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29話 運命の番
たぶん、上位貴族の子息だろう… とヒラソルは軽く見ていた。
…だが、ラティゴが勇者アルマドゥラとならぶ、ドラゴン討伐を成し遂げた立て役者、ラティゴ王太子殿下だと知り、ヒラソルは気が遠くなり… 一瞬、魂が神の元へ旅立ちそうになった。
その一瞬の間に、ベッドに腰をおろしたガロテの膝から、ヒラソルはゴロゴロと全裸で落ち、白目をむいて絨毯の上に転がった。
「うわっ…! ヒラソル?!」
「おい、大丈夫か?!」
あわてたガロテとラティゴは、絨毯の上で転がったまま動かないヒラソルの両わきにひざまずき、細い身体を揺さぶった。
「ヒラソル、おい?!」
「気を確かに持て、ヒラソル!」
「申… 申し訳… ありません~! お2人に僕は… 何てことを!」
もう… 自分でも何て言って良いのかわからないぐらい、盛大にやらかしてしまったぁ……!! 僕は… 僕は… 勇者様と王太子殿下を、誑かしてしまったの…?! これって本当に現実のことなの?! うそだよねぇ~?! 夢じゃないの?!
ヒラソルは全裸のまま絨毯に寝転がり、両手で顔を隠してめそめそと泣いた。
「ヒラソル… 私が王太子と知って、お前が動揺するのはわかるが… どちらがお前の『真の番』なのか、早く決めてくれ!」
ラティゴは転がるヒラソルに、もう一度たずねた。
「先にヒラソルと番になった、オレが真の… いや、『運命の番』に決まっている! …そうだろう、ヒラソル?!」
ガロテも負けずにたずねた。
「あの… 僕は今すぐ田舎に帰って、お2人の前には2度と顔を出さないと誓います! ですから、どうか許して下さい?!」
ヒラソルは顔を隠したまま、2人に許しを請うたが…
「絶対ダメだ!」
「絶対ダメだ!」
双子の大男たちは、息ピッタリで声をハモらせ、2人同時にヒラソルの意見を却下した。
「バカを言うな、ヒラソル! お前はオレの『運命の番』だ!」
ガロテは転がるヒラソルのうなじにキスをして宣言する。
「アルマドゥラ… お前がヒラソルの『運命の番』なら、双子の兄の私もヒラソルの『運命の番』だ!」
ラティゴはヒラソルのプリンッ… とした桃色のお尻にキスを落としながら、ガロテを牽制する。
「何だと、ラティゴ…?! 横やりを入れて、オレたちの邪魔をするな! ヒラソルはオレの番だ!」
ガロテはラティゴの胸倉をつかみ、怒鳴り散らすと…
負けじとラティゴも、手のひらに紫色に光る玉を作り… ヒラソルが裏庭でやらかした、恥かしい案件をガロテに暴露した。
「だが裏庭でヒラソルは私のフェロモンに惹かれて、私を口説いたぞ? 可愛く『犯してください』 …と私に懇願までした! ヒラソルの望みを叶えた私が番だ!」
「ううっ…!」
ラ… ラティゴ様の意地悪ぅぅ~…!!! それは出来れば、言わないで欲しかったぁ~!
「このっ…!! その口を閉じろ、ラティゴ!!」
カッ… と腹を立てたガロテは立ちあがり、腰に下げた剣に手をかける。
ラティゴはガロテの間合いから下がり、手のひらの魔力玉をさらに大きくする。
「お前こそ、口を閉じろアルマドゥラ!!」
「オレの名前はガロテだ!!」
「往生際が悪いぞ、アルマドゥラ!!」
「お… お2人とも、ケンカは止めて下さい! 僕が田舎に帰れば良いことではありませんか?!」
だいたい… 勇者様と王太子殿下の2択…って… 究極過ぎない?! 僕みたいな凡人が選べるわけないよ?
「ヒラソル、オレたちにケンカをして欲しくないなら… 『運命の番』がどっちなのかを、選ぶんだ!」
ガロテは鞘から金属が擦れる音をシャァ――ッ… と立てながら、剣を抜く。
「ガ… ガロテ様ぁ!!!」
無理だよ! 無理だよ! 無理だよぉ――っ…!!
「そうだぞヒラソル、どちらか選べ!」
ラティゴは手のひらの玉を、紫の炎へと変化させた。
「ラティゴ様も…止めて下さいぃぃ!!」
ああ… これだから双子には災いが付いて回ると、昔から言われているんだ?! どうしよう…?! どうしよう?! お願いだから、神様、教えてくださいぃぃぃ――っ…!!
ヒラソルの混乱は、増々ひどくなる。
…だが、ラティゴが勇者アルマドゥラとならぶ、ドラゴン討伐を成し遂げた立て役者、ラティゴ王太子殿下だと知り、ヒラソルは気が遠くなり… 一瞬、魂が神の元へ旅立ちそうになった。
その一瞬の間に、ベッドに腰をおろしたガロテの膝から、ヒラソルはゴロゴロと全裸で落ち、白目をむいて絨毯の上に転がった。
「うわっ…! ヒラソル?!」
「おい、大丈夫か?!」
あわてたガロテとラティゴは、絨毯の上で転がったまま動かないヒラソルの両わきにひざまずき、細い身体を揺さぶった。
「ヒラソル、おい?!」
「気を確かに持て、ヒラソル!」
「申… 申し訳… ありません~! お2人に僕は… 何てことを!」
もう… 自分でも何て言って良いのかわからないぐらい、盛大にやらかしてしまったぁ……!! 僕は… 僕は… 勇者様と王太子殿下を、誑かしてしまったの…?! これって本当に現実のことなの?! うそだよねぇ~?! 夢じゃないの?!
ヒラソルは全裸のまま絨毯に寝転がり、両手で顔を隠してめそめそと泣いた。
「ヒラソル… 私が王太子と知って、お前が動揺するのはわかるが… どちらがお前の『真の番』なのか、早く決めてくれ!」
ラティゴは転がるヒラソルに、もう一度たずねた。
「先にヒラソルと番になった、オレが真の… いや、『運命の番』に決まっている! …そうだろう、ヒラソル?!」
ガロテも負けずにたずねた。
「あの… 僕は今すぐ田舎に帰って、お2人の前には2度と顔を出さないと誓います! ですから、どうか許して下さい?!」
ヒラソルは顔を隠したまま、2人に許しを請うたが…
「絶対ダメだ!」
「絶対ダメだ!」
双子の大男たちは、息ピッタリで声をハモらせ、2人同時にヒラソルの意見を却下した。
「バカを言うな、ヒラソル! お前はオレの『運命の番』だ!」
ガロテは転がるヒラソルのうなじにキスをして宣言する。
「アルマドゥラ… お前がヒラソルの『運命の番』なら、双子の兄の私もヒラソルの『運命の番』だ!」
ラティゴはヒラソルのプリンッ… とした桃色のお尻にキスを落としながら、ガロテを牽制する。
「何だと、ラティゴ…?! 横やりを入れて、オレたちの邪魔をするな! ヒラソルはオレの番だ!」
ガロテはラティゴの胸倉をつかみ、怒鳴り散らすと…
負けじとラティゴも、手のひらに紫色に光る玉を作り… ヒラソルが裏庭でやらかした、恥かしい案件をガロテに暴露した。
「だが裏庭でヒラソルは私のフェロモンに惹かれて、私を口説いたぞ? 可愛く『犯してください』 …と私に懇願までした! ヒラソルの望みを叶えた私が番だ!」
「ううっ…!」
ラ… ラティゴ様の意地悪ぅぅ~…!!! それは出来れば、言わないで欲しかったぁ~!
「このっ…!! その口を閉じろ、ラティゴ!!」
カッ… と腹を立てたガロテは立ちあがり、腰に下げた剣に手をかける。
ラティゴはガロテの間合いから下がり、手のひらの魔力玉をさらに大きくする。
「お前こそ、口を閉じろアルマドゥラ!!」
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「ヒラソル、オレたちにケンカをして欲しくないなら… 『運命の番』がどっちなのかを、選ぶんだ!」
ガロテは鞘から金属が擦れる音をシャァ――ッ… と立てながら、剣を抜く。
「ガ… ガロテ様ぁ!!!」
無理だよ! 無理だよ! 無理だよぉ――っ…!!
「そうだぞヒラソル、どちらか選べ!」
ラティゴは手のひらの玉を、紫の炎へと変化させた。
「ラティゴ様も…止めて下さいぃぃ!!」
ああ… これだから双子には災いが付いて回ると、昔から言われているんだ?! どうしよう…?! どうしよう?! お願いだから、神様、教えてくださいぃぃぃ――っ…!!
ヒラソルの混乱は、増々ひどくなる。
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