【書籍化予定】どこからが浮気になるんだ?と、旦那様はおっしゃいました。

iBuKi

文字の大きさ
33 / 38

33

部屋の外で待機していたのだろう。
隊服を着た立派な騎士2人が颯爽と室内に入室してきた。
そして呆然と尻もちをついた状態のカルロッテの両腕を片方ずつ騎士が持ち立ち上がらせて拘束する。

「……なっ!何をするの!離しなさい!こんな事を私にして許されると思っているの!?」
両腕の拘束を外そうと激しく左右に身体を捩り、大声で騎士に喚くカルロッテ。
騎士2人はカルロッテが暴れても拘束した腕を開放する事などなく微動だにしていない。
若い女性を拘束しているのに、同情や申し訳無さを一切感じる事ない冷めた目付きでカルロッテを見つめる様は、恐らくカルロッテの事情を知っているのだろう。

「アンドレ様ぁ!…何ですのこれは…私は貴方の愛する女でしょう?
私の身代わりに娶った女など腕に抱いて…
私へのこの振る舞いは許しがたいけれど、今すぐ謝罪してその女と離縁して下さるのなら、
許してさしあげますわ。」

媚びた眼差しはそのままに上から目線で宣うカルロッテ。
今、何故自分が拘束されているのかは分からずとも、アンドレの憤怒の表情を見ても、
己がアンドレの愛する女だという事をひとつも疑っていない様は、薄気味悪く病的に見えた。


「お前は本当に笑えない冗談が好きだな。そして、究極の破滅主義と見える。連れていけ。」

一瞬、信じられない者を見る様にアンドレを凝視したカルロッテ。
騎士に引きずられる様に連れていかれつつも、
「何ですって!?離しなさい!離しなさいよっ!アンドレ様!アンドレ様!」
ずっとアンドレの名を呼び続けた。
公爵邸を出て外の馬車に押し込められるまで何度も。



「ああ、イルヴァ。怖い思いをさせてしまった…申し訳ない。怪我などないよね?大丈夫?」
眉を下げ困りきった顔でアンドレはイルヴァの全身に目を走らせる。

イルヴァはまだ呆然としていた。
カルロッテに飛びかかられそうになったと思ったらアンドレの胸に抱き締められ、
騎士2人が………耳にカルロッテのアンドレの名を呼ぶ声が未だに残っている。


「はい……大丈夫です。アンドレ様守って下さって有難うございました。」
「妻を夫が守るのは当然だよ。礼はいらない。
あの女とイルヴァを会わせたくなかったけれど、あの女を拘束する理由がなかった。
でも今回、イルヴァに対する侮辱と詐称と暴行未遂とたくさんの罪を犯してくれた。
平民であるあの女の処遇は後は皇太子が好きにするだろう。
もう二度とこんな不快な目には合わせないと誓うよ。」

アンドレのカルロッテへの怒りの炎は“あの女”呼びの事から鎮火していない様だけど、
カルロッテの事が片付き、これで本当に憂いなくスッキリと新婚夫婦としての生活が始まるのだ。

アンドレがイルヴァの柔らかい身体を引き寄せ、ギュッと抱き締めた。
世界一安心出来る腕の中でイルヴァはやっと家に戻ってきたと思ったのだった。



その夜、就寝前のアンドレとの静かな時間――――

「明日、王城へ行くよ。そして色んなゴタゴタを整理した後、
休みを貰ったら…視察を名目として、一緒に領地へ行こう。
そこの領地はね温泉もあって、湖畔の近くに別荘があるんだ。
そこで2週間くらい、2人でゆっくりしない?」

と、アンドレ様に提案された。

「はい!!是非、アンドレ様と一緒に行きたいです。夢の様です…」
温泉!湖!アンドレ様!とご褒美かの様な素敵なプランだ。

「ふふっ、イルヴァ。そんなに喜んでれるなんて…嬉しいよ。私もとても楽しみだ。
明日、必ず休みを確保してくるからね。楽しみにしておいて。」

イルヴァの喜びで蒸気した頬を手の甲でするりと撫でると、唇に軽くキスをした。

そっとイルヴァを胸の中に引き寄せベッドに横になる。

「イルヴァ、おやすみ。」
「…あ、アンドレ様……っ、おやすみなさいませ。」

アンドレの温かい胸に頬を寄せ…

――――ね、寝れるわけない!

と、胸中穏やかでないイルヴァである。

あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

夫の告白に衝撃「家を出て行け!」幼馴染と再婚するから子供も置いて出ていけと言われた。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵家の長男レオナルド・フォックスと公爵令嬢の長女イリス・ミシュランは結婚した。 三人の子供に恵まれて平穏な生活を送っていた。 だがその日、夫のレオナルドの言葉で幸せな家庭は崩れてしまった。 レオナルドは幼馴染のエレナと再婚すると言い妻のイリスに家を出て行くように言う。 イリスは驚くべき告白に動揺したような表情になる。 「子供の親権も放棄しろ!」と言われてイリスは戸惑うことばかりで、どうすればいいのか分からなくて混乱した。

契約婚しますか?

翔王(とわ)
恋愛
クリスタ侯爵家の長女ミリアーヌの幼なじみで婚約者でもある彼、サイファ伯爵家の次男エドランには愛してる人がいるらしく彼女と結ばれて暮らしたいらしい。 ならば婿に来るか子爵だけど貰うか考えて頂こうじゃないか。 どちらを選んでも援助等はしませんけどね。 こっちも好きにさせて頂きます。 初投稿ですので読みにくいかもしれませんが、お手柔らかにお願いします(>人<;)

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。

【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました

よどら文鳥
恋愛
 ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。  ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。  ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。  更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。  再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。  ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。  後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。  ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。