シェルが疑う気持ちもわかる。
私たちのギルドも小さかったが、それ以上に小さくボロい。
強い風で飛んでいきそうな。
……人はいるのだろうか。
「すみません! 誰かギルドの方いますか?」
反応はない。
昔使われていたギルドなのだろうか。
すると、この村に住んでいるだろう人がいたので、ギルドについて聞いてみる。
「すみません。ここのギルドって、まだ誰か使ってますか?」
「いんや、数年前からいなかったような」
数年も使われていないのか。
それならこの状態も納得できる。
リーダーたちに報告すると、
「やはりまぁそうか。ならば、無断ではあるがギルドの中をのぞいてみようか」
私とシェルは黙って頷いた。
中は薄暗く、誰もこなかったのだろう、埃がひどい。
「うわっ、こんなところに長くいたら病気になりそうだな」
シェルが文句を言う。
私としても、あまり長居はしたくない。
「二人とも、そんなに広くないんだ。何か情報があるかもしれないし、探してみてくれ」
こんな森の中に貴重な情報があるのか?
疑っていると、シェルが元気な声で。
「おーいみんな、レア本発見したぞ。何か参考になるかもよ」
近寄ってみると、そこにはシェルが見つけたこの森に関する本がある。
「へー、この森に関する本か。次の町への道でも書いていないかな」
リーダーが笑いながら読み始める。
すると、その顔の表情が変わっていくのがわかる。
「リーダーどうかしたの? この森に何か秘密が?」
「フィオーラ、お前も読んでみるといい。違和感を覚えるはずだ」
言われるままに読んでみると、数年前に書かれた本であることがわかる。
そして、最も気になるのは。
「これはおかしいわ。この本の通りだと、森には豊富な魔力が漂っていると書かれている。でも私たちのいるこの森には、あるはずの魔力がない」
「つまりどう言うこと?」
何もわかっていないシェルに。
「つまり、豊富な魔力がなくなるほどのことが、この森で、数年間のうちに行われたと言うこと。自然現象とは……考えにくいわね」
「誰か人のせいなのか?」
「それはわからないけど、自然現象では考えにくい。数年で魔力が、ここまで減るなんて」
シェルもなんとなく、事態が飲み込めたよう。
リーダーは一人、考え込んでいるようで、頭をボリボリ掻いている。
「もう少し探す必要がありそう。この森の秘密を解いてみるしかない」
私の提案に、二人も理解したようだ。
数分が経過し、リーダーが気になるものを発見した。
「二人とも来てくれ。報告書のようなものを見つけた」
リーダーが見せたのは、何かの切れ端。
推測するに、実験経過の記録のようなものだろう。
「何となく実験記録だと思うんだが、詳しいことはわからんな。さすがにこれだけでは」
「リーダー、もしかしたらこの森には秘密があるかもしれない。特にこの実験と、森の魔力には繋がりを感じる。調べてみてもいいんじゃない?」
するとシェルも楽しそうに。
「俺も気になるし、調べてみようよ。次の町に行く前に、用事ができてよかった」
「そうだな、俺としても無視はできなくなった。もしかしたら危険なことかもしれない。ここからは冷静に行動しよう」
ギルドを出発して数日。
初めて気になることができたのだった。
各町のギルドに話を聞くが、本についての話はあったりなかったり。
この辺りでは、まだ大きな事件がないのだろうか。
「さて、勢いでギルドを出たが、情報がなさすぎる。ここらで滞在なんてのもありではないか?」
私たちが今いるのは、最後に通った町から、次の町への途中にある村。
それも、森の中にあってわかりにくいような場所だ。
「リーダー、もしかして迷子か? この森広くてどっちに次の町があるかわからないもんね」
「おいシェル、最初に迷子になったのはお前だろ? なかなか着かないもんだから、俺の直感で来たわけだ」
「二人とも、本当にひどいわ」
三人いて、かなりの間森をさまよっていた。
森に関する地図もなく、闇雲に歩くしかない。
「そういえば、フィオーラの魔法で上から見ればいいじゃん! やばっ、俺天才かも」
「そんなこと、シェルに言われなくても出来たらやってるよ。ただ、この森はなぜか魔力が少ない。見通せるくらい高い氷が作れないの」
そう、いくら私に魔力があっても、空間中にある魔力が少なければ、強力な魔法は使えない。
この森の魔力はかなり弱い。
だから困ったことに、木の高さを超えることもできない状況にある。
「だがまぁ、気にするな。とりあえず村には着けたんだ、この先もなんとかなるだろう」
お気楽リーダーで助かるわ。
「それでだ、一応この村にもあるギルドに顔を出してこよう。何か少しでも情報があれば」
「それだよリーダー! ここで寝てても仕方ない」
「私も賛成。こんな森の中だけど、ギルドがあること自体驚き。何か情報があってもおかしくなさそう」
三人とも意見が一致し、近くにあるギルドへ向かった。
「なぁリーダー。ここがギルドでいいんだよね?」
「それはそうだろう。ギルドって書いてあるからな」
シェルが疑う気持ちもわかる。
私たちのギルドも小さかったが、それ以上に小さくボロい。
強い風で飛んでいきそうな。
……人はいるのだろうか。
「すみません! 誰かギルドの方いますか?」
反応はない。
昔使われていたギルドなのだろうか。
すると、この村に住んでいるだろう人がいたので、ギルドについて聞いてみる。
「すみません。ここのギルドって、まだ誰か使ってますか?」
「いんや、数年前からいなかったような」
数年も使われていないのか。
それならこの状態も納得できる。
リーダーたちに報告すると、
「やはりまぁそうか。ならば、無断ではあるがギルドの中をのぞいてみようか」
私とシェルは黙って頷いた。
中は薄暗く、誰もこなかったのだろう、埃がひどい。
「うわっ、こんなところに長くいたら病気になりそうだな」
シェルが文句を言う。
私としても、あまり長居はしたくない。
「二人とも、そんなに広くないんだ。何か情報があるかもしれないし、探してみてくれ」
こんな森の中に貴重な情報があるのか?
疑っていると、シェルが元気な声で。
「おーいみんな、レア本発見したぞ。何か参考になるかもよ」
近寄ってみると、そこにはシェルが見つけたこの森に関する本がある。
「へー、この森に関する本か。次の町への道でも書いていないかな」
リーダーが笑いながら読み始める。
すると、その顔の表情が変わっていくのがわかる。
「リーダーどうかしたの? この森に何か秘密が?」
「フィオーラ、お前も読んでみるといい。違和感を覚えるはずだ」
言われるままに読んでみると、数年前に書かれた本であることがわかる。
そして、最も気になるのは。
「これはおかしいわ。この本の通りだと、森には豊富な魔力が漂っていると書かれている。でも私たちのいるこの森には、あるはずの魔力がない」
「つまりどう言うこと?」
何もわかっていないシェルに。
「つまり、豊富な魔力がなくなるほどのことが、この森で、数年間のうちに行われたと言うこと。自然現象とは……考えにくいわね」
「誰か人のせいなのか?」
「それはわからないけど、自然現象では考えにくい。数年で魔力が、ここまで減るなんて」
シェルもなんとなく、事態が飲み込めたよう。
リーダーは一人、考え込んでいるようで、頭をボリボリ掻いている。
「もう少し探す必要がありそう。この森の秘密を解いてみるしかない」
私の提案に、二人も理解したようだ。
数分が経過し、リーダーが気になるものを発見した。
「二人とも来てくれ。報告書のようなものを見つけた」
リーダーが見せたのは、何かの切れ端。
推測するに、実験経過の記録のようなものだろう。
「何となく実験記録だと思うんだが、詳しいことはわからんな。さすがにこれだけでは」
「リーダー、もしかしたらこの森には秘密があるかもしれない。特にこの実験と、森の魔力には繋がりを感じる。調べてみてもいいんじゃない?」
するとシェルも楽しそうに。
「俺も気になるし、調べてみようよ。次の町に行く前に、用事ができてよかった」
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初めて気になることができたのだった。
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