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第三十話
しおりを挟む何故かは分かりませんが、ルーチェたちと一緒に帰ることになりました。私としては魔塔にもう少し滞在したかったんですけどね。私は公的には第二皇女であって魔術師ではないので。
「一週間ぶりかしら?」
「帰りはルシアがいてくれてスムーズだったね」
「いい加減、転移魔法が一般魔法に入ってもいいと思うのですが……」
「バンバン使ってますけど、上位魔法ですからね?」
つい忘れてしまうんですよね。転移魔法は魔塔じゃ一般常識みたいなところがあるので。魔塔に所属している方たちは魔法のレベルも魔力量も桁違いですから。移動も基本的に転移魔法を使います。魔塔内部は魔法で拡張されているので無駄に広いですし。……まぁ、その広い空間をさらに広げているのは私たち魔術師なんですけどね。研究道具が増えすぎて、割り当てられた部屋だけでは足りないんです……。
「直近のイベントは建国祭よね」
建国祭……。言ってはいけないんですけど、苦手なんですよね。人がいっぱいいますし、当然のことながらパーティーも開かれます。友好国の使者の方々も来られますし、他のパーティーよりも圧倒的に人が多い。何より……。
「……またあの方いらっしゃいますよね」
「来るでしょうね」
その、友好国の方ではありませんが、毎年建国祭に来てくださる方が二人ほどいます。その方たちがとても個性的と言いますか、大変愉快な方たちです。そして何故か、私は気に入られている。その方たちの性格的に、私ではなくルーチェが合うとは思うのですが、しっかり私たちを見分けてくるので身代わり戦法もできません。
「大変ですね……」
「あら、他人事みたいに言ってるけれど、あなたも大変よ?」
エルピス伯爵令嬢のこともきちんと紹介しますよ? えぇ、もちろん。一人で相手をしたくないので建国祭のパーティーはずっと一緒ですからね。逃がしませんよ。死なば諸共と言うやつです。パートナーはオルコス卿かアイト卿なので安心してください。ドレスはお母様が私たちのと一緒に皇家ご用達のお店で頼むようですし。
「拒否権ってありませんかね」
「ないよ」
「ないわね」
「あると思いますか?」
今年からお母様の着せ替え人形が一人増えましたね。残念ながら我が家はお母様一強なので諦めてください。お父様はお母様大好き人間なので止めるワケがありません。お兄様はたまに様子を見に来て休憩はさせてくれますが、止める気配はありませんから。なんなら様子を見に来たシグニもついでとばかりに衣装作られますしね。
「……ちなみにそれっていつ頃ですかね」
「唐突に始まるから分からないかな」
私たちが集まっていると突然始まりますからね。毎回いる場所がバレるのは何故なのか……。城の中では護衛がついているワケでもないので、連絡する方もいないはずなんですがね。魔力でバレているにしても、行動早すぎませんか? 集まって十分ほどで採寸始まることとかありますよ?
「安心しなさい。基本お人形係はルシアだから」
「係じゃないです!」
ルーチェは定期的に服を買っていますし、ファッションセンスもあるのでお母様も何も言わないんですよね。私は普段からその……。ズボラと言うんですかね。ファッションやオシャレなどにあまり興味がないので、適当でして。正直に言えばドレスは動きにくいので使用人の方たちが着ている動きやすい服を着ていたい……。前にそれを言ったら怒られましたけどね。皇族が使用人の服なんて着たらなんて言われるか分かりませんからね。
言いたいことは分かります。でも、そのですね……? 私はのんびり過ごしたいです。自分の好きなことだけをしていたいです。いっそのこと魔塔に引きこもっていたいです。絶対に言いませんけどね。口に出した瞬間に家族会議が開かれますよ。そして【深淵】様や【氷華】様に叱られると思います。お二人の説教だけで留まればいいですが、最悪研究をしばらく禁止される可能性も…………。……考えたくないですね。
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