花婿探しに王都へ来たら、運命の番が2人いた?!

金剛@キット

文字の大きさ
12 / 32

11話 美丈夫とお湯の中2

しおりを挟む
 
 王都へ来て早々に、目的を果たすこともなく、大失敗を次々とやらかしてしまい、ジワリ… とヒラソルの瞳に涙がにじんだ。


「どうしよう…? お父様とお母様に… 何て言おう?」
 お婿むこさんを見つけるどころか… 大きな借金を背負うことになってしまうなんて?! 僕が世間知らずだったから… こんなドジを!!

 不注意にも慣れない王都で単独で行動し、路地裏ろじうらで襲われ気絶した。
 そのうえ、見知らぬ美丈夫びじょうぶに裸で抱かれた状態で目覚め、ついでに自分が大きな借金をしてしまったことをヒラソルは知る。
 指で少しつついただけで、ヒラソルの心はボロボロとくずれ落ちそうなほど弱ってしまう。

 グスッ… グスッ… と鼻をすすりながら、うつむくヒラソルを見て… 美丈夫びじょうぶは苦笑を浮かべてたずねる。 
「お前… 名前は何というんだ?」

「僕の名前? ヒラソルです… デアリバ男爵家の1人息子でヒラソルです」
「ヒラソル、治療費はいらないから心配するな」

「え?!」
 パッ… と顔を上げて、ヒラソルは美丈夫を見あげる。

「知り合いの魔導士に頼んだと言っただろう? だから大丈夫だ! それにあいつは金を請求しなくても、じゅうぶん裕福だから… こちらが治療費を渡しても、逆に受け取らないだろう」

「本当に?!」
 そんな人がいるの?! …でも、高位貴族なら、ありえるのかな?

「心配するな、ヒラソル!」
「ああ… 良かった!」

「ふふふっ…」 
 ホッ… と胸をなでおろすヒラソルのほほを、ゴツゴツと太い指でなでながら、美丈夫は面白そうに笑った。


「………」
「………」


 しばらくのあいだ沈黙が続き… ヒラソルはようやく、自分が置かれた異常な状況について、考えるだけの落ち着きを取り戻す。  
「……っ」
 そういえば僕は… 裸で知らないアルファに抱かれてる?! こ… この人は、いったい誰なの?!

 大人2人が入っても、ゆったりと余裕がある大きな浴槽よくそうの中で、チャプンッ… チャプンッ… と湯がはねる音を立てながら、ヒラソルは丸見えだった自分の股間こかんを手で隠す。
 本当はピンクにそまった乳首も隠したかったが… そこまで隠すと、逆にかっこ悪く見えて、恥ずかしい気がして我慢した。
 
「…あ… あの… あなたのお名前を聞いても良いですか?」
 うう… 恥ずかしい! 今さらだけど、本当に恥ずかしい! 結婚前に知らないアルファに裸をさらすなんて?!

「オレの名まえ……?」

「はい、教えてください… あ… あなたは僕の恩人ですから…」
 も… もしかして… この後、僕はこの人に身体の関係をせまられたりするのかな? でも、強姦魔ごうかんまから助けてくれた人だから、無理矢理はないだろうけれど…?! どうしよう? せまられたら?!

「……ガロテだ」
 美丈夫びじょうぶは少し考えてから、何となく気まずそうに答えた。

「ガロテ様…?」
 でも… この人に迫られたとしても、結婚してくれるなら… 僕は身体をささげても良い… かなぁ~…?
 だって、僕を助けてくれた誠実そうな人だし? それにすごく美しいアルファだし…?!

「ああ、父にもらった名はガロテだ!」

「ちなみにガロテ様は、跡継ぎの長男ですか?」
 ヒラソルは質問しながら、ガロテを見あげると… 目が合う前にガロテはサッ… と視線をそらす。

「いや、オレは3男だ」
「あの… ご結婚はしてますか?」
「してない」
「婚約者は?」
「いない」
「恋人は?」
「いない」

「………っ!!」
 優良物件!!!


 ヒラソルの金緑きんみどり色の瞳が、獲物えものねらたかのようにギラッ…! と光る。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

【完結済】王子を嵌めて国中に醜聞晒してやったので殺されると思ってたら溺愛された。

うらひと
BL
学園内で依頼をこなしていた魔術師のクリスは大物の公爵の娘からの依頼が入る……依頼内容は婚約者である王子からの婚約破棄!! 高い報酬に目が眩んで依頼を受けてしまうが……18Rには※がついています。 ムーン様にも投稿してます。

捨てられた花屋のオメガは、雨の日に現れたスパダリ社長に溺愛される~抑制剤をやめたら、運命の番に捕まりました~

水凪しおん
BL
花屋『フルール・リリエン』で働くオメガの藍沢湊は、かつて家柄を理由に番(つがい)に捨てられたトラウマから、アルファを頑なに拒絶して生きてきた。 強力な抑制剤でフェロモンを隠し、ひっそりと暮らす湊。しかしある雨の日、店に現れたIT企業社長のアルファ・橘蓮に見初められてしまう。 「この花、あなたに似ている」 毎日店に通い詰め、不器用ながらも真っ直ぐな愛を注ぐ蓮。その深い森のような香りに、湊の閉ざされた心と、抑え込んでいた本能が揺さぶられ始めて――? 傷ついたオメガ×一途で完璧なスパダリ社長。 雨上がりの紫陽花のように涙に濡れた恋が、あたたかな陽だまりに変わるまでの、救済と溺愛のオメガバース。 ※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

待て、妊活より婚活が先だ!

檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。 両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ! ……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ! **ムーンライトノベルにも掲載しております**

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に1話ずつ更新

無自覚両片想いの鈍感アイドルが、ラブラブになるまでの話

タタミ
BL
アイドルグループ・ORCAに属する一原優成はある日、リーダーの藤守高嶺から衝撃的な指摘を受ける。 「優成、お前明樹のこと好きだろ」 高嶺曰く、優成は同じグループの中城明樹に恋をしているらしい。 メンバー全員に指摘されても到底受け入れられない優成だったが、ひょんなことから明樹とキスしたことでドキドキが止まらなくなり──!?

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

処理中です...