侯爵に買われた妻Ωの愛と葛藤

金剛@キット

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57話 放蕩息子の里帰り

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 西方地域で一番の大貴族、オエスチ侯爵家。


 子供の頃、一度だけ来たコトがある、オエスチ侯爵邸をヴィトーリアは、大人になってからも、ぽか~んと口を開けて眺める。

 外観は威風堂々と言った感じの石造りの建物だが…

 <一歩中に入ると、豪華絢爛…? ケバケバの派手派手?>


 王都で滞在していた、オウロ公爵邸も豪華ではあるが舞踏室や音楽室など華やかな、催しをする部屋は華美な内装で纏めていたが…

 それ以外の場所は落ち着いた雰囲気で居心地よい空間が多かったのに比べて…


「ヴィトーリア… 口、閉じとけよ! 蠅が飛び込むぞ」
  
 隣に立つアーヴィが、ヴィトーリアの顎に指を添え…

「う? うん?」

 ヴィトーリアの口は、パクンッとアーヴィに閉じられる。



「まぁ! …私の大事な放蕩息子がやっと帰ってきたね!!」

 先代のオエスチ侯爵夫人が涙ぐみながら、玄関ホールにやって来て、躊躇なく自分よりずっと大柄な息子を抱きしめる。

 ヴィトーリアよりも小柄なオメガの男性だ。


「母上、申し訳ありません」
 
 アーヴィは母の背中をキュッと抱き寄せ、両頬にキスをする。


「分かっていますよ、お父様とアナタが合わないのは… 離れていた方が上手くいくと言うコトもね」

 目尻の涙をハンカチで拭いながら、息子から離れる母。


「母上、妻を連れて帰りました」

 アーヴィがヴィトーリアに手を差し伸べる。


「奥様…お久しぶりです」

 ヴィトーリアはアーヴィの手を取り、先代侯爵夫人に静かにお辞儀をする。

「あらあら! 増々、美しくなって… 瞳の色はお父様譲りだけれど、若い頃のお母様によく似ている」

 ハッと顔を上げ、ヴィトーリアは先代侯爵夫人の顔を見た。


「アナタの義母になれてとても嬉しいですよ、私はコリーナが大好きでしたから」

 コリーナとはヴィトーリアの亡き母の名前だ。


 義父とヴィトーリアの父カルネイロはあまり交流は無かったようだが…

 母親同士は年も近く、お互い他の地域から嫁いできたという似た境遇から、自然と仲が良くなったのだそうだ。


「お義母様… 私も嬉しいです」

 久しぶりに母の名前を聞いて、嬉しくなった。


 義母はヴィトーリアを抱きしめる。
 
 ヴィトーリアもアーヴィと同じように、自分よりも小柄な義母を抱きしめる。




 3人は家族用の居間へ移り、お茶を飲みながらお互いの近況を話し合った。


「ふふふふっ…いくら話しても尽きないから、明日にしましょう、2人とも長旅で疲れたでしょう? 少し休みなさいな」

「ありがとうございます、お義母様」

<良かった… お義母様とは仲良くなれそう!>



 ホッと胸を撫で下ろすヴィトーリアをアーヴィは見守る。






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