花嫁になれなくて。

金剛@キット

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11話 姉

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 店の中でも一番端の4人掛け用の席へと案内し、姉が注文した紅茶付きのケーキセットをテーブルに並べた。

 オーナーに許可を取り、姉の向かい側に座る。


「いつまで英俊の家に、居続ける気? 実家に帰りなさい!」

 姉、薫はティーカップを口に付けながら、嫌そうに説教口調で明穂に命令する。


<元々の原因は、自分が義父や母さんに、僕がゲイだとバラしたせいじゃないか!!>
 
 明穂はカッとするが、姉にはマトモに話が通じないと、分かっているから黙って通す。

 姉はいつでも自分が一番正しいと思っている。

 間違っていようが相手が傷つこうが、お構いなしで好き勝手なコトを言うのだ。

 特に明穂に対しては、昔から容赦がない。



「英さんが連絡したの? 絶縁したと思っていた」

 嫌味を言うが、姉には通じない。


「パパ(義兄)が、英俊と電話しているのを聞いたダケよ」

 いつものコトだが姉は通話を盗み聞きしたのだ。


「何で義兄さんと、英さんが?!」

 流石にコレには明穂も驚愕した。


「知らないの? 英俊の会社の下請けを、パパの会社がやっているのよ」

 ケーキをホークで崩して口に入れる姉を、明穂は険しい顔で見る。


<知らなかった!! 英さんと義兄さんに、そんな繋がりがあるなんて!?>

 嫌な予感がして、自分で自分を守るように、明穂は腕組みする。

「僕は帰る気は、無いから!」

<英さんは、僕を裏切っていたの? ・・・そんな、まさか!?>


「どうせ優しくされて、付き合う気でいるんでしょう? 英俊はパパに恩を売りたくて、協力しているダケなのに・・・ アンタって本当に昔からバカよね? あんな奴のコト信じるなんて!」
 

 自分の言い分を通すために、姉はワザと意地悪な言い方をして、明穂を傷つける。


「姉ちゃんに関係ないだろう? 僕に干渉するなよ」
 
<・・・協力? 英さんは僕がゲイだと知っているの?>



「本当にバカなんだから! 英俊はアンタを利用してるの! パパに今より面倒な仕事を、押し付ける為にね!!」

 ケーキを食べるのを止めて、姉はようやく明穂の顔を見る。


「僕のコト・・・ 話したのかよ?! 英さんに・・・ 僕がゲイだと?」 

 胸の中で飛び跳ねる心臓のせいで、明穂の手は震え・・・ 声も震えた。

<ああ・・・ 止めてくれ・・・ 頼むから!!>


「少しはアイツが責任感じて、当然だもの! アンタがゲイになったのも英俊が好き過ぎてだし、だから言ってやったわよ! "いい加減、ウチの弟を弄ぶのは止めろ" って!」
 
 姉は義兄のスマホを勝手に使ったのだ。

 盗み見、盗み聞きが普通の姉らしい暴挙である。


「違う!! 僕のは元からだし、好きになったのが、偶然・・ 英さんだったダケだ」


「アンタの気持ち利用しているのよ? 昔から英俊は、手段選ばない奴だったし・・・ 私も散々やられたモノ」

 明穂の動揺を読み取り、姉は弟をいたぶるように嘲笑う。


「姉ちゃんはその性格の悪さが、原因だろう?」

<ずっと、変だと思っていた・・・ 元カノの弟に、英さんは親切過ぎると>


「・・・とにかく、英俊は会社でチームリーダーに抜擢されて、今は野心の塊だから、アンタのせいで、コレ以上アイツに弱みを握られたくないの!!」


「僕はほとんど兄さんと、話したコトも無いのに?」

<姉は嫌な真実を、暴露する名人だ>



「パパも英俊も、母さんが心配しなければ、アンタなんかに関わるワケ無いでしょう?」




<・・・そうだ! 今、思い出した・・・ 義兄さんが経営する建築関係の会社に、姉ちゃんが就職したのは、英さんが大学で建築を学びたいと言っていたからだった・・・>

 
 同じ業界に身を置く人たちが、こうして出会うのは必然だったのかも知れない。



「分かった、母さんに連絡する・・・ ソレで良いだろう?」


 明穂の甘い夢のような時間は、姉の暴露で呆気なく終わった。



『綺麗な肌だ・・・ 滑らかで』

<あの誘惑も、僕の気持ちを知っていて、英さんが仕掛けた罠だったの?!>


『ウッカリ触って悪かった』

 <だからキスもくれなかった? >


『何だよ、明穂はお触りおOKか?』

<台所で僕の腰を抱き、一緒にカレーの鍋を覗いたのも・・・ そういう計画?>





 実家へ連絡した後、明穂はお礼の手紙を残し、英俊の部屋を去る。




<やっぱり僕は絶望的に運が悪い>








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