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75話 冷たい床の上3

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「僕が必要?! ならなぜ、僕を殺そうとするんだ?!」
<訳が分からないよ… この男は、一体何が言いたいのか?!>

 
「あなたをこの霊廟で焼き殺せば、残虐王ボルカンが再び"炎の惨劇"を、生意気な側妃に対して起こしたのだと、重臣たちに貴族… それに平民たちは簡単に信じるでしょう?」

「そんなことを信じさせて、何をすると言うのさ?!」
<この反逆者たちは、そんなことを考えていたなんて! 本当に許せないよ!!>


「あんな野蛮人でも、ボルカンはそこそこ善政を敷いていましてね、残虐王でも凡庸な先代王よりずっと頼りになる強い王だと、重臣たちの中には褒めるような愚か者がいるのです… 私はそういう奴らにボルカンの本性を教えてやろうと、思っているのですよ」

「本性だって? こんなことを僕にするお前の方が、よほど野蛮で性悪ではないか!!」
<要するに、この詐欺師パラグアスは勤勉で有能な賢王のボルカン様に嫉妬しているのか?!>

 冷静ではいられず、パラグアスの挑発に負けて、カナルは怒鳴り散らした。


「ですがきっと… 証拠など無くとも、あなたを焼き殺したのはボルカンだと、誰もがそう信じて疑わないでしょうね」

 挑発に乗ったカナルから、嘲笑ではなく怒りを引き出せたことが嬉しいらしく…
 ニヤニヤと悦に入り、パラグアスはカナルの頬を撫でていた指を徐々に胸へと下ろしてゆく。


「・・・っ!!」
 毎晩ボルカンに可愛がられ、敏感に感じるようになってしまった胸に触れられ、カナルはビクリッ… と震えてしまう。

「フフフフッ… 番でもない私の愛撫に感じてしまうなんて、カナル様はずいぶんと淫乱な質のようだ… 本当に惜しい! 惜しくてたまりませんよ!」 

 カナルの反応に気を良くしたパラグアスは、びりびりと薄い寝衣を破き白く滑らかな胸が現れた。

 赤く尖ったカナルの乳首に、パラグアスは触れようと手を伸ばす。


「何、何をする?! 僕に触れるな―――ッ!!!」
 縛られてはいない足をばたばたと動かし、カナルはパラグアスを蹴り飛ばそうとするが… 逆に足首をつかまれ股を大きく開かれてしまう。

「止め… 止めろ―――ッ!! 下劣な反逆者!!」

「おやおや… これは何ともそそる光景ですね」

「お前のようなのを、野蛮人と言うのだ!! 恥を知れ―――っ!!」
 太ももに油でくっ付いていた薄い寝衣がはだけ… 寝室でボルカンを待っていたために、下着を付けていないカナルの秘部が男たちの前にさらされる。

「ボルカンを虜にしたこの身体を、一度ぐらい味わっても良いでしょう? 私の方が先にあなたを気に入ったのだし… そうは思いませんか? どうせこの後この美しい身体は真っ黒に焦げて炭になったしまうだけなんだ、もったいないではありませんか!」


 パラグアスの兄2人は、ボルカンに強い恨みを抱いているのだろう…

 沈黙を守り弟の卑劣な行為を、冷ややかに見ていた。   






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