王家の影である美貌の婚約者と婚姻は無理!

iBuKi

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閑話 ライアン一族は公爵家に仕えている。①

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ライアンの一族は王家の影となった公爵家に何代もずっと古くから仕えてきた。

 王国の盾の部分と諜報の部分を担うことやその他もろもろの些細な部分までのすべてを影の仕事と一括りにしているが、仔細は多岐に渡る。

 そのため当主を煩わせないために全てのことを把握して下のものたちに差配する役割もライアンの一族が一手に担っていた。



 諜報とは何もハニートラップだけが全てではない。

 情報こそが最大の武器としてその情報を得るためにする役割は山程ある。

 裏の情報屋と何百もツテを持ち情報を得るが、情報屋にとって利の多い相手に有利になるよう嘘の情報を掴まされることも多い。

 そこで裏取りが必要な訳であるが、裏取りにも内容によっては時間が掛かる。

 貴重な情報と与えられたものは特に慎重に裏取りをしなければならないからだ。

 情報は時間を置いて泳がせた方が価値が上がるものと、すぐに動かなければゴミになるものと様々で、生物のように管理が難しいものもある。

 スピードが必要なものはすぐに動かなければならないが、いちいち裏取りをして時間が掛かればゴミと化す。

 時間がないからと焦ってしまい、信用出来るか出来ないか精査しないものに飛びつくと罠に変わる可能性もある。

 だから、公爵家独自で情報屋も育てて囲っていたりもする。

 性根が腐りきった血生臭く暴力の香りがする者たちも上手く使い拷問時に利用したりもする。そういう奴らは人を傷つけることに躊躇いはない。

 諜報員たちは従者や執事に家令、メイドや女官や乳母を装って他の貴族や商会や王宮まで様々な場に潜入している。他国すらへも潜入させている。

 情報源はあればある程いいからだ。

 そんな膨大な人数を管理するとしても、大貴族の当主にそういう者たちの細かい管理が出来るような時間があるはずがない。

 そこで騎士を除く人事管理の全てを一手に担い、当主から絶大な信頼を得る存在が必要なのだった。

 ライアン一族は影に日向にと当主家族を支えている。

 国王からの許可を得て大人数を有した公爵家専属の騎士団があるが、そこはまた別の一族が担っているのでライアン一族は関与しない。

 独自の武器や道具を開発する一族もいる。

 世界的な大商会を運営しているので、そちらの管理も別の一族がしている。



 クリスティアン様はあの美貌からハニートラップ専門かのように思われるかもしれないが、どちらかといえば他の者が情報を収集し裏取りをとったものを纏めてどうするのが最大の効果を得られるのか仮説を立て、そこからの相手の動きの先を予測し筋道を作って、次の一手二手三手までの罠を張る頭脳労働がメインだ。

 その頭脳は公爵家当主様を唸らせるほどであるが、当主様はクリスティアン様を表立って褒めることはしない。

 お互いに素直ではないもの同士で、傍で拝見させられる使用人からすれば歯がゆい思いをさせられている。

 クリスティアン様に至っては当主様に注意されたこととは反対の行動をとり反抗するようなところもある。

 反抗期がまだ続いてるようだ。

 私がお諌めしてもどこ吹く風といったところで改める様子は今のところない。

 反抗はされるがその事で公爵家に不利益が生じたり、諜報活動に支障が出ている訳ではなく、それどころかたまに凄いものを引き当ててきたりもして、当主様は呆れながらもこの程度なら可愛いものだと放置しているようだ。



 そんなクリスティアン様が婚約者にとお選びになられたご令嬢は風変わりな方であった。

 王国内の中でも上位に位置する良質な小麦を産出している領地。

 そこを治めている伯爵家の当主は領民に混じって畑仕事をする変わり者。

 年に二度開催される王家の夜会に参加するも、一通り挨拶を済ませると夜会を楽しんだり、有力な繋がりを得る為の交流に勤しむこともなく、すぐにいなくなるらしい。

 そのように交流に積極的ではない貴族当主はたまにいる。

 然程めずらしくもない行動をいろいろと知られているのは、伯爵だからだろうと思われる。それも特にご夫人がたにとって。



 ノヴァーク公爵家当主様やその御子息であるクリスティアン様とは毛色の違う美しい容貌の持ち主がクレスディ伯爵家当主であった。

 人の好みはそれぞれであるが美しさでは勝るとも劣らぬ方らしい。

 その方の唯一の子であるご令嬢であれば、どれほどに美しいのであろうか。



 デビュタントで見初めたクリスティアン様は自分が動かせる諜報員を動かしクレスディ伯爵家の全てを丸裸にした調書を受け取った。

 そこにはクレスディ伯爵家の全てが記されているが、やはり気になるのはクリスティアン様が婚約者にと望むご令嬢の情報。

 受け取った調書の全てをクリスティアン様は速読で読み終えると、私へと調書を渡し「読んでどう思うか教えてくれ」と仰った。

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