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第77話 晩餐会。
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――――婚約式の余韻が残るままに、ノヴァーク公爵家の大広間では、婚約式に招待された三公爵家、ノヴァークの影の仕事を共に担う傘下貴族家や寄り子などの人々がそのまま披露宴を兼ねた晩餐会に参加しており、婚約式には招待されておらず参加出来なかった公爵三家や傘下貴族の令嬢たちも晩餐会には参加できるということもあり、人数はさらに膨れ上がっている。そして、今まさに始まっていた。
煌びやかなシャンデリアの下、長く伸びたテーブルには季節の食材をふんだんに使った料理が並び、銀器が静かに光を反射している。
プルメリアは、クリスティアンの隣に座っていた。
式の緊張はまだ少し残っていたが、彼の穏やかな笑みと、時折注がれる視線が、それを優しく溶かしていく。
「緊張、まだ残ってる?」
「……少しだけ。でも、クリスティアン様が隣にいてくださるので、だいぶ落ち着きました」
「それならよかった。君の笑顔が見られないと、どんな料理の味も半減するからね」
「そんな大袈裟な……」
プルメリアはクリスティアンの冗談に思わず笑ってしまう。
「ようやく笑ったか」
「お気遣いありがとうございます。慣れない笑顔で表情筋がもうガチガチです」
「あと少しだ。それに警戒するのは公爵三家くらいで後はノヴァークの傘下貴族ばかりだから、プルメリアが泥酔しておかしなダンスでも踊らない限り大丈夫」
「お酒って飲んだことないですね」
「そうなのか。飲ませてみたいけど俺の居ないところじゃダメだ。でも、今日は少量にしておこうね。夜は長いし、ね?」
「はい、晩餐会で失態は出来ませんから、気をつけます」
クリスティアンの発言の意図はそこではなかったが、プルメリアはひとり気合いを入れている。
「まぁ……いいか。あまり気構えられても可哀想だ」
クリスティアンは、そんなプルメリアの様子をジッと見つめて、ぽつりと溢す。
「ふふ、私、晩餐会で出される食事すっっごく楽しみにしてたんです」
「食いしん坊……だから?」
「……否定はしませんが、何か食いしん坊って言われるとモヤッとします」
「褒めてるんだけどな」
「いや、褒めてないですよね?」
プルメリアはジト目でクリスティアンを見る。
クリスティアンはその貴族令嬢らしからぬ豊かな表情の愛らしさに、思わず笑ってしまう。
ふたりの間に、柔らかな空気が流れる。
そんな二人の様子を周囲の者たちはしっかり見ていた。
田舎の伯爵令嬢との婚約に政略的な要素は見られなかったが、殆どその姿を知られていなかった令嬢は、とても美しい令嬢であった。
だが、このノヴァーク家嫡男との様子を見て「相思相愛」で結ばれた、恋愛的要素のある婚約なのだと受け取った。
現当主も夫人だけを娶り、第二夫人もおらず妾すらいない。
クリスティアンの女性遍歴は随分と華やかだったので、もしかしたらと期待を持っていたのだが――――
次代もその線が強そうだなと諦念とともに理解する。
プルメリアと婚姻後、嫡子が無事に誕生してノヴァークが安泰が約束されたのちに、様子を見つつ第二夫人や妾として自分の娘を推そうと思っていた親は勿論のこと、その座を狙っていた娘たちはクリスティアンに恋慕するものが多く、ひどく落胆した。
プルメリアはクリスティアンとの応酬で、緊張がほぐれいつの間にかソレを忘れてしまっている。
周囲の視線が集まっていることなど、今はもう気にならなかった。
♦♢♦♢♦♢
食後の歓談の時間。
プルメリアは、晩餐会から参加している他の公爵家令嬢たちに囲まれていた。
招かれた三公爵家の令嬢たちは、皆華やかで、洗練された雰囲気を纏っていた。
「あなたが、クリスティアン様の婚約者……」
「思っていたより、ずっと可憐な方なのね」
「ドレスも素敵。あら、首元にあるネックレスはノヴァーク家の宝飾品でしょう? ブルーサファイアの髪飾り、代々のものよね」
言葉は柔らかいが、視線にはそれぞれの思惑が滲んでいた。
羨望、嫉妬、そして探るような好奇心。
プルメリアは微笑みながら、丁寧に応じる。
「はい。公爵夫人を筆頭にノヴァーク家の皆様が選んでくださった装いです。とても光栄に思っています」
「謙虚なのね。……でも、クリスティアン様の微笑みじゃなく屈託のない笑顔を浮かべられているのを初めて拝見しましたわ」
「えっ……」
「ふふ、嫉妬してるわけじゃないの。ただ、そうね……ほんの少し、いえ、とっても羨ましいだけよ」
その言葉は飾ったわけではない素の本音なのだと感じ、プルメリアは少しだけ肩の力を抜いた。
彼女たちもまた、王国の中で力のある公爵家のご令嬢たちであり、使命や格式を重んじ、他の貴族家よりも重い役割のある中で生きる方たち。
失礼のないように気をつけなければと緊張はする。
けれど、公爵令嬢たちから敵意は感じられなかった。
「王都での生活は慣れないことも多いと思うけれど、困ったことがあれば、私たちにも声をかけてね」
「ありがとうございます。……心強いです」
その時、少し離れた場所からクリスティアンが視線を送ってきた。
プルメリアが囲まれているのを見て、少しだけ眉を上げる。
けれど、彼女が微笑んで頷くと、すぐに安心したように目を細めた。
――この場所で、少しずつ自分の居場所が広がっていく。
そう感じられた瞬間、プルメリアの胸は静かに温かくなった。
♦♢♦♢♦♢
三公爵家の現当主の方々と次代を担う嫡男の方々、ノヴァーク公爵家の表も裏も関わりのある傘下貴族家や寄り子の方々への紹介も恙無く終わり、プルメリアの婚約者としての役割は無事に終了したのだった。
プルメリアは先に退席後、これから準備があるとドレスを脱がされている。
レイチェルが「夜の女神、いや夜の天使でいきます?」とプルメリアに訊いてきた。
(夜の女神? 天使……? なにが?)
レイチェルの会話の意図がよくわからず首を傾げる。
「夜の女神なら夜着は青灰色を意識したものがあるんですけど、透け感がちょっと刺激的すぎるというか、プルメリア様は初心者なのでやはり純白でいくのが正解かもしれませんね?」
「透け感? 純白?」
「あら。プルメリア様とクリスティアン様の初夜の夜着ですよ。初夜は一生に一度しかないのですから、今夜はもう徹底的に磨かれてくださいね!」
レイチェルが気合いをこめて握りこぶしを胸に掲げる。
「初夜!? えっ、今日は婚約式が執り行われたわけではなくて、婚姻式だったの!?」
何て勘違いだったのかと戸惑うプルメリアに、レイチェルは生温い目を向ける。
「いえ、ご安心くださいませ。婚約式でしたよ、プルメリア様」
「そ、そうよね、衣装も白だったしとんでもなく豪華だったから、まさかと思ってしまったわ。よかった……いやよくない。初夜は婚姻式の後では?」
「婚約式を執り行われてしまえば、もう実質夫婦のようなもので。下位貴族であれば婚約式は挙げないくらいですよ。公爵家は執り行わないということは絶対許されませんので婚約式はします。婚姻式は半年から長くても一年後くらいまでには執り行われます。しかし初夜は婚約式後でも婚姻式後でもどちらでも自由なんですよ。高位貴族になるとかなり盛大に婚約式を執り行うので、実質夫婦と世間に認められたようなものなのです」
「……初めて知りました」
「そうですか……でも、今日が初夜だと指示がありましたので、初夜になりますプルメリア様」
「……レイチェル、わたし緊張で吐きそう」
顔を青くさせるプルメリア。
(……え、あの国宝級の美形に平凡な私の裸体を晒すの、今夜!? これが分かっていたらダイエットとか筋トレとか少しでもしたのに!)
公爵家の食が美味しすぎて、パクパクなんでも美味しく頂いていたプルメリア。
お腹の肉はちょっと摘める気がすると大慌てである。
「プルメリア様……? えっ!? しっかりなさってください」
レイチェルも大慌てである。
大慌てながら何とかプルメリアを落ち着かせ、レイチェルと侍女たちがプルメリアを徹底的に磨き上げるのだった。
✂--------------
ご覧頂き有難うございました。
次話は少しお時間頂きまして、早くても日曜夜かな……に投稿します。
R18が難産過ぎましたら、月曜以降になりますm(_ _)m
煌びやかなシャンデリアの下、長く伸びたテーブルには季節の食材をふんだんに使った料理が並び、銀器が静かに光を反射している。
プルメリアは、クリスティアンの隣に座っていた。
式の緊張はまだ少し残っていたが、彼の穏やかな笑みと、時折注がれる視線が、それを優しく溶かしていく。
「緊張、まだ残ってる?」
「……少しだけ。でも、クリスティアン様が隣にいてくださるので、だいぶ落ち着きました」
「それならよかった。君の笑顔が見られないと、どんな料理の味も半減するからね」
「そんな大袈裟な……」
プルメリアはクリスティアンの冗談に思わず笑ってしまう。
「ようやく笑ったか」
「お気遣いありがとうございます。慣れない笑顔で表情筋がもうガチガチです」
「あと少しだ。それに警戒するのは公爵三家くらいで後はノヴァークの傘下貴族ばかりだから、プルメリアが泥酔しておかしなダンスでも踊らない限り大丈夫」
「お酒って飲んだことないですね」
「そうなのか。飲ませてみたいけど俺の居ないところじゃダメだ。でも、今日は少量にしておこうね。夜は長いし、ね?」
「はい、晩餐会で失態は出来ませんから、気をつけます」
クリスティアンの発言の意図はそこではなかったが、プルメリアはひとり気合いを入れている。
「まぁ……いいか。あまり気構えられても可哀想だ」
クリスティアンは、そんなプルメリアの様子をジッと見つめて、ぽつりと溢す。
「ふふ、私、晩餐会で出される食事すっっごく楽しみにしてたんです」
「食いしん坊……だから?」
「……否定はしませんが、何か食いしん坊って言われるとモヤッとします」
「褒めてるんだけどな」
「いや、褒めてないですよね?」
プルメリアはジト目でクリスティアンを見る。
クリスティアンはその貴族令嬢らしからぬ豊かな表情の愛らしさに、思わず笑ってしまう。
ふたりの間に、柔らかな空気が流れる。
そんな二人の様子を周囲の者たちはしっかり見ていた。
田舎の伯爵令嬢との婚約に政略的な要素は見られなかったが、殆どその姿を知られていなかった令嬢は、とても美しい令嬢であった。
だが、このノヴァーク家嫡男との様子を見て「相思相愛」で結ばれた、恋愛的要素のある婚約なのだと受け取った。
現当主も夫人だけを娶り、第二夫人もおらず妾すらいない。
クリスティアンの女性遍歴は随分と華やかだったので、もしかしたらと期待を持っていたのだが――――
次代もその線が強そうだなと諦念とともに理解する。
プルメリアと婚姻後、嫡子が無事に誕生してノヴァークが安泰が約束されたのちに、様子を見つつ第二夫人や妾として自分の娘を推そうと思っていた親は勿論のこと、その座を狙っていた娘たちはクリスティアンに恋慕するものが多く、ひどく落胆した。
プルメリアはクリスティアンとの応酬で、緊張がほぐれいつの間にかソレを忘れてしまっている。
周囲の視線が集まっていることなど、今はもう気にならなかった。
♦♢♦♢♦♢
食後の歓談の時間。
プルメリアは、晩餐会から参加している他の公爵家令嬢たちに囲まれていた。
招かれた三公爵家の令嬢たちは、皆華やかで、洗練された雰囲気を纏っていた。
「あなたが、クリスティアン様の婚約者……」
「思っていたより、ずっと可憐な方なのね」
「ドレスも素敵。あら、首元にあるネックレスはノヴァーク家の宝飾品でしょう? ブルーサファイアの髪飾り、代々のものよね」
言葉は柔らかいが、視線にはそれぞれの思惑が滲んでいた。
羨望、嫉妬、そして探るような好奇心。
プルメリアは微笑みながら、丁寧に応じる。
「はい。公爵夫人を筆頭にノヴァーク家の皆様が選んでくださった装いです。とても光栄に思っています」
「謙虚なのね。……でも、クリスティアン様の微笑みじゃなく屈託のない笑顔を浮かべられているのを初めて拝見しましたわ」
「えっ……」
「ふふ、嫉妬してるわけじゃないの。ただ、そうね……ほんの少し、いえ、とっても羨ましいだけよ」
その言葉は飾ったわけではない素の本音なのだと感じ、プルメリアは少しだけ肩の力を抜いた。
彼女たちもまた、王国の中で力のある公爵家のご令嬢たちであり、使命や格式を重んじ、他の貴族家よりも重い役割のある中で生きる方たち。
失礼のないように気をつけなければと緊張はする。
けれど、公爵令嬢たちから敵意は感じられなかった。
「王都での生活は慣れないことも多いと思うけれど、困ったことがあれば、私たちにも声をかけてね」
「ありがとうございます。……心強いです」
その時、少し離れた場所からクリスティアンが視線を送ってきた。
プルメリアが囲まれているのを見て、少しだけ眉を上げる。
けれど、彼女が微笑んで頷くと、すぐに安心したように目を細めた。
――この場所で、少しずつ自分の居場所が広がっていく。
そう感じられた瞬間、プルメリアの胸は静かに温かくなった。
♦♢♦♢♦♢
三公爵家の現当主の方々と次代を担う嫡男の方々、ノヴァーク公爵家の表も裏も関わりのある傘下貴族家や寄り子の方々への紹介も恙無く終わり、プルメリアの婚約者としての役割は無事に終了したのだった。
プルメリアは先に退席後、これから準備があるとドレスを脱がされている。
レイチェルが「夜の女神、いや夜の天使でいきます?」とプルメリアに訊いてきた。
(夜の女神? 天使……? なにが?)
レイチェルの会話の意図がよくわからず首を傾げる。
「夜の女神なら夜着は青灰色を意識したものがあるんですけど、透け感がちょっと刺激的すぎるというか、プルメリア様は初心者なのでやはり純白でいくのが正解かもしれませんね?」
「透け感? 純白?」
「あら。プルメリア様とクリスティアン様の初夜の夜着ですよ。初夜は一生に一度しかないのですから、今夜はもう徹底的に磨かれてくださいね!」
レイチェルが気合いをこめて握りこぶしを胸に掲げる。
「初夜!? えっ、今日は婚約式が執り行われたわけではなくて、婚姻式だったの!?」
何て勘違いだったのかと戸惑うプルメリアに、レイチェルは生温い目を向ける。
「いえ、ご安心くださいませ。婚約式でしたよ、プルメリア様」
「そ、そうよね、衣装も白だったしとんでもなく豪華だったから、まさかと思ってしまったわ。よかった……いやよくない。初夜は婚姻式の後では?」
「婚約式を執り行われてしまえば、もう実質夫婦のようなもので。下位貴族であれば婚約式は挙げないくらいですよ。公爵家は執り行わないということは絶対許されませんので婚約式はします。婚姻式は半年から長くても一年後くらいまでには執り行われます。しかし初夜は婚約式後でも婚姻式後でもどちらでも自由なんですよ。高位貴族になるとかなり盛大に婚約式を執り行うので、実質夫婦と世間に認められたようなものなのです」
「……初めて知りました」
「そうですか……でも、今日が初夜だと指示がありましたので、初夜になりますプルメリア様」
「……レイチェル、わたし緊張で吐きそう」
顔を青くさせるプルメリア。
(……え、あの国宝級の美形に平凡な私の裸体を晒すの、今夜!? これが分かっていたらダイエットとか筋トレとか少しでもしたのに!)
公爵家の食が美味しすぎて、パクパクなんでも美味しく頂いていたプルメリア。
お腹の肉はちょっと摘める気がすると大慌てである。
「プルメリア様……? えっ!? しっかりなさってください」
レイチェルも大慌てである。
大慌てながら何とかプルメリアを落ち着かせ、レイチェルと侍女たちがプルメリアを徹底的に磨き上げるのだった。
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