27 / 87
26話 号泣
しおりを挟む
裸の上半身に騎士服の上着を羽織りながら、アディの部屋を飛び出したデスチーノは、ちょうど階段を上って来た妹のトルセールに捕まった。
このような状況の時に、デスチーノが一番会いたくない相手である。
「お兄様?! あら? なぜ、裸なの?!」
白いシャツを手に持ったままで、上着の下に何も着ていない裸の状態のデスチーノに、トルセールは目聡く気付き煩く追及し始めた
「ああ、何でもない!」
イライラと言い放ち、自分の滞在する部屋へ戻り、デスチーノはさっさとジェレンチ公爵邸へ帰るつもりだった。
「何でもないは、無いでしょう?! お兄様、何があったの? 私は将来のエントラーダ伯爵夫人で、この邸の女主人を任されているのよ?!」
「煩いなぁ…っ! お前の方こそ自分は女主人だと言うのならば、ダンスパーティーの会場から離れても良いのか?!」
「私はアデレッソスが具合が悪いと言うから、少しだけ様子を見に来ただけです、この邸であの子のことを気にするのは、オメガの私と侍女ぐらいですからね!」
「・・・っ」
アデレッソスと聞き、デスチーノの顔が強張った。
たった今、デスチーノは当の本人を、大人げなく責め立てて泣かせたまま、ベッドに全裸で放置して来たのだから、気まずい思いぐらいして当然である。
「あ…っ! まさか、デス… あなた…! アデレッソスの部屋から出て来たの…?!」
動揺する兄の顔を見て、勘の良い妹はズバリと言い当てた。
「クソッ!」
罵りながらデスチーノは、その場から逃げるように、急ぎ足で歩き去る。
「お兄様!!」
呼び止めようとして、兄の広い背中にトルセールは声を掛けるが… 聞こえているはずなのに、デスチーノは立ち止まらずに、行ってしまう。
「何てことなの?! アデレッソスを傷つけたら、許さないから!」
鼻息荒く、トルセールは慌ててアディの部屋へ行き、扉を何度も叩くが中から応答はなく…
痺れを切らして、トルセールは勝手に扉を開き中に入ると、ベッドで裸のまま号泣するアディを見つけ、駆け寄った。
裸の身体を真っ赤に染めて、泣きじゃくる義弟に、トルセールは目のやり場に困り上掛けを掛けてやる。
「アデレッソス! お兄様が何をしたの? ああ、こんなに泣いて… 可哀そうに! 私がお兄様にきつく説教してあげるから、そんなに悲しそうに泣かないで!」
上掛けの上からトルセールが、アディの背中を撫でてやると…
「違う… 僕が悪くて… 僕は… ふうっうう… 嘘つきだから… ううっ… デスチーノを騙し…て… 傷つけてしまって… 僕が悪いから… ううっ…」
「まぁ… アデレッソスは、お兄様にいけないことをしてしまったのね? 私も一緒に謝ってあげるから、何をしたか最初から全部、私にも話してちょうだいなぁ…?」
「ううっ… ううっ… お義姉様… ふううっ… ううっ…」
3人の子供の母親であるトルセールは… 自暴自棄になっていたアディから、上手に全てを聞き出した。
このような状況の時に、デスチーノが一番会いたくない相手である。
「お兄様?! あら? なぜ、裸なの?!」
白いシャツを手に持ったままで、上着の下に何も着ていない裸の状態のデスチーノに、トルセールは目聡く気付き煩く追及し始めた
「ああ、何でもない!」
イライラと言い放ち、自分の滞在する部屋へ戻り、デスチーノはさっさとジェレンチ公爵邸へ帰るつもりだった。
「何でもないは、無いでしょう?! お兄様、何があったの? 私は将来のエントラーダ伯爵夫人で、この邸の女主人を任されているのよ?!」
「煩いなぁ…っ! お前の方こそ自分は女主人だと言うのならば、ダンスパーティーの会場から離れても良いのか?!」
「私はアデレッソスが具合が悪いと言うから、少しだけ様子を見に来ただけです、この邸であの子のことを気にするのは、オメガの私と侍女ぐらいですからね!」
「・・・っ」
アデレッソスと聞き、デスチーノの顔が強張った。
たった今、デスチーノは当の本人を、大人げなく責め立てて泣かせたまま、ベッドに全裸で放置して来たのだから、気まずい思いぐらいして当然である。
「あ…っ! まさか、デス… あなた…! アデレッソスの部屋から出て来たの…?!」
動揺する兄の顔を見て、勘の良い妹はズバリと言い当てた。
「クソッ!」
罵りながらデスチーノは、その場から逃げるように、急ぎ足で歩き去る。
「お兄様!!」
呼び止めようとして、兄の広い背中にトルセールは声を掛けるが… 聞こえているはずなのに、デスチーノは立ち止まらずに、行ってしまう。
「何てことなの?! アデレッソスを傷つけたら、許さないから!」
鼻息荒く、トルセールは慌ててアディの部屋へ行き、扉を何度も叩くが中から応答はなく…
痺れを切らして、トルセールは勝手に扉を開き中に入ると、ベッドで裸のまま号泣するアディを見つけ、駆け寄った。
裸の身体を真っ赤に染めて、泣きじゃくる義弟に、トルセールは目のやり場に困り上掛けを掛けてやる。
「アデレッソス! お兄様が何をしたの? ああ、こんなに泣いて… 可哀そうに! 私がお兄様にきつく説教してあげるから、そんなに悲しそうに泣かないで!」
上掛けの上からトルセールが、アディの背中を撫でてやると…
「違う… 僕が悪くて… 僕は… ふうっうう… 嘘つきだから… ううっ… デスチーノを騙し…て… 傷つけてしまって… 僕が悪いから… ううっ…」
「まぁ… アデレッソスは、お兄様にいけないことをしてしまったのね? 私も一緒に謝ってあげるから、何をしたか最初から全部、私にも話してちょうだいなぁ…?」
「ううっ… ううっ… お義姉様… ふううっ… ううっ…」
3人の子供の母親であるトルセールは… 自暴自棄になっていたアディから、上手に全てを聞き出した。
0
あなたにおすすめの小説
うそつきΩのとりかえ話譚
沖弉 えぬ
BL
療養を終えた王子が都に帰還するのに合わせて開催される「番候補戦」。王子は国の将来を担うのに相応しいアルファであり番といえば当然オメガであるが、貧乏一家の財政難を救うべく、18歳のトキはアルファでありながらオメガのフリをして王子の「番候補戦」に参加する事を決める。一方王子にはとある秘密があって……。雪の積もった日に出会った紅梅色の髪の青年と都で再会を果たしたトキは、彼の助けもあってオメガたちによる候補戦に身を投じる。
舞台は和風×中華風の国セイシンで織りなす、同い年の青年たちによる旅と恋の話です。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
聖者の愛はお前だけのもの
いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。
<あらすじ>
ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。
ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。
意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。
全年齢対象。
ぼくが風になるまえに――
まめ
BL
「フロル、君との婚約を解消したいっ! 俺が真に愛する人は、たったひとりなんだっ!」
学園祭の夜、愛する婚約者ダレンに、突然別れを告げられた少年フロル。
――ああ、来るべき時が来た。講堂での婚約解消宣言!異世界テンプレ来ちゃったよ。
精霊の血をひく一族に生まれ、やがては故郷の風と消える宿命を抱えたフロルの前世は、ラノベ好きのおとなしい青年だった。
「ダレンが急に変わったのは、魅了魔法ってやつのせいじゃないかな?」
異世界チートはできないけど、好きだった人の目を覚ますくらいはできたらいいな。
切なさと希望が交錯する、ただフロルがかわいそかわいいだけのお話。ハピエンです。
ダレン×フロル
どうぞよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる