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20話 ナシオと僕2
昼も、夜も、毎日抱かれるうちに、僕は2度とナシオから離れたくないと思うほど… ナシオを深く愛してしまった。
初めての夜は一夜限りの関係だから……
『ナシオが何も言わないなら、僕は詮索しないでおこう』
…と思っていたけれど。 今はナシオが誰なのか気になってしかたない。
だから…
『ナシオは何をしている人なの? 家名は?』
…とたずねると。
『誰かわからない謎の男の方が、オレに興味がわくだろう?』
…とナシオはすぐにはぐらかすし。 …無理に聞きだそうとすれば、面倒臭いヤツだと嫌われそうで怖いし。
執事のベネディクトさんがいう通り、ナシオは普段からすごく忙しい人らしいのはわかる。
僕が疲れて眠っている時間に仕事をしているナシオは、王宮に部屋を与えられるぐらい、重要な地位に就いているのは確かだけど。
そんなふうに仕事や自分のことをあまり話したがらないから、いまだにナシオが何者なのか僕は知らない。
悪い人ではないのはわかる。
でも心配事は山積みだから、言いたいことは言うつもりだ。
仕事から帰って来たナシオと夕食をとりながら、僕は話を切り出した。
「ナシオはいつ眠るの? 僕のために身体を壊すようなことはしないでよ」
抱かれるのはすごく嬉しいけれど。 でも好きな人に無理をしてもらいたくないよ。
「オレは睡眠時間が短くても大丈夫な身体なんだ。 アルファならそんなものさ」
お肉をナイフで切り分け、口に運びモリモリと食べながらナシオが答えた。
戦争が終わった今も食料不足は続いていて、メアヴェール伯爵家でこんなに大きなお肉を見ることは無い。 でもここでは毎日、僕も食べさせてもらえるから少し申し訳ない気がしている。
「確かにオメガの僕やベータに比べれば、そうかもしれないけど…」
それでもナシオの目の下にクマを見つけてから、僕は心配でたまらないよ!
「必要なだけ眠っているから心配するな。 戦時中は3,4日眠らずに作戦の指揮を執るのは、当たり前だったから平気だよ」
「でも… 少しぐらい僕も発情期を我慢できるから、本当に無理しないでよ」
「それよりもジェレミー、しっかり食事をしろ。 それでは猛り狂ったオレの相手はできないぞ?」
「もう、だから揶揄わないでよ! 僕は真面目に心配しているんだから!」
すぐ近くに執事のベネディクトさんがいるのに、何てことを言うのさ!
「ふふふっ… 可愛いのにジェレミーは優しいな」
「ナシオ!」
ニヤニヤと笑うナシオを、カッ… と熱くなった顔を向けてにらみつけたら…
「ふふふっ… ジェレミー… そんな可愛い顔でオレを煽るなよ」
「煽ってないよ!」
「ふふふっ… 可愛いなぁ……」
「もうっ!! ナシオ…ったら!! 意地が悪いよ?」
「そんな可憐な顔で怒られてもなぁ…?」
「///////////////…っ」
今まで、オメガにしては地味で平凡な僕を褒めるのは家族だけだった。 婚約者のマウリシオ様なんて問題外だ。
ナシオのようにカッコ良くて素敵なアルファに、褒められたことなんて本当に無いから、僕は戸惑うばかりで調子が狂ってしまう。
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