上 下
123 / 150
番外編 ~悪夢の世界で…

115話 狂犬2 フィエブレside ※流血あり、嫌いな方はご注意を!

しおりを挟む


 フィエブレは… 一斉に自分の命令を無視し始めた騎士たちが、許せなかった。 


<クソッ!! 忌々いまいましい奴らめ!!>

 特にフィエブレの命令に、いつも不満げな顔で渋々従っているという態度を隠さない、目の前で警告をする補佐役の騎士が、一番気に入らなかった。


「これ以上は見るにたえない!! 我々もこのことを、エンペサル侯爵閣下に報告します!! アナタは自分の今後のために、新人の腕が折れていないことを、祈るべきでしょうね!!」
 騎士団長の補佐役である騎士が、厳しい口調でフィエブレに警告した。


「うるさいぞ、お前!! いい加減その軽い口を閉じろ!! お前は剣の腕は無いくせに、口ばかり上手くて、お前こそ本当にそれで騎士と言えるのか?!」

<年を取っているというだけで、私に指図するとは… 剣の腕も家柄の良さも何も無いくせに! 何かと言うとエレヒルの名を出して、私に反抗するこいつは許せない!!>

 腰に下げた剣をフィエブレがさやから抜くと、警告を発した補佐役の騎士は顔色を変えた。

「待て! お前… まさか本気では無いだろうな?」
 補佐役の騎士はゆっくりと、フィエブレの剣が届かない位置まで下がろうとするが…

「私に向かってお前だと? お前こそ、口のきき方に注意しろ――っ!!!」
 年長の騎士が下がれば、フィエブレは何時でも切りせられるように、前へ進み間合いを詰める。

 フィエブレの側面に居た騎士が、金属がこすれる音を立てながら、鞘から剣を抜く。

 そちらに一瞬だけ視線をチラリと送ると、フィエブレの真後ろに立つ騎士も同じ音を立てて剣を抜く。

 2人の騎士が剣を抜いたら、3人目、4人目の騎士まで続けて剣を抜く。


「お前は剣を抜かなくて良いのか?」
 フィエブレは、少し前まで警告を発していた補佐役の騎士を挑発した。

「やっぱりお前は頭がおかしい!! 狂っている!!」
 補佐役の騎士も後ろに下がりながら、剣を抜こうと柄に手を掛ける。

 ニヤリと笑い、フィエブレは目の前の騎士が剣を鞘から抜ききる前に、素早く喉を切り裂いた。


「っ…!!」
 補佐役の騎士から大量の血が吹き出し、フィエブレは血の雨を浴びる。

「これで不愉快な嫌味を、この男の口から二度と聞かなくて済むぞ!!」
 顔に付いた返り血を拭うことも無く、フィエブレはゲラゲラと笑い、次は誰を殺そうかとグルリと身体を回す。


「ずっと私を騎士団長としては未熟過ぎると、バカにして来たお前ら自身の肉と骨を切って、私の実力を見せてやろう!」


「・・・っ」
 周りを囲んでいた騎士たちは、フィエブレは本当に狂っているのだと、この時ようやく悟り… 言葉を失った。

  ―――そして、怒りに駆られたフィエブレをなだめるのではなく、挑発し怒らせてしまったことを後悔した。






しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:8,608pt お気に入り:3,097

異世界でおまけの兄さん自立を目指す

BL / 連載中 24h.ポイント:12,091pt お気に入り:12,476

生贄王は神様の腕の中

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:37

公爵様と行き遅れ~婚期を逃した令嬢が幸せになるまで~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,108pt お気に入り:25

婚約破棄させてください!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:8,614pt お気に入り:3,022

サドオスと痴漢バーでマゾアクメ。

BL / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:83

モブの俺が巻き込まれた乙女ゲームはBL仕様になっていた!

BL / 連載中 24h.ポイント:3,741pt お気に入り:7,623

最推しの義兄を愛でるため、長生きします!

BL / 連載中 24h.ポイント:24,353pt お気に入り:12,911

処理中です...