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38話 発情期が明けて…
しおりを挟む2週間ぶりにカイリに抱かれ、不安定になっていたオメガのホルモンのせいで、フユメは本格的な発情期が始まってしまい…
結局、大学を1週間休んだ。
浅い眠りの中… 隣でカイリが動く気配を感じ、フユメはぼんやりと目を開く。
ベッドから静かにおりてクローゼットへと行き、シュッ… シュッ… と衣擦れの音をたてながら、朝の清浄な光の中… カイリがいつもの隙のない姿へと変わってゆく。
毎朝、この光景をベッドからながめるのが、フユメは大好きだった。
「・・・・・・」
<ああ… カイリさん、疲れた顔をしているなぁ… もっと、もっと欲しいと、僕がカイリさんにしがみついて甘えていたから…>
フユメは発情期で大学を休んでも… 会社のトップであるカイリは、立場上簡単に仕事を休むことができない。
半日会社に出て… 自宅で出来る仕事は持ち帰り、書斎でこなしながら… フユメが目覚めると一緒に食事をして、フユメが寝落ちするまでセックスをする。
この1週間、カイリはフユメを中心に、毎日を送っていた。
「・・・・・・」
<もう発情期も終わりかぁ~… カイリさんを独り占めする時間も、終わったんだ…?>
裸のまま眠っていた自分の身体を… フユメはゆっくり、胸から下腹へと掌でなでおろす。
身体中を支配していた発情の熱が引くと… ずっとヂクヂクと疼いていた乳首やペニスが、熱心に一週間休まずカイリに可愛がられたおかげで、ヒリヒリと痛んだ。
<ずっと… 発情期なんて、身体が辛くて、苦しくて… 子どもを産むために必要だとわかっていても、面倒だから僕の身体から消えて無くなれば良いと思っていた… でも今は発情期が終って、すごく寂しいよ…>
ネクタイを締め終え、上着を着たカイリが振り向き… フユメと目が合った。
「なんだ、起きていたのか…」
ニコリと笑い、カイリはベッドへ戻って来ると、寝ころがるフユメの頬にキスを落とす。
「ぉ…は…ょぅ… ヵィ…リ…さん…」
快楽に溺れあえぎ続けたせいで、喉が痛み… フユメの声はかすれて弱々しくなってしまったが、笑みを浮かべてカイリに朝の挨拶をした。
「おはよう、フユメ… 身体、辛そうだな?」
「う…ん… だぃ…じょ…ぅ…ぶ… だょ…」
<確かに身体はだるいけれど、それよりも寂しい方が辛い…>
手をのばしてカイリの頬に触れ… キスがしやすいように、フユメは顔を横向きから、仰向けにする。
カイリは迷わず、フユメが欲しかった唇にキスを落とした。
「朝食は食べられそうか?」
「ん… 後…にす…る… 眠ぃ…」
「なら、昼に帰ってくるから、一緒に食べよう」
「ん…」
フユメは首を横に振り…
カイリを毎日受け入れた、お腹の奥深い場所が痛んだが、ゆっくりと身体を起こした。
「フユメ?」
「僕は…自分…で… 作れるから… 大丈夫… カイリさん… 忙しぃ…でしょ…?」
カイリの頬にもう一度触れ… 今度はフユメからカイリの唇にキスをする。
チュッ… と吸って唇を離し、フユメが微笑むと… カイリが困った顔をする。
「でも、フユメ… 辛いだろう?」
カイリはジッとフユメを見つめた。
「・・・・・・」
もう一度フユメはカイリにチュッ… とキスをして笑った。
「わかったよ… なら、食事は無理してフユメが作らず、下の店に注文して届けてもらいなさい、良いね?」
マンション内に住民専用のレストランが併設されていて、この一週間はそこから食事を取り寄せていた。
(フユメの感覚ではすごくお高い)
「・・・・・・」
こくりっ… とうなずき、フユメは苦笑した。
「それと、食事を受け取る時は、絶対に厚い生地の服を着るように! 薄いシャツではダメだよ?」
チラリとカイリは、裸のフユメの乳首を見下ろした。
「・・・っ!」
眉間に深いしわを寄せ、険しい顔をするカイリの視線につられて、フユメも自分の乳首を見下ろし… 全身を真っ赤にそめる。
赤く尖った乳首は、普段よりも2回りほど大きくはれて、煽情的だった。
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