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番外編 ~悪夢の世界で…
115話 狂犬2 フィエブレside ※流血あり、嫌いな方はご注意を!
しおりを挟むフィエブレは… 一斉に自分の命令を無視し始めた騎士たちが、許せなかった。
<クソッ!! 忌々しい奴らめ!!>
特にフィエブレの命令に、いつも不満げな顔で渋々従っているという態度を隠さない、目の前で警告をする補佐役の騎士が、一番気に入らなかった。
「これ以上は見るにたえない!! 我々もこのことを、エンペサル侯爵閣下に報告します!! アナタは自分の今後のために、新人の腕が折れていないことを、祈るべきでしょうね!!」
騎士団長の補佐役である騎士が、厳しい口調でフィエブレに警告した。
「うるさいぞ、お前!! いい加減その軽い口を閉じろ!! お前は剣の腕は無いくせに、口ばかり上手くて、お前こそ本当にそれで騎士と言えるのか?!」
<年を取っているというだけで、私に指図するとは… 剣の腕も家柄の良さも何も無いくせに! 何かと言うとエレヒルの名を出して、私に反抗するこいつは許せない!!>
腰に下げた剣をフィエブレが鞘から抜くと、警告を発した補佐役の騎士は顔色を変えた。
「待て! お前… まさか本気では無いだろうな?」
補佐役の騎士はゆっくりと、フィエブレの剣が届かない位置まで下がろうとするが…
「私に向かってお前だと? お前こそ、口のきき方に注意しろ――っ!!!」
年長の騎士が下がれば、フィエブレは何時でも切り伏せられるように、前へ進み間合いを詰める。
フィエブレの側面に居た騎士が、金属がこすれる音を立てながら、鞘から剣を抜く。
そちらに一瞬だけ視線をチラリと送ると、フィエブレの真後ろに立つ騎士も同じ音を立てて剣を抜く。
2人の騎士が剣を抜いたら、3人目、4人目の騎士まで続けて剣を抜く。
「お前は剣を抜かなくて良いのか?」
フィエブレは、少し前まで警告を発していた補佐役の騎士を挑発した。
「やっぱりお前は頭がおかしい!! 狂っている!!」
補佐役の騎士も後ろに下がりながら、剣を抜こうと柄に手を掛ける。
ニヤリと笑い、フィエブレは目の前の騎士が剣を鞘から抜ききる前に、素早く喉を切り裂いた。
「っ…!!」
補佐役の騎士から大量の血が吹き出し、フィエブレは血の雨を浴びる。
「これで不愉快な嫌味を、この男の口から二度と聞かなくて済むぞ!!」
顔に付いた返り血を拭うことも無く、フィエブレはゲラゲラと笑い、次は誰を殺そうかとグルリと身体を回す。
「ずっと私を騎士団長としては未熟過ぎると、バカにして来たお前ら自身の肉と骨を切って、私の実力を見せてやろう!」
「・・・っ」
周りを囲んでいた騎士たちは、フィエブレは本当に狂っているのだと、この時ようやく悟り… 言葉を失った。
―――そして、怒りに駆られたフィエブレをなだめるのではなく、挑発し怒らせてしまったことを後悔した。
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