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第二章〜ブラウン王国〜
ギルドにて
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鳥の姿で街まで戻ると、もう人が行動し始めていてとても賑やかだった。
こんなに人がいたら変身できないな……あっ、そういえば教会の近くって人いなかったよね。
というわけで教会の近くに下りて人間に変身し、ギルドへ歩き始めたわけなんだけど……また昨日の奴らがつけてきていた。
「しつこいなぁ、1回見失ったんだから諦めてよ」
と1人でボソボソと呟く。
とりあえずギルドに行くか。
ギルドに着いて中に入ると冒険者は疎らだった。
冒険者の1日は、ミアさん曰く朝依頼を登録して1日かけて依頼をこなし夕方帰ってくるというものらしい。
朝の依頼登録のピークは過ぎたみたいで、カウンターに並んでいる人はいなかった。
そのカウンターには前登録した時に対応してくれたエマさんが座っていたため、走って近づいた。
「エマさん!」
名前を呼ぶと私に気づき、カウンターの前に出てきてくれた。
そしてしゃがんで視線を合わせて挨拶してくれる。
「こんにちはカナさん。今日はどうしたの?」
「あのね、オークいっぱい倒してきたから買い取って欲しいの」
「えっ、1人で倒したの?」
「うん!」
(1人は危ないでしょ)
というエマさんの呟きは私には聞こえなかった。
「……とりあえず出してもらおうかな。いっぱいってどのくらい?」
「89体」
「……は?」
エマさんは固まってしまった。
まあそりゃそうだよね、だって5歳児が初めての討伐でオークを89体倒したって言うんだよ。
さすがに信じられないよね。
「と、とりあえず解体場に行きましょうか。そこで全部出してくれる?」
「うん」
そしてエマさんと一緒にカウンターの奥にある解体場へと向かう。
「おっ、珍しいなここに子供がくるなんて」
中に入るとガタイのいいお兄さんおじさんがいた。
「この子がオークを89体倒したって言ってるのでここで出してもらおうと思って」
「89体だぁ? ほんとか嬢ちゃん」
「うん、どこに出せばいい?」
「とりあえずそこのテーブルに出してくれ」
そして指された指の先を見ると大きなテーブルがあった。
乗り切らないと思うけどな……とりあえず出してみるか。
そしてオークを出した訳だが、思った通り乗り切らなかった。
「はみ出しちゃうからとりあえずこれだけね」
「……まだあんのか?」
「うん、あと40体くらい」
「この倍もあんのか……、今日は徹夜だな」
「やっぱり鮮度とかあるの?」
オークは豚肉みたいな感じで普通に食用となっている。
「ああ、はやく解体しないと悪くなっちまうからな」
「それなら日を分けて持ってこようか?」
「それは助かる。1日30体くらいだといいな」
「おっけー、じゃあしまうね」
解体できない分のオークをしまうと、エマさんがいなくなっていることに気づく。
「あれ? エマさんは?」
「ああ、そういえばいねーな。まあそのうち戻ってくんじゃね」
なんて話しているとエマさんが戻ってきた。
「カナさん、この後ちょっと時間ありますか?」
「あるけど、なんで?」
「オーク89体を同じ場所で倒したとなるとスタンピードが発生したことになるから、対策を考えたりしないといけなくて」
なるほど、情報提供しろってことか。
「いいよ」
「ありがとう。それじゃあちょっと移動しよう」
そして解体場を出て階段を上り、2階にある一室に入る。
部屋に入るとこれまたガタイのいい男の人が座っていた。
「おっ、きたか」
「こんにちは」
「俺はギルドマスターのハーヴェイだ。早速話を聞かせて欲しい」
「ちょっとまって」
さっきっから部屋の外で気配消して盗み聞きしている奴がいるんだよね。
相変わらずの後をつけてきてる奴らの1人なんだけど。
〈ねえ、外に盗み聞きしている奴がいるから防音魔法使っていい?〉
〈そんなやついるのか? まあいい、とりあえず頼む〉
〈了解〉
〈にしても念話まで使えるんだな〉
〈まあね〉
急に魔法を使うと驚かせると思ったから念話で確認を取った。
これはフェンリル先生に教わった魔法。
話したいことを相手を思い浮かべて心で話しかければそれが通じるというものである。
それから自分が魔物を倒した時の状況など、聞かれたことにこたえていった。
──────────
括弧の種類が多くなってしまった……
「」は人
『』は動物
〈〉は念話
()は心の声
で統一します。よろしくお願いします!
こんなに人がいたら変身できないな……あっ、そういえば教会の近くって人いなかったよね。
というわけで教会の近くに下りて人間に変身し、ギルドへ歩き始めたわけなんだけど……また昨日の奴らがつけてきていた。
「しつこいなぁ、1回見失ったんだから諦めてよ」
と1人でボソボソと呟く。
とりあえずギルドに行くか。
ギルドに着いて中に入ると冒険者は疎らだった。
冒険者の1日は、ミアさん曰く朝依頼を登録して1日かけて依頼をこなし夕方帰ってくるというものらしい。
朝の依頼登録のピークは過ぎたみたいで、カウンターに並んでいる人はいなかった。
そのカウンターには前登録した時に対応してくれたエマさんが座っていたため、走って近づいた。
「エマさん!」
名前を呼ぶと私に気づき、カウンターの前に出てきてくれた。
そしてしゃがんで視線を合わせて挨拶してくれる。
「こんにちはカナさん。今日はどうしたの?」
「あのね、オークいっぱい倒してきたから買い取って欲しいの」
「えっ、1人で倒したの?」
「うん!」
(1人は危ないでしょ)
というエマさんの呟きは私には聞こえなかった。
「……とりあえず出してもらおうかな。いっぱいってどのくらい?」
「89体」
「……は?」
エマさんは固まってしまった。
まあそりゃそうだよね、だって5歳児が初めての討伐でオークを89体倒したって言うんだよ。
さすがに信じられないよね。
「と、とりあえず解体場に行きましょうか。そこで全部出してくれる?」
「うん」
そしてエマさんと一緒にカウンターの奥にある解体場へと向かう。
「おっ、珍しいなここに子供がくるなんて」
中に入るとガタイのいいお兄さんおじさんがいた。
「この子がオークを89体倒したって言ってるのでここで出してもらおうと思って」
「89体だぁ? ほんとか嬢ちゃん」
「うん、どこに出せばいい?」
「とりあえずそこのテーブルに出してくれ」
そして指された指の先を見ると大きなテーブルがあった。
乗り切らないと思うけどな……とりあえず出してみるか。
そしてオークを出した訳だが、思った通り乗り切らなかった。
「はみ出しちゃうからとりあえずこれだけね」
「……まだあんのか?」
「うん、あと40体くらい」
「この倍もあんのか……、今日は徹夜だな」
「やっぱり鮮度とかあるの?」
オークは豚肉みたいな感じで普通に食用となっている。
「ああ、はやく解体しないと悪くなっちまうからな」
「それなら日を分けて持ってこようか?」
「それは助かる。1日30体くらいだといいな」
「おっけー、じゃあしまうね」
解体できない分のオークをしまうと、エマさんがいなくなっていることに気づく。
「あれ? エマさんは?」
「ああ、そういえばいねーな。まあそのうち戻ってくんじゃね」
なんて話しているとエマさんが戻ってきた。
「カナさん、この後ちょっと時間ありますか?」
「あるけど、なんで?」
「オーク89体を同じ場所で倒したとなるとスタンピードが発生したことになるから、対策を考えたりしないといけなくて」
なるほど、情報提供しろってことか。
「いいよ」
「ありがとう。それじゃあちょっと移動しよう」
そして解体場を出て階段を上り、2階にある一室に入る。
部屋に入るとこれまたガタイのいい男の人が座っていた。
「おっ、きたか」
「こんにちは」
「俺はギルドマスターのハーヴェイだ。早速話を聞かせて欲しい」
「ちょっとまって」
さっきっから部屋の外で気配消して盗み聞きしている奴がいるんだよね。
相変わらずの後をつけてきてる奴らの1人なんだけど。
〈ねえ、外に盗み聞きしている奴がいるから防音魔法使っていい?〉
〈そんなやついるのか? まあいい、とりあえず頼む〉
〈了解〉
〈にしても念話まで使えるんだな〉
〈まあね〉
急に魔法を使うと驚かせると思ったから念話で確認を取った。
これはフェンリル先生に教わった魔法。
話したいことを相手を思い浮かべて心で話しかければそれが通じるというものである。
それから自分が魔物を倒した時の状況など、聞かれたことにこたえていった。
──────────
括弧の種類が多くなってしまった……
「」は人
『』は動物
〈〉は念話
()は心の声
で統一します。よろしくお願いします!
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