【完結】元爽やかイケメンバリタチ男優はカメラの外だとドSらしい

夜見星来

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第五章

21.AVよりもイイってこと、体に教え込んでやる※

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 ◇

「唯斗、ちょっと休憩しよう」
「……そうですね」

 俺は段ボールから荷物を取り出す手を止めると、颯真さんが待つソファーに座った。
 温かな湯気が立つコーヒーカップを手渡され、ふうふうと熱を冷ましてから口をつける。
 中身はミルク入りのコーヒーだったようで、柔らかな甘みが幾分か気持ちを落ち着かせた。

「荷解きは終わりそう?」
「うーん……。まだかかりそうです。結構、身軽にしてきたはずなのに……」

 そう言って、段ボールが積み上がった部屋の隅を見る。


 昨日、俺たちは二人で同棲することに決めたマンションに引っ越してきていた。
 家具は昨日のうちに入れたけれど、段ボールだけはまだいくつか残っている。
 颯真さんは早々に自分の分の段ボールを片付けると、キッチンや洗面所で使うための段ボールまで片付けていた。
 一方の俺は、まだまだ段ボールが残っている。
 同時に片付けを始めたはずなのに、俺のほうが荷物が多いのか、先が長そうだった。

「身軽……ね」

 颯真さんが呟いて、テレビの横に設置したラックに視線を向ける。
 ちょうど俺が開いていたのは推し活用の段ボールだった。つまり、颯真さんが過去に出ていたAVそのものである。

 本人がいるのに部屋に置いておくのもいかがなものか……と思ったけれど、箱に眠らせておくのは勿体ない。もちろん、売るなんて言語道断。
 その結果、前と同じように棚にしまっておこうと思ったのだが、颯真さんは険しい顔でラックのほうを見つめていた。

「俺がいるのに、そのDVD必要か……?」

 拗ねたような声で颯真さんが言って、俺の手からカップを取り上げる。
 二つまとめてテーブルの上に置くと、俺のことをぎゅうっと抱き締めた。

「AVの中の俺は、唯斗のこと抱き締められないのに」
「……それはそれ、これはこれです。それに、お宝ですし……」

 ずっとソウを推し続けてきたのだ。
 実際の颯真さんとソウは姿形こそ同じでも、中身は違うことを知っている。ソウはあくまでAVの設定上、作られたキャラクターだからだ。
 でも、やっぱり颯真さん本人であることを思うと、なかなか手放せない。AVの中のソウも、颯真さんの一部であることには変わらないのだから。

「そんなにソウが好き?」
「違いますよ。颯真さんだから好きなんです!」
「うーん……。嬉しいような、嬉しくないような……」

 複雑な顔で、颯真さんが頬をかく。
 颯真さんはなおも難しい顔をしてAVの山を見つめていた。

 ――まぁ、やっぱりいい気はしないよね……。

 映像の中で裸体を晒しているどころかセックスまでしているのだ。
 本人は納得してAVに出演したのだろうが――とそこまで考えて、本当にそうだろうか? と疑問に思う。
 そもそも、颯真さんはAV男優を引退した身だ。その理由すら、俺は何ひとつ知らなかった。

「……あの、颯真さん」
「ん?」
「答えづらかったら無理に答えなくていいんですけど……。その、どうしてAVを引退したんですか……?」

 これはずっと気になっていたことだ。
 今となってはこうして恋人というポジションに収まったため、不特定多数とセックスしなければならないAV男優を引退してくれてよかったとすら思っているけれど、いちファンのままだったらいまだにソウの復帰を望んでいたはず。
 だから、どうして引退したのか純粋に知りたかった。

「あー、それなぁ……。俺、父親が早くに他界して、母も病気がちでさ。下に弟と妹がいるんだけど、その二人の学費を稼ごうと思って」
「ご弟妹きょうだいがいたんですね……」
「うん。で、手っ取り早く稼ぐには、って考えてたときにたまたまスカウトを受けて……」

 最初はAV出演に抵抗があったらしい。おまけにスカウトされたのは、AVはAVでも男同士でセックスするホモビデオ。
 そちらのほうが稼ぎがよりいいからと誘われて、一度やってみたところ思いの他抵抗なくやれてしまう自分に気付き、そのままずるずると出演していたらしい。

「でも、やっと二人を大学に入れることができたし、もういいかなって。それに、俺も普通に恋愛して、仕事抜きに恋人を抱きたかったし……」

 ちらりとこちらに視線を向けられて目が合う。
 蜂蜜を溶かしたような、とろりとした優しい目を向けられてむず痒かった。

「ま、そんなわけで卒業して今ってわけだ」
「そうだったんですね……」
「だから、俺としてはAVそのものに特別思い入れがあるわけじゃないし、できれば処分する方向だと嬉しいんだけど……」

 そう言われて、これは捨てる流れになっているのでは? と悟る。
 俺はぶんぶんと首を振ると、処分はしません! と声高に叫んだ。

「やっぱりダメか……」
「ダメですね」
「……それじゃあ、そのお宝を見ながら今日はシようか」
「はい……?」
「そんなに気に入ってるんだろ? なら、AVのプレイを真似して抱いてみよう」
「ちょっ、なに言って……!」
「ま、AVに負けるつもりはないけどな。AVよりも実物の方がいいってこと、しっかりと教え込んでやる」

 ニヤリと颯真さんが笑って、いそいそとDVDプレイヤーにAVをセットする。
 こんな真っ昼間からAV鑑賞なんて……! と思ったのも束の間、颯真さんはプレイが始まるところまで映像を進めると、画面越しのソウと同じように俺にキスしてきた。

「んっ……ぅ、」

 ちゅ、ちゅっ、と唇を啄み、下唇をやわく食まれる。焦らすような動きで唇をしっとりと濡らされ、優しく舌を絡め取られた。
 急すぎて目を開いたままの俺を見て、颯真さんが目を細めて笑う。
 そうして顔を見つめられたまま、ゆっくりと舌で歯列をなぞられた。

「……ぁ、……んん」
「目、閉じるなよ……」
「ゃ……あっ……」

 くちゅくちゅと唾液が混ざる音がして、早々に目を閉じたくなる。
 だけど、俺が目を閉じそうになると、咎めるように舌先に軽く歯を立てられた。
 その鈍い痛みで、また颯真さんの顔をドアップで見つめて……の繰り返しだ。
 舌の根を弄り、上顎のひだを丁寧に撫でられると、もう先走りが滲んで下腹部がきゅんと疼く。

「ぁ……あっ、そこ、さわんないでぇ……」
「ん? AV通りにしてるだけだよ」

 後ろから体を抱き締められ、彼の腕の中にすっぽりと収まる。
 目の前のAVでも同じようにネコ役がソウに後ろから抱きかかえられ、ペニスを弄られていた。

「腰、浮かせて」
「……は、い」

 腰を浮かせて、履いていたズボンを脱いでいる間も、後ろからちゅうちゅうと耳元に吸い付かれて、体から力が抜けていく。
 もう下着を押し上げるほどにペニスが勃起していて、布地にシミを作っていた。

「あーあ、もう濡れてる」
「ひゃっ……!」

 ぺろんと下着からペニスを取り出され、先走りでぬかるむ先端を指で撫でられる。
 颯真さんは軽くペニスを扱くと、半端に引っかかっていた下着を俺の足から剥ぎ取った。

「足、ああやって開ける?」
「うっ……ゃ……」
「ほら、早く開いて」

 ふーっと息を吹き込みながら囁かれて、おずおずと足を開く。
 すると両膝に手を回され、足を左右に大きく割り開かれた。

「やっ……! だめですっ、恥ずかしい……!」
「いまさらだろ。それにもう、後ろも触らないと……」

 乾いた穴に指を這わされ、ひだを伸ばされる。
 まだ濡れてもいないのに、もう穴が口を開いて、颯真さんの指を咥え込もうとした。

「唯斗、ローションどこ?」
「そ、そふぁーのした……です」
「前と同じところに置いたんだ? 寝室じゃなくて?」
「寝室にもあります……」
「へぇ、ここでもセックスする気でいたんだ?」
「だって……いつも、ここでも、するから……」
「はは、唯斗のえっち」

 俺はエッチじゃないもん、むしろ颯真さんがところ構わず手を出すからだもん、と抗議したいけれど、期待していろんなところにローションを置いたのは否めない。

 ちなみに洗面所にもローションがあることを知っている。昨日、颯真さんが荷解きをしたときに、わかりやすく置いていたのを見たからだ。
 だから、俺だけが期待してセックスに備えているわけではないのだと頬を膨らませていると、ソファーの下からローションを取り出した颯真さんにキスされた。
 また後ろから体を抱き締めるようにかかえられて、足を大きく開かされる。

「どうした? そんないじけて」
「……俺だけがエッチなわけじゃないんですから」
「はいはい。俺の方が唯斗に夢中だよ」
「そういえばいいと思って……っ、ん」

 ローションを直接ペニスにかけられて、冷たさにぴくりと肩を跳ね上がらせる。
 颯真さんは自身の手にもローションをかけると、ずり、ずちゅっ、と音を立ててペニスを扱き始めた。

「んっ♡ あっあっ……!」
「こーら、足を閉じない」
「あッ、……あっ、だってぇ♡♡♡ ひぅ!!」

 ローションが後孔にも垂れてきて、穴がくぱくぱと開く。
 ペニスを扱く手もたまらなく気持ちがいいけれど、俺としては早く中を虐めてほしかった。

「あああッ、そこ、こすっちゃ、……んんッ♡♡」
「カリ、気持ちいいな」
「きもちぃ、きもちぃです……!!」

 AVのネコも同じように腕の中で腰を震わせていて、それを見ているだけでもガクガクと内腿が震えてくる。
 映像の中のソウが服の中に手を入れたら、同じように颯真さんも手を入れてきて、乳首をきゅっと抓ってきた。

「あっ♡♡♡ らめ、いっしょにしたらだめぇ……!」
「唯斗、服自分でたくし上げて」
「やっ、……むりっ、あっ♡ あッ♡♡」

 映像の中ではネコが自ら服をたくし上げているけれど、快楽で麻痺した俺の頭では指先すらいうことを聞いてくれない。
 気持ちよさに自ら腰を振っていると、あろうことか無理やり服をたくし上げられ、口の中に突っ込まれた。

「んぅ♡♡♡♡」
「しばらく、そうして噛んでて」
「んーッ、んんっ♡♡ ぅ゛♡♡」

 刺激されてぷっくりと腫れた乳首を指先でかりかりと弾かれたらたまらない。
 同時にペニスも弄られて、珍しく前だけでイきそうだった。

「んーーっ! んーーー♡♡」
「あ、まだイくなよ」
「~~~~~ッ!!」

 ぎゅうっと痛いぐらいに根元を握られて、行き場のない熱が腹の中で滞留する。

 ――画面の向こうではレンズを汚すほど射精しているのに。

 爆発寸前の熱をどうすることもできず、俺は颯真さんの腕に爪を立てた。
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