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32話 ネックガード アーヴィside
しおりを挟む手加減したつもりだったが…
グッタリと石壁に凭れるヴィトーリアを抱き上げ、アーヴィは慌てて部屋まで連れ帰る。
ベッドにヴィトーリアを下ろすと手早く服を脱がせた。
「すみませんアーヴィ…」
幸せそうに微笑むヴィトーリアを見て、アーヴィは胸が締め付けられる感覚に戸惑う。
「イヤ… オレが悪かった」
ついつい、言葉が素っ気なくなる。
ヴィトーリアの服を、今夜はベッドの下へ落とさず、アーヴィはまとめてベッド脇にある椅子の背に掛けた。
その時テーブルの上の大剣とその横に置いた、紙で包み赤いリボンで縛ったヴィトーリアへの贈り物が視界に入り手に取る。
「開いてみろ… お前にだ、嫌なら捨てろ」
裸でベッドに座るヴィトーリアに包みを渡し、服を脱ぎ始めるアーヴィ。
無関心を装っているが、ヴィトーリアの反応がスゴク気になっている。
「あっ! …ネックガード?! わぁ素敵です… 可愛い…!!」
ヴィトーリアの白い肌に合わせた、クリーム色に染めた革を何枚も重ね分厚く仕上げたベルトに…
瞳の色によく似た紺青色の宝石、サファイアで作った勿忘草の可憐な花が、一つ留め金部分に咲いている。
「気に入ったか?」
「はい! 嬉しいです…」
紺青色の花を、指で愛おし気に撫でるヴィトーリア。
ヴィトーリアがネックガードをウットリと眺めているのを見て、アーヴィは内心、ホッと胸を撫で下ろす。
今、首に付けているヴィトーリアのネックガードは、柔らかくて目立たず、実用的に見えるが、実際はとても薄く出来ていて…
情交中にアーヴィが興奮して本気で項を噛めば、番の絆が結ばれてしまうのではないか? …と思ったのだ。
実際、購入した店でその話をさりげなく聞くと、アーヴィの読み通りだった。
<ヴィトーリアを一番危険にするのは、オレ自身だからな… さっきは本当に危なかった!>
「ヴィー…付けてやるよ」
新しいネックガードを受け取り、小さな紺青色の花の部分をカチリと外す。
シュルシュルと紐を首から引き抜き、ヴィトーリアは叔母に買って貰った15歳の頃から愛用していた、柔らかいヤギ革のネックガードを外す。
細く長い美しい首が現れアーヴィは激しい欲望を感じた。
<噛まなければ… 少しぐらい味わっても良いのではないか?!>
ヴィトーリアをベッドに押し倒し、喉に鼻を摺り寄せ匂いを嗅ぐ。
下腹に全身の血が集まったように熱く猛っていた。
「美味そうな… 甘い香りがする… 涎が垂れそうだ…」
<歯が疼く… むずむずとして… 口の中いっぱいに唾が…>
「アーヴィ…?」
ヴィトーリアは不安そうに、陶酔するアーヴィの頬を撫でる。
「ハッ!」
アーヴィは我に返り、パッと離れる。
「…悪い! あんまり綺麗な首だから… ネックガードで隠すのが勿体ない気がしたんだ」
慌てて自分からヴィトーリアの首を隠すようにネックガードを装着し、アーヴィは紺青色の花をカチリと留める。
「それと、もう一つ…!」
上着のポケットから小さな袋を出し、中から子供の小指ほどの鍵を取ると、アーヴィは紺青色の花をスライドさせ、花の下に隠されていた小さな鍵穴に差し込み鍵を掛ける。
「鍵?!」
「誰にもお前が奪われないように」
口をパカリと開けてアーヴィを見上げるヴィトーリア。
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