花婿探しに王都へ来たら、運命の番が2人いた?!

金剛@キット

文字の大きさ
2 / 32

1話 勇者たちの凱旋

しおりを挟む
 
 ――― 2年前…
 隣国の北部に住みつき、その土地で暮らしていた人々をらい、全滅ぜんめつさせた『暴虐ぼうぎゃくのドラゴン』が… えさとなる人間を求めて、王国に飛来ひらいした。

 人の手で『暴虐ぼうぎゃくのドラゴン』を退治するのは、不可能だと言われていたが… 王国でも1、2を争う魔導士でもある王太子ラティゴと、この世で最も強い男と評される勇者アルマドゥラを中心に結成された討伐とうばつ隊が、奇跡的にドラゴンを殺すことに成功したのだ。

 そんな奇跡を起こした王太子と勇者たちが、ドラゴンの心臓と切り落とした頭とともに、王都に凱旋がいせんする!!


「おい、まだ勇者アルマドゥラ様は来ないのか?!」
「あっちの立派な人は王太子殿下か?!」
「あの黒い馬に乗っている方が勇者様ではないか?!」
「おおおお~っ!!」
「すげぇ~ デカイ人だ!!」

 勇者たちを一目みようと、街道沿いに押し寄せた人々にまぎれ… デアリバ男爵家の令息オメガのヒラソルは、勇者たちと共に戦った、に熱い視線を送っていた。

「……」
 確かに勇者アルマドゥラ様や王太子殿下のことも気になるけれど… 僕のねらいは勇者様たちに同行した、騎士様たちの方なんだ! あの中から絶対に、僕の花婿はなむこを見つけてやる!

 不意にヒラソルは… 少し前に自分が起こした醜聞しゅうぶん騒ぎのことが脳裏をよぎり、その頃感じていた悔しさで小さくののしった。

「クソッ…! あんなことさえ無ければ、苦労はしなかったのに…」
 僕がやらかした醜聞しゅうぶん騒ぎなんて… この王都でなら、普通にあることなのに?! 僕が暮らすデアリバ男爵領が、あまりにも田舎すぎるから… 騒ぎが大きくなってしまったんだ!! 本当に悔しいよ!

 偶然、ヒラソルがオメガの発情抑制剤を切らしていた時に… 近隣の貴族(アルファ)が、ヒラソルの父に会いに訪問した。

「あんなの事故じゃないか! それなのに……」
 僕が父親と同年代のおじさんに、発情するなんて?! それも学園の同級生の父親に…!! 誰が見ても事故じゃないか?!
 
 だが、ヒラソルが発情した原因を作った貴族の息子が… ヒラソルとは犬猿の仲と言えるほど、仲が悪いオメガの同級生だった。

『僕のお父様をヒラソルが誘惑しようとしたんだ! あいつは自分の親と同じ年代のアルファに発情するような、淫乱いんらんな尻軽オメガなんだ! なんて恥知らずなんだろうね?!』
 ヒラソルと仲の悪い同級生は、面白おかしく学園中で話しまくり… ヒラソルの評判は地に落ち、決まっていた婚約は破棄され、適齢期てきれいきのアルファたちに見向きもされなくなったのだ。


「……」
 あの性悪オメガ!! 僕の元婚約者が欲しくて、大騒ぎしたに決まっている! 2人とも絶対、不幸になれ! 僕が結婚出来なかったら、2人仲良く頭がはげげて勃起不全ぼっきふぜんになるよう… 全身全霊をかけてのろってやるからなぁ―――っ?!!

 そのうわさを流した同級生は、今ではヒラソルの元婚約者と、結婚をしている。 

「絶対に素敵な旦那様を捕まえて、お持ち帰りするんだから!」
 地元の田舎では花婿さがしは絶望的だけど… 目の前を颯爽さっそうと歩く騎士たちの中に、きっと僕の未来の旦那様がいる!
 戦場から帰還きかんしたばかりのアルファの騎士たちなら、オメガにえているから、ねらい目だと叔父様も言っていたし?!

 ヒラソルはギュッ… と拳をにぎり、自分に気合いを入れる。



 母方の叔父に頼んで連れて来てもらい、ヒラソルは王都で開かれる、ドラゴン討伐とうばつの成功を祝うパーティに出席する予定だ。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

婚約破棄された俺の農業異世界生活

深山恐竜
BL
「もう一度婚約してくれ」 冤罪で婚約破棄された俺の中身は、異世界転生した農学専攻の大学生! 庶民になって好きなだけ農業に勤しんでいたら、いつの間にか「畑の賢者」と呼ばれていた。 そこに皇子からの迎えが来て復縁を求められる。 皇子の魔の手から逃げ回ってると、幼馴染みの神官が‥。 (ムーンライトノベルズ様、fujossy様にも掲載中) (第四回fujossy小説大賞エントリー中)

待て、妊活より婚活が先だ!

檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。 両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ! ……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ! **ムーンライトノベルにも掲載しております**

KINGS〜第一王子同士で婚姻しました

Q矢(Q.➽)
BL
国を救う為の同盟婚、絶対条件は、其方の第一王子を此方の第一王子の妃として差し出す事。 それは当初、白い結婚かと思われた…。 共に王位継承者として教育を受けてきた王子同士の婚姻に、果たしてライバル意識以外の何かは生まれるのか。 ザルツ王国第一王子 ルシエル・アレグリフト 長い金髪を後ろで編んでいる。 碧眼 188cm体格はしっかりめの筋肉質 ※えらそう。 レトナス国第一王子 エンドリア・コーネリアス 黒髪ウェーブの短髪 ヘーゼルアイ 185 cm 細身筋肉質 ※ えらそう。 互いの剣となり、盾となった2人の話。 ※異世界ファンタジーで成人年齢は現世とは違いますゆえ、飲酒表現が、とのご指摘はご無用にてお願いいたします。 ※高身長見た目タチタチCP ※※シリアスではございません。 ※※※ざっくり設定なので細かい事はお気になさらず。 手慰みのゆるゆる更新予定なので間開くかもです。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

憎くて恋しい君にだけは、絶対会いたくなかったのに。

Q矢(Q.➽)
BL
愛する人達を守る為に、俺は戦いに出たのに。 満身創痍ながらも生き残り、帰還してみれば、とっくの昔に彼は俺を諦めていたらしい。 よし、じゃあ、もう死のうかな…から始まる転生物語。 愛しすぎて愛が枯渇してしまった俺は、もう誰も愛する気力は無い。 だから生まれ変わっても君には会いたく無いって願ったんだ。 それなのに転生先にはまんまと彼が。 でも、どっち? 判別のつかないままの二人の彼の愛と執着に溺死寸前の主人公君。 今世は幸せになりに来ました。

処理中です...