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第一章〜はじまりの森〜

実力

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「あの、10キロくらい先に魔物の反応があるんです。それも結構大規模な」
「本当か?」

 そう言われると自信なくなるけど、でも本当のことなんだよね。

「10キロ先までわかるの?!」
 
 リオさんに驚かれたため笑って誤魔化したが、実はもっと遠くまでわかる。

 すると何かを考えていたライリーさんがボソッと呟いた。

「ここから10キロって、街に結構近いんじゃ……」
「っ!」
「しかも集団?! もしかしてスタンピード?」
 
 スタンピードって確か家畜とかの集団暴走だよね。
 さすがに家畜はないだろうから、魔物とかが沢山いるのかな。

「とりあえず急ぐぞ! カナ、飛ばすからしっかり掴まれ」
「はい!」

 それから全速力で反応があるところへ向かう。
 スピードが速すぎて舌噛みそう……。

 普通なら1時間くらいかかるはずなのに20分くらいで結構近いところまで来た。

 この騎士団って体力という概念がないのかな。
 全速力でずっと足場の悪い森を走ってきたのに全く疲れていない。

 それはともかく、この世界の地理とかを全く学んでいない私にもわかることがある。
 それは恐らく壁を挟んで人間と魔物が対立しているということだ。
 もちろん壁なんて反応しないから分からないけど、魔物の大群と人間の集団の間に1本の線のようなものがある。
 ちゃんと魔物対策ができているところで良かった。
 それにしても……

「あの、この先は結構大きな街なんですか? 人の反応が多いから気になって……」
「ああ、この先はブラウン王国の王都だ」
「えっ、王都? 普通王都って国の中心にありません?」
「ブラウン王国は後ろが誰も入らないような森だからな」
「あっなるほど」

 さっきまで私達がいた森は本当に誰も入らないところだったんだ。
 それなら何故この騎士団はいたんだ?

「誰も入らないと言っても魔物は沢山いますから、定期的に調査しているんです」

 疑問に思ったことを口に出していないのにライリーさんが答えてくれた。
 さすがライリーさん!
 
 感心していると目の前に魔物が見え始める。
 すごい量の魔物が壁を攻撃していた。

 すると並走していたリオさんがさらに速度をあげ、魔物の群れに突入していく。

「行くぞルイ!」
『あぁ!』

 あっ、ちなみにルイはリオさんの馬のことね。
 熱血って感じでかっこいいんだよ!

 そしてリオさんは剣を抜き、その剣に炎を纏う。

 しかし後ろから来ているリオさんに気づいた魔物が振り返り、集団でリオさんに襲いかかってきた。

「危ない!」

 咄嗟にそう叫ぶが、リオさんは笑顔を見せた。

 そして剣を一振。
 すると炎が周りの魔物達を一気に焼き尽くし、あっという間に囲んでいた魔物が消え去る。

「かっこいい……」

 静かに呟いた言葉なのにリオさんははっきり聞き取り、振り向いて「ほんとに? やったー!」と喜んだ。

 うん、せっかくのかっこよさが台無しだよ。





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ま、間に合った……
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