花嫁になれなくて。

金剛@キット

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17話 反抗

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「家に帰れ明穂! こんな危ないコトする奴より、家族の方がずっと良いじゃないか」

 「絶対に嫌だ!」

 英俊に痛いほど肩を強く掴まれ、明穂は大きな手を、思いっきり払い除ける。


「また、逃げ出す気か? 卑怯だぞ明穂」

 拒否する明穂に、忍耐が切れる英俊。


「英さんのが卑怯だ!! 家族が僕をどう思っているか義兄さんに聞いてるクセに」

 明穂の瞳から涙が溢れる。

<この人は僕が知っている英さんじゃない!! 僕の好きだった英さんはスマホの中にしか存在しないんだ!!>


「お前は家族と話し合うべきだ! その後で判断しろ!!」

 英俊は冷淡な顔になる。


「干渉するな!! アンタが親切にしたいのは、僕でなく義兄さんだろう?! 偽善者!!」

 明穂にも自分が言い過ぎているのは、分かっている。

 だがコレ以上、誰にも傷つけられたくないと、防衛本能が過敏に働いているのだ。

「優しくするフリして、僕を散々裏切ったクセに!! 卑怯なのはどっちだ!!」

 涙で濡れた顔を歪め、ブルブルと震える明穂。

 ずっと好きだった人を、罵るのはとても悲しいコトだ。


「オレに失望したのは分かった・・・」

 英俊の顔から、冷ややかな表情までも、完全に消えた。

 明穂のドレスの胸元を掴み・・・
 ビリビリビリリー――――――ッ!!!

 腹まで一気に引き裂くと、中から白のブラジャーが現れ、英俊は軽蔑の眼差しを向ける。


「な・・・ 何するの?!」

 暴挙に怯える明穂を無視し、英俊はドレスを腹から裾まで、再び引き裂く。
 ビリビリビリリー――――――ッ!!!


 ポケットからスマホを出すと、英俊は淡々と撮影し操作する。


「送信完了!」

 意地の悪そうな、笑みを浮かべる英俊。



 何が起きたのか、事態を悟り明穂はドレスだった布で、慌てて身体を隠す。

「は・・・!!! 誰・・・ 誰に送ったの?! 誰に?!」

 英俊のスマホを奪おうとして、逆に明穂は体格差を利用して羽交い絞めにされ、身動きがとれなくなり・・・

「ああっ!! 放せ! くそっ・・・」


「おっ! 早いなぁ~!」

 英俊のスマホが鳴り、明穂は暴れるのを止め、石のように固まる。

「青井です! 明穂を確保したので、中田社長へまずは一報をと」

 羽交い絞めにしたまま、明穂の耳元で通話する英俊。


「義兄さん?!」

ギョッとする明穂の耳にも、義兄の声が聞こえた。
《この映像は明穂くん・・・ だよね?! どうゆう状況なのか説明してくれないか?》


「本人に代わります」
 
 背後から英俊に腰を抱かれ、明穂は耳にスマホを当てられた。

「あ? ・・・義兄さん?」
《明穂くん? ・・・ああ、無事で良かったよ》

「あ・・・あの・・・?」

 焦る明穂から、スマホを離す英俊。

「明穂はまだ、動揺しているので・・・ 明日改めて連絡します!!」

 サッサと通話を切り、机にスマホを置く。

「信じられない・・・ 義兄さんに見せるなんて!」

 ベッドに座り頭を抱え込む明穂。


「まだ、終わりじゃないぞ」

 英俊は毎日、職場に持って行く、ビジネスバッグからディスクケースを何枚か出し、そのうちの一枚をノートパソコンにセットする。


「・・・今度は何?!」

 怯え切った明穂を無視し、英俊は・・・


「"美人ナース明穂、イケナイ花嫁修業" "純情ポリス明穂、ドキドキ花嫁修業" 可愛いなこの写真!」

 手に持つケースのタイトルを読み上げ、英俊はパッケージ写真を見つめた。

「ああああああっ!!!! そ・・・ そんなの持って来たの?!」



 明穂は、英俊からディスクケースを奪おうとするが、スマホの時と同様、太刀打ちできない。






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