【完結】元爽やかイケメンバリタチ男優はカメラの外だとドSらしい

夜見星来

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第三章

13.もしかして俺、新妻♂じゃない……?※

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 ◇

 誰かが俺の頬を撫でている。
 頬から、耳たぶ、頭と伸びて、また温かな手が頬に戻ってきた。

 むず痒くて、だけど気持ちがいい。

 もっと撫でて……とせがむ犬のようにその手にすり寄ったところで、俺はハッと目を覚ました。

「おはよ、唯斗」
「…………?」
「もしかして、まだ寝ぼけてる?」

 俺好みの整った顔が近づいてきて、唇が触れる距離で見つめられる。
 ようやっといまの状態を理解した俺は、うわあああああ!! と叫びたくなる衝動を押さえて、咄嗟に口を手で押さえた。

「ははっ、なんだ、その反応」
「う、あ、……あ?」

 言葉を失った人間とはまさしく俺みたいなやつのことを言うのだろう。
 意味のない言葉を繰り返す俺を見て、颯真さんはくしゃりと笑った。

「体、辛くない?」
「……つ、つらく、ない、です……」
「よかった。まぁ、痛くはなくても、立てるかはわからないけど」

 ニヤリと口角を上げて、颯真さんの手が俺の腰に伸びてくる。一定のリズムでトントンと腰を押されて、昨日の痴態をすべて思い出した。

「さ、触らないでください……!」
「なんで? 奥、気持ちよかっただろ?」
「そうですけど、そうじゃなくて……!」
「あっ、朝のキスがまだだったな。ほら、離れないで、こっちにおいで」
「うっ……」

 おいで、なんて言われると離れていけなくなってしまう。
 仕方なく颯真さんの方に身を寄せたら、ちゅっと柔らかなキスを送られた。

「…………」
「顔真っ赤。昨日、もっとすごいことしてるのに」

 優しく腰を撫でていた手が俺の尻たぶを揉む。
 寝ている間に処理してくれていたのか、かろうじて下着だけは履いていたけれど、尻の穴を広げるせいか、またとろりと奥からローションが流れてきた。

「んぅ♡」
「どうした?」
「いや、その、中、が……」

 その先は言えなくて口ごもる。颯真さんも何となく察したのか、にっこりと笑ってもう一度俺の唇にキスをした。
 今度は、唇を吸うような動きだ。ちゅ、ちゅう、っと唇を吸われて離される。

「あの、その、トントンするの、なんか、嫌……です」
「あぁ、ゾワゾワする?」
「……はい」
「結腸まで開いたあとはそうなるらしいよな。中イキ覚えたてのときとかも」

 ゾワゾワして嫌だと言っているのに、彼の手は止まってくれない。
 ときおり尻をまあるく撫でたり、際どいところに指を這わせたり。かと思えばまたトントンと腰を押されて、次第に息が上がってきた。

「ぅ……ぁ、だめっ、なんか……きちゃ、あっ……」
「大丈夫、そのまま体の力を抜いて、ナカの感覚に集中して……」
「やら……っ、こわい、あっ、やっ、うそ、ナカ、きゅうきゅうする……!」
「大丈夫だから」
「あっ、ん、イくっ、あっ、あ~~~ッ、あー……ッ!」

 びくんびくんと腰が跳ねて、ローションを押し出すように中が蠢動する。
 後処理をされたはずなのに、また入り口までべったりと濡れて下着が張り付いた。

「あっ、……や、だめぇ」

 ぬかるんだそこを確かめるように颯真さんの手が後ろに伸びて、入り口の周辺をくちゅくちゅとかき回される。
 自分でもわかるくらいに肉壁がローションで濡れていて、ひくひくと穴が開いた。

「な、なんでぇ……」
「中でいっぱいイくと、少しの刺激でもこうなるんだよ」

 ふうふうと息を吐き出す口をキスで塞がれて、気持ちがいい。
 達したばかりで動きが緩慢になった舌をあっさりと彼のもので絡め取られて、くたくたになるまでねぶられた。

「……も、くるし……」

 なんとか顔を逸らして、彼から唇を離す。
 朝から汗まみれになってる俺を見て、颯真さんは満足そうに微笑んだ。

 ――やっぱり、この人、意地悪だ。

 初めて颯真さんに抱かれたときも思ったけど、颯真さんは意地悪なところがある。

 俺のことを極限まで追い詰めて、音を上げるまで楽しんで。

 言葉は優しいのに、追い詰め方が容赦ない。
 AVではもう少し甘々な感じなのに。どろどろに溶かすところは同じだけれど、ある程度のところで切り上げて、あとは教科書通りの抱き方をする。
 けれど、現実の颯真さんは嗜虐心が強いのか、二回ともわけがわからなくなるまで虐められてしまった。

「どうした? そんなじっと見て」
「いえ、睨んでるんです」
「睨む?」
「颯真さん、ちょっとだけ、意地悪ですよね」
「意地悪?」

 そんなことは初めて言われたとばかりに目を丸くする。
 普段は優しいけれど、セックスのときだけ意地悪になることを、本人は自覚していないみたいだ。
 きっと、これは颯真さんと付き合っている俺だけが知っていること。

 そう思うと、腰の重さも体の疲労感も許せた。

「颯真さん、今日お仕事は……?」
「ないよ。今日はオフ」
「羨ましい……」

 ――俺は、仕事なのに。

 そう思って、ああああっ! と叫びながら飛び起きる。
 慌ててベッドから降りようとしたら、腰の痛みで床に転げ落ちた。

「大丈夫か!?」
「大丈夫じゃないです……! 仕事! 今日、平日……!!」

 顔面蒼白でスマホを掴み、時刻を確認する。
 どうやら、いつもより早く目覚めたらしく、まだ家を出るまで一時間以上ある。
 毎週月曜日から金曜日まで繰り返し設定にしているアラームはまだ鳴っていないようだった。

「俺、シャワー浴びてきます……」

 よろよろと立ち上がり、洗面所へ向かう。
 すると、なぜか颯真さんもついてきた。

「なんでついてくるんですか?」
「その体じゃ、満足に動けないだろ? だから」

 にこにこと笑顔でついてきた颯真さんに浴室の椅子に座るように言われて、シャンプーからリンスまで全部彼にされてしまう。
 いい歳して風呂に入れられるなんて……と思わなくもないけれど、人に頭を洗われるのは悪くなかった。
 むしろ、気持ちがいい。

「唯斗、腕あげて」
「ちょっ、体は大丈夫です! 自分でやりますから!!」
「遠慮しなくていいのに」
「ほんとに、自分でしますから……!」

 またさっきみたいに体を刺激されたら、どうなるかわからない。
 颯真さんは残念そうな顔で俺にボディ用のタオルを手渡すと、彼も俺の横でさっと髪や体を洗っていた。

「俺、先に上がるな」
「わかりました」
「あ、あと、キッチン使っていい?」
「いいですけど……。冷蔵庫に何もないですよ?」
「何かはあるだろ」

 ちゅっ、と俺の頬に軽くキスをして、湯が溜まる前に風呂を出ていってしまう。
 残された俺は湯をためながら、ゆっくりと体を温めた。
 まだ中に異物があるようなムズムズとした感覚があるし、腰も重いけれど、温めると少しマシになってくる。

 そうして時間をかけて体を温め、風呂から出ると、キッチンからいい匂いがしていることに気付いた。

「おっ、出てきたな。おいで」

 颯真さんが皿二枚を持って、ソファーに座る。
 朝食用の食パンを使って、クロックムッシュにしてくれたようだ。
 いつもは適当にバターを塗って食べるだけだから、随分と贅沢な朝食だ。
 ハムもチーズも買ったはいいものの、そろそろ食べられなくなりそうだったので、颯真さんの手料理で助けだされてよかった。

「ん、おいしい……」
「よかった。といっても、ほとんどなにもしてないけど」

 そうは言うけれど、俺からしたら恋人が作ってくれた朝食というだけで価値がある。
 一人暮らしをしてから、誰かに朝食を作ってもらったことすらないのだ。
 朝からこんな贅沢をしていいのだろうか、と不安になってしまう。

 隣に座る颯真さんは俺よりも先にぺろりとパンを平らげると、またキッチンへ向かった。

「コーヒー淹れていい?」
「……はい、むしろお願いします」

 あぁ、やっぱりこの部屋に颯真さんがいるのは、何かのバグのようでソワソワと落ち着かない気分になる。
 キッチンで湯を沸かし、インスタントコーヒーを淹れている姿は、まるで新妻♂シリーズに出てくるソウのようだった。
 AVの設定上、ソウは妻にメロメロでところ構わず襲うのだが、セックス後はそれはそれはもう甘やかして、ネコ役をどろどろにする。
 そうして甲斐甲斐しく世話を焼くうちにまたセックスをして――という展開になるのがお決まりのパターンだった。

 もしかしたら、今日が休みだったら、そんなこともあったかもしれない。

 そんなエッチな妄想をぼーっとしていると、目の前にコーヒーを置かれた。

「大丈夫? 食欲ない?」
「いや、そんなことはないです。コーヒーもありがとうございます……」

 颯真さんが作ってくれた朝食とコーヒーを堪能し、ゆったりとした時間を過ごす。

 本音を言えばあともう少し颯真さんと一緒にいたいけれど、そろそろ家を出る時間だ。

 急いで髪を乾かし、スーツに袖を通して、身支度を整える。
 その間、颯真さんは皿まで洗ってくれていたようで、まさに至れり尽くせりだった。

「すみません。お皿まで片付けてもらって……」
「そんな大したことしてないから。それより、早く行かないと」
「そうだった!」

 二人で慌ただしく靴を履き、玄関を出る。ドアの鍵をかけていると、さらりと髪の毛を耳に掛けられた。

「唯斗」
「なんです、……んっ」

 振り向いたら、ちゅ、っと触れるだけのキスをされてびっくりする。
 遅れてじわじわと顔が赤くなって、口元を手で覆った。

「そんな、キスぐらいで」
「だって、ここ一応、外なのに……!」
「誰も見てないよ。それに今しておかないと、マンション出たらもっとやりづらくなる」

 まぁ、唯斗がそれでもしたいって言うならするけど。

 そう悪い顔で言われて、さらに頬が熱くなる。
 味をしめたのか、また顔を近づけてこようとする颯真さんの唇を慌てて手で押さえた。

「だ、ダメ!」
「……じゃあ、また今度」
「…………そうしてください」

 もうこれ以上はいっぱいいっぱいだ。
 早歩きで廊下を進み、エレベーターのボタンを連打する。

 そんな俺を見て颯真さんはくすくすと笑うと、可愛いな、と最後に爆弾を落として、マンションの住人たちで埋まりかけているエレベーターに乗り込んだのだった。
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