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37話 真夜中の疾走
いつでも飛び出せるように、フェーリアスは座席に座り、窓の外を注意深く見ていた。
<…王都を離れて、どれぐらいの時間が、過ぎたのか?>
自分が、気を失っていたのが、どのくらいの間なのか、分からない。
<パセィオは、南方方面へ、馬車を走らせているのだから… そうなると、月の方角で、大体の時間が、分かるはずなのだけど…>
道に、覆い被さるように茂っていた、鬱蒼とした森が途切れ、開けた平原に、差し掛かり…
<あっ!! やっと、月が見えた!!>
雲1つ無い、満天の星空で…
月も、端がほんの少し欠けたダケで、満月に近い。
今夜は、明るい夜だと分かる。
<月は、星空の真ん中よりも、だいぶ下がっている… たぶん、深夜を過ぎていて… 夜明けが、近いのか…>
ガラガラと、馬車から伝わる振動のリズムが、少しゆっくりになった。
曲がりくねった道なら、分かるが… ココは見晴らしの良い、真っ直ぐの道だ。
パセィオは、馬車を止めようとしているのかも、知れない。
<ああ… 何てコト!! こんなに開けた場所では、逃げてもスグに見つかってしまう!!>
現役の騎士である、パセィオを相手に、駆けっこの競争をしても、フェーリアスが負けるのは、目に見えている。
たとえ、パセィオが、大きな大剣を、腰に下げていたとしてもだ。
<ソレでも… 逃げずにはいられない!! 少しでも時間稼ぎをすれば… きっと団長が追って来ているハズだから!! あの人なら必ず、追いついて、私を助けに来てくれる!!>
唇を痛い程噛みしめ、フェーリアスは大きく頷き、自分を鼓舞した。
<私は団長を信じている!!>
手首を固く縛られ、動かせない拳を、フェーリアスはギュッと握る。
<信じている!! 彼を!!>
不思議と怖くなかった。
殺されはしないだろうけれど…
逃げ出して捕まれば、酷いめに会うのは確実だった。
恐らくは、パセィオに酷く殴られて、犯されるだろう。
ソレでも怖くなかった…
必ずヴァーリが、助けに来てくれると、確信があるから。
<本当に私は何も返せ無いのに、彼に頼り切って甘え過ぎてる…>
こんな時だが、唇を強張らせながらも、フェーリアスの青白い顔に、微笑みが浮かんだ。
<次に、生まれ変わったら、アナタだけを愛し、アナタだけの、モノになります… そして私は、アナタを全力で、幸せにすると誓います!! ヴァーリ… アナタがもう1度、私を求めてくれたらの、話ですが…>
微笑みを消し、フェーリアスは身構えた。
<やはり… この平原で、パセィオは馬車を、止めるらしい>
ガガンッ… ガガ… ガガ… ガッ… ッ…
<…王都を離れて、どれぐらいの時間が、過ぎたのか?>
自分が、気を失っていたのが、どのくらいの間なのか、分からない。
<パセィオは、南方方面へ、馬車を走らせているのだから… そうなると、月の方角で、大体の時間が、分かるはずなのだけど…>
道に、覆い被さるように茂っていた、鬱蒼とした森が途切れ、開けた平原に、差し掛かり…
<あっ!! やっと、月が見えた!!>
雲1つ無い、満天の星空で…
月も、端がほんの少し欠けたダケで、満月に近い。
今夜は、明るい夜だと分かる。
<月は、星空の真ん中よりも、だいぶ下がっている… たぶん、深夜を過ぎていて… 夜明けが、近いのか…>
ガラガラと、馬車から伝わる振動のリズムが、少しゆっくりになった。
曲がりくねった道なら、分かるが… ココは見晴らしの良い、真っ直ぐの道だ。
パセィオは、馬車を止めようとしているのかも、知れない。
<ああ… 何てコト!! こんなに開けた場所では、逃げてもスグに見つかってしまう!!>
現役の騎士である、パセィオを相手に、駆けっこの競争をしても、フェーリアスが負けるのは、目に見えている。
たとえ、パセィオが、大きな大剣を、腰に下げていたとしてもだ。
<ソレでも… 逃げずにはいられない!! 少しでも時間稼ぎをすれば… きっと団長が追って来ているハズだから!! あの人なら必ず、追いついて、私を助けに来てくれる!!>
唇を痛い程噛みしめ、フェーリアスは大きく頷き、自分を鼓舞した。
<私は団長を信じている!!>
手首を固く縛られ、動かせない拳を、フェーリアスはギュッと握る。
<信じている!! 彼を!!>
不思議と怖くなかった。
殺されはしないだろうけれど…
逃げ出して捕まれば、酷いめに会うのは確実だった。
恐らくは、パセィオに酷く殴られて、犯されるだろう。
ソレでも怖くなかった…
必ずヴァーリが、助けに来てくれると、確信があるから。
<本当に私は何も返せ無いのに、彼に頼り切って甘え過ぎてる…>
こんな時だが、唇を強張らせながらも、フェーリアスの青白い顔に、微笑みが浮かんだ。
<次に、生まれ変わったら、アナタだけを愛し、アナタだけの、モノになります… そして私は、アナタを全力で、幸せにすると誓います!! ヴァーリ… アナタがもう1度、私を求めてくれたらの、話ですが…>
微笑みを消し、フェーリアスは身構えた。
<やはり… この平原で、パセィオは馬車を、止めるらしい>
ガガンッ… ガガ… ガガ… ガッ… ッ…
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