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24話 落胆

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「一体、これは何事だ?」

「?!」
 背後から聞き覚えのある声がして、フユメが振り向くと… 予想通り、そこにはビジネスバックを下げたカイリが立っていた。

<あ! カイリさん!! 良かったぁ~…!>
 カイリの顔を見て、ホッ… とフユメは安堵のため息をもらす。

 そんなフユメにチラリと視線を寄こしたが… カイリはすぐにヒロキへと視線を移した。


「お帰りなさいカイリさん、お疲れ様です」

「何かあったのか、ヒロキ?」  

 ヒロキが声をかけると…
 カイリはフユメではなく、ヒロキにたずねた。

「センリが初対面の平沢さんに、過剰反応したのです… 偶然近くにいた朝日君が巻き込まれて、それで気分が悪くなって」

「ああ、それは弟が失礼なことをして悪かったね朝日君… それでヒロキは大丈夫なのか?」

 他人に対するような態度で、カイリはフユメに雇用主らしい謝罪をし… ヒロキに対しては、心配そうに気ずかう言葉をかけた。

「ええ、僕は慣れているので、大丈夫ですけど…」
 ヒロキは気まずそうに、フユメをチラリと見た。

「まったくセンリの奴! 自分の妻が妊娠中だと忘れたのか?! いつまで経っても子供っぽくて困る!」
 イライラと怒りをあらわにし、カイリはオフィスのスミでにらみ合う、センリと平沢の所へと行く。


「・・・っ?!」
<あれ? カイリさん…?! 僕の心配はしてくれないの?! ええええ~?!>

 ホッ… としたのもつかの間、カイリの素っ気ない態度に、フユメはショックを受け、大きく落胆することになった。

「参ったな… 妊娠してからカイリさんまで、僕に過保護な態度をとるんだよ、気ずかってくれるのはありがたいけど、妊娠は病気では無いし、もっと気楽にとらえてくれると良いのに…」

 困った顔でヒロキはカイリの後ろ姿をながめた。


「・・・・・・」
<確かに、妊娠中のヒロキさんを一番に心配するのは、人として当たり前かもしれないけど… 具合が悪くなったのは僕の方なのに、カイリさんは少しも、婚約者の僕を心配してくれなかった… 何か寂しい!>

 こんなことで、すねるなんて子供っぽいと思いつつ、カイリに無視された気がして、フユメは地味に傷ついた。


 その後すぐに、カイリは神田グループの関連で、料亭で夕食をとりながらの会合があるらしく、再び会社を出て行った。


 つまり今夜はフユメと夕食はとらないという意味だ。

 そこでフユメは、再び大きく落胆した。





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