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34 (本編完結話)
美しい湖畔を一望出来る場所に、ヘルグレーン公爵家の別荘があった。
そこは、公爵夫人が亡くなるまで、毎年の夏の季節に訪れるヘルグレーン家にとって思い入れのある避暑地。
ここ数年はその思い出の場所を避けていたが、この度久しぶりにアンドレはこの地を踏んだ。
少し涼しい風が髪を撫で吹き抜けていく。
隣に立つイルヴァの腰を引き寄せ、耳元で囁いた。
「イルヴァ、ここは私の母との思い出深い場所なんだ。
この湖が一望出来る絶景の場所で、幼い私は色とりどりの花を摘み母にプレゼントしたものだ。
王都を離れ、父も母も社交も仕事も忘れ家族で過ごすこの場所は、大好きだった。
ここへ今日、イルヴァを連れて来る事が出来て、とても嬉しいんだよ。
――いずれ私達の子供達もここに連れてこようね。」
優しいアンドレ様の声が耳元で聞こえる。
甘く焦がれる様な声に、イルヴァは「何人もの子供達と愛する旦那様と、たくさんの思い出を作りましょうね。」と話す。
「…でも、まずはアンドレ様とたくさん思い出を作りたいです。
私は欲張りなんです。アンドレ様をもっともっと独占したい。誰より傍に居たい。
お慕いしております。愛しております。アンドレ様。」
イルヴァが話し終わると風が吹く。
風に揺れ、たくさんの花びらが中を舞った。
ふわりふわりとイルヴァの周りを花びらが降り積もる。
喜んで歓迎するとでもいう様に。
アンドレはイルヴァを繊細な宝物を閉じ込める様に抱き締めた。
「私も、イルヴァ…貴方を苦しい程にとても愛しているよ。いつまでも共に居てほしい。」
「……はい、いつまでお傍に居させて下さい。」
2人は蕩ける様に見つめ合った。
何かに引き寄せられる様に唇が重なる。
そっと唇を離す瞬間、アンドレはイルヴァ柔らかい唇を食む様にして離す。
真っ赤になったイルヴァの頬をするりと撫で、手を繋いだ。
イルヴァの手を引きながら別荘まて戻る道すがら、何度も立ち止まっては、アンドレはイルヴァに優しいキスをした。
別荘に戻った2人は晩餐を仲睦まじく取り、婚姻式の夜から切なくなる程に待ち続けた初夜を迎えた。
夫婦の寝室で全身を赤く染めて落ち着かないイルヴァの手を取り、ベッドへと連れていく。
2人でベッドの縁に腰掛けると、アンドレはイルヴァの瞼、頬、唇へと羽根の様に擽ったいキスを連ねる。
「やっと君を本当の意味で私のものに出来る。イルヴァ愛しているよ。」
「私も、愛してます…アンドレ様。」
羞恥で全身が熱いイルヴァ。
アンドレは背中を宥める様に擦る。
「大丈夫、怖い事は何もしないよ。私を信じて任せてくれる?」
「………はぃ。」
小さな声で囁く様に返事をした。
――その夜、アンドレはイルヴァのペースに合わせ、この上なく優しく愛した。
触れる指から溢れんばかりのアンドレの愛を感じたイルヴァは、アンドレの愛を疑う事はもうないだろう。
この上なく甘く熱く溶け合ったというのに、アンドレはまだ溶けたり無いとでもいう様に、ギュウギュウ抱き締められながら眠ったイルヴァ。
朝か昼か――カーテンの隙間から淡い光が降り注ぐ。
段々と目が覚めるに連れ、自分の背にぴったりとくっつく己ではない体温。
背中に押し当てられた心地よい熱が誰であるのかを思い出す。
「起きたかい?――おはよう愛しいイルヴァ。」
寝起きのアンドレの低く掠れた甘い声は、未だ夜の余韻を含む。
「はい、おはようございます、アンドレ様」
無理をさせなかっただろうか、少し心配なアンドレ。
「身体は辛くない…?」
イルヴァを引き寄せ、更にぴったりと寄り添うアンドレ。
「イルヴァ、どこからが浮気になるんだ?」
さよならを決意したあの瞬間を思い出す台詞に、イルヴァの胸はドキッとする。
イルヴァが何かを堪える様に歪んだ。
「ああ、違うよ!あの日をやり直したいだけだ。あの時たくさんイルヴァを傷つけてしまったから。
あの愚かな私をやり直せたらって…悪趣味だった、ごめん。」
イルヴァをギュッと強く抱きしめる。
ああ、そういう事なのね。
あの時のアンドレ様は顔を真っ青にして、見たこともない程に慌てていたと思う。
「アンドレ様、もう一度仰って下さいませ。」
「もう一度……?」
「ええ、もう一度お願いします。」
ふぅとアンドレが息を吐く。
自分だったら浮気はどこからだと思うのだろうか…。
イルヴァにそんな相手など勿論いないが、これから先他の男とダンスを踊る事もあるだろう。
イルヴァと本当の夫婦になった今、
エスコートで手が触れるだけでも許せないとさえ思ってしまう。
「――どこからが浮気になるんだ?」
イルヴァはあの時は、唇と唇を重ねたら浮気。と思っていた。
アンドレ様の温もりを知り、肌を重ねた今なら……
「アンドレ様の指先が他の女性に触る事すら嫉妬してしまいそうです。
恋人の様な抱擁を交わしたら、浮気ですか…?良くわからなくなってきました。」
「欲望なり好意なり、何らかの思慕を思って触れる事が浮気…でしょうか。」
「ああ、そうだね。何らかの気持ちを持って異性に触れたら、浮気だね。
ただの親愛の抱擁とかではなく、異性として意識していたり欲望を抱いたりしていれば。」
「イルヴァ以外に熱く見つめる事も欲望の対象になるとも有り得ないと思うが……
イルヴァを二度と不安にさせたりしない。」
イルヴァの頭のてっぺんにいくつもキスを落としながら、アンドレは掠れた声で囁いた。
「誓うよイルヴァ。――心から愛している。」
「私も誓います。――心から愛しています。アンドレ様。」
アンドレはイルヴァの両頬をそっと包み、瞳を覗き込む様に熱く見つめあった。
2人で過ごす朝の何と甘美な物なのかとアンドレは思った。
イルヴァを愛し愛される夫婦でありたい。イルヴァはずっと傍に居てくれるだろう。
きつく抱擁する。
重ねられた胸の鼓動がどくりどくりと重なる。
それは2人が生きている証。
前世の結婚式は「死がふたりを分かつまで」愛し続ける事を誓いますか?と言われるだろう。
だけど、私は…私とアンドレ様は、
――いつまでも。死がふたりを分かつしても、永遠に。と願った。
FIN
✂----------------------------
本編はこれにて完結致します。
しおりお気に入り登録など、私の稚拙な作品を応援して頂き有難うございましたm(_ _)m
本編は終わらせましたが、エピローグや番外編などを不定期に更新していきたいと思ってます。
何卒、これからも宜しくお願いします。
そこは、公爵夫人が亡くなるまで、毎年の夏の季節に訪れるヘルグレーン家にとって思い入れのある避暑地。
ここ数年はその思い出の場所を避けていたが、この度久しぶりにアンドレはこの地を踏んだ。
少し涼しい風が髪を撫で吹き抜けていく。
隣に立つイルヴァの腰を引き寄せ、耳元で囁いた。
「イルヴァ、ここは私の母との思い出深い場所なんだ。
この湖が一望出来る絶景の場所で、幼い私は色とりどりの花を摘み母にプレゼントしたものだ。
王都を離れ、父も母も社交も仕事も忘れ家族で過ごすこの場所は、大好きだった。
ここへ今日、イルヴァを連れて来る事が出来て、とても嬉しいんだよ。
――いずれ私達の子供達もここに連れてこようね。」
優しいアンドレ様の声が耳元で聞こえる。
甘く焦がれる様な声に、イルヴァは「何人もの子供達と愛する旦那様と、たくさんの思い出を作りましょうね。」と話す。
「…でも、まずはアンドレ様とたくさん思い出を作りたいです。
私は欲張りなんです。アンドレ様をもっともっと独占したい。誰より傍に居たい。
お慕いしております。愛しております。アンドレ様。」
イルヴァが話し終わると風が吹く。
風に揺れ、たくさんの花びらが中を舞った。
ふわりふわりとイルヴァの周りを花びらが降り積もる。
喜んで歓迎するとでもいう様に。
アンドレはイルヴァを繊細な宝物を閉じ込める様に抱き締めた。
「私も、イルヴァ…貴方を苦しい程にとても愛しているよ。いつまでも共に居てほしい。」
「……はい、いつまでお傍に居させて下さい。」
2人は蕩ける様に見つめ合った。
何かに引き寄せられる様に唇が重なる。
そっと唇を離す瞬間、アンドレはイルヴァ柔らかい唇を食む様にして離す。
真っ赤になったイルヴァの頬をするりと撫で、手を繋いだ。
イルヴァの手を引きながら別荘まて戻る道すがら、何度も立ち止まっては、アンドレはイルヴァに優しいキスをした。
別荘に戻った2人は晩餐を仲睦まじく取り、婚姻式の夜から切なくなる程に待ち続けた初夜を迎えた。
夫婦の寝室で全身を赤く染めて落ち着かないイルヴァの手を取り、ベッドへと連れていく。
2人でベッドの縁に腰掛けると、アンドレはイルヴァの瞼、頬、唇へと羽根の様に擽ったいキスを連ねる。
「やっと君を本当の意味で私のものに出来る。イルヴァ愛しているよ。」
「私も、愛してます…アンドレ様。」
羞恥で全身が熱いイルヴァ。
アンドレは背中を宥める様に擦る。
「大丈夫、怖い事は何もしないよ。私を信じて任せてくれる?」
「………はぃ。」
小さな声で囁く様に返事をした。
――その夜、アンドレはイルヴァのペースに合わせ、この上なく優しく愛した。
触れる指から溢れんばかりのアンドレの愛を感じたイルヴァは、アンドレの愛を疑う事はもうないだろう。
この上なく甘く熱く溶け合ったというのに、アンドレはまだ溶けたり無いとでもいう様に、ギュウギュウ抱き締められながら眠ったイルヴァ。
朝か昼か――カーテンの隙間から淡い光が降り注ぐ。
段々と目が覚めるに連れ、自分の背にぴったりとくっつく己ではない体温。
背中に押し当てられた心地よい熱が誰であるのかを思い出す。
「起きたかい?――おはよう愛しいイルヴァ。」
寝起きのアンドレの低く掠れた甘い声は、未だ夜の余韻を含む。
「はい、おはようございます、アンドレ様」
無理をさせなかっただろうか、少し心配なアンドレ。
「身体は辛くない…?」
イルヴァを引き寄せ、更にぴったりと寄り添うアンドレ。
「イルヴァ、どこからが浮気になるんだ?」
さよならを決意したあの瞬間を思い出す台詞に、イルヴァの胸はドキッとする。
イルヴァが何かを堪える様に歪んだ。
「ああ、違うよ!あの日をやり直したいだけだ。あの時たくさんイルヴァを傷つけてしまったから。
あの愚かな私をやり直せたらって…悪趣味だった、ごめん。」
イルヴァをギュッと強く抱きしめる。
ああ、そういう事なのね。
あの時のアンドレ様は顔を真っ青にして、見たこともない程に慌てていたと思う。
「アンドレ様、もう一度仰って下さいませ。」
「もう一度……?」
「ええ、もう一度お願いします。」
ふぅとアンドレが息を吐く。
自分だったら浮気はどこからだと思うのだろうか…。
イルヴァにそんな相手など勿論いないが、これから先他の男とダンスを踊る事もあるだろう。
イルヴァと本当の夫婦になった今、
エスコートで手が触れるだけでも許せないとさえ思ってしまう。
「――どこからが浮気になるんだ?」
イルヴァはあの時は、唇と唇を重ねたら浮気。と思っていた。
アンドレ様の温もりを知り、肌を重ねた今なら……
「アンドレ様の指先が他の女性に触る事すら嫉妬してしまいそうです。
恋人の様な抱擁を交わしたら、浮気ですか…?良くわからなくなってきました。」
「欲望なり好意なり、何らかの思慕を思って触れる事が浮気…でしょうか。」
「ああ、そうだね。何らかの気持ちを持って異性に触れたら、浮気だね。
ただの親愛の抱擁とかではなく、異性として意識していたり欲望を抱いたりしていれば。」
「イルヴァ以外に熱く見つめる事も欲望の対象になるとも有り得ないと思うが……
イルヴァを二度と不安にさせたりしない。」
イルヴァの頭のてっぺんにいくつもキスを落としながら、アンドレは掠れた声で囁いた。
「誓うよイルヴァ。――心から愛している。」
「私も誓います。――心から愛しています。アンドレ様。」
アンドレはイルヴァの両頬をそっと包み、瞳を覗き込む様に熱く見つめあった。
2人で過ごす朝の何と甘美な物なのかとアンドレは思った。
イルヴァを愛し愛される夫婦でありたい。イルヴァはずっと傍に居てくれるだろう。
きつく抱擁する。
重ねられた胸の鼓動がどくりどくりと重なる。
それは2人が生きている証。
前世の結婚式は「死がふたりを分かつまで」愛し続ける事を誓いますか?と言われるだろう。
だけど、私は…私とアンドレ様は、
――いつまでも。死がふたりを分かつしても、永遠に。と願った。
FIN
✂----------------------------
本編はこれにて完結致します。
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何卒、これからも宜しくお願いします。
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