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13話 大失態
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厩舎前で立ちどまり、微笑む主の顔を見るうちに…
アスカルは執事として、致命的なミスを、いくつも犯したことに気がついた。
「申… 申し訳ありません、旦那様!! 私は… 私は…っ!! 本当にお恥ずかしいことを… どうかお許しください!!」
<何てことを!! 僕はすっかり旦那様に乱暴されると、誤解して… 旦那様は、僕を助けてくれただけなのに!! 何て恥ずかしい! う゛う゛っ… 本当に恥ずかしいよぉ!!>
バッ…! と頭を下げて、アスカルは心の底から反省し、主に謝罪し許しを請う。
「オレは気にしないから、顔を上げろ」
言葉で注意を促すよりも、自分が手を出して、直接アスカルを移動させた方が早いと、会話で解決しなかったグランデ自身にも非があると、感じていたため…
気まずそうにグランデは、頭を下げたままのアスカルを見て眉尻を下げた。
「申し訳ありません、旦那様! どんな罰でも受けます!! お許しください!!」
自分が情けなくて… 恥ずかし過ぎて… アスカルは顔を上げられなかった。
「さっき聞いた… お前の名前は… 何と言ったっけ?」
困った顔でグランデは、頬を指でポリポリとかきながらたずねた。
「は… はい! アスカルと申します、旦那様!!」
「ああ… 顔を上げろ、アスカル! オレはいつも、口よりも先に手の方が早く出るんだ… だから、お前を驚かせて悪かった!」
陽光がキラキラと反射し、アスカルの後頭部で光る銀髪を、グランデはそろそろと不器用になでた。
頭をなでられ、アスカルが顔を上げてグランデを見あげると、唇を歪め困った顔をしていた。
「申し訳ありません、旦那様! 私が未熟なばかりに… 騒いでしまって!」
「いや、お前は驚いただけで、少しも悪くない」
「申し訳ありません! 旦那様… あっ?!」
「だから、頭を下げるなアスカル、これでは少しもまともに、話ができない」
再び頭を下げようとした、アスカルの細い肩をつかみ、グランデはこれ以上、頭を下げさせないよう阻止した。
「ですが、旦那様…」
「ああ、その格式ばった上品な話し方も止めろ! さっきみたいに、もっと気軽に話せ!」
「で… でも、私は執事ですから…」
「たとえお前が執事でも、オレは上品な話し方をされると… バカにされているような気持ちになるんだ」
「私には、そんなつもりは、ありません!」
「まぁ、お前は確かに、オレをバカにしていないのかも知れないが… 今まで騎士団にいて、同僚の騎士たちの従者にそういう扱いをされたから、オレは嫌いなんだ」
「まさか… 騎士団長の旦那様をですか?!」
「オレは元々非嫡出子で平民だから、他の黒騎士たちに比べて身分が劣るんだ… だから、オレと同じ平民の従者たちは、同僚の騎士たちよりも、オレを軽く扱うのを当然だと思っているのさ」
慇懃無礼に、わざとらしく表面上は従者たちも礼儀正しく見せるが、グランデへの嫌悪感を隠そうとはしなかった。
平民同士の中でも底辺に属する、娼婦の息子という生まれ育った境遇が、グランデをさらに劣る立場へと追い込んだ。
「なんて恥知らずなんだ!! うちの旦那様は、騎士団長にまで出世した立派な人なのに!」
少し前までグランデに対して、自分も疑いを持っていたことなど、コロリと忘れ、純朴なアスカルは激しく腹を立てた。
「そう思うのなら、お前ぐらいは上品にオレを扱おうとするな」
「旦那様、ソレとコレとは別の話です!」
ぷんぷんと腹を立てながら、少し前より砕けた態度のアスカルに…
「お前は顔に似合わず、頑固だな!!」
呆れてため息をつくと、グランデはカラカラと笑った。
アスカルは執事として、致命的なミスを、いくつも犯したことに気がついた。
「申… 申し訳ありません、旦那様!! 私は… 私は…っ!! 本当にお恥ずかしいことを… どうかお許しください!!」
<何てことを!! 僕はすっかり旦那様に乱暴されると、誤解して… 旦那様は、僕を助けてくれただけなのに!! 何て恥ずかしい! う゛う゛っ… 本当に恥ずかしいよぉ!!>
バッ…! と頭を下げて、アスカルは心の底から反省し、主に謝罪し許しを請う。
「オレは気にしないから、顔を上げろ」
言葉で注意を促すよりも、自分が手を出して、直接アスカルを移動させた方が早いと、会話で解決しなかったグランデ自身にも非があると、感じていたため…
気まずそうにグランデは、頭を下げたままのアスカルを見て眉尻を下げた。
「申し訳ありません、旦那様! どんな罰でも受けます!! お許しください!!」
自分が情けなくて… 恥ずかし過ぎて… アスカルは顔を上げられなかった。
「さっき聞いた… お前の名前は… 何と言ったっけ?」
困った顔でグランデは、頬を指でポリポリとかきながらたずねた。
「は… はい! アスカルと申します、旦那様!!」
「ああ… 顔を上げろ、アスカル! オレはいつも、口よりも先に手の方が早く出るんだ… だから、お前を驚かせて悪かった!」
陽光がキラキラと反射し、アスカルの後頭部で光る銀髪を、グランデはそろそろと不器用になでた。
頭をなでられ、アスカルが顔を上げてグランデを見あげると、唇を歪め困った顔をしていた。
「申し訳ありません、旦那様! 私が未熟なばかりに… 騒いでしまって!」
「いや、お前は驚いただけで、少しも悪くない」
「申し訳ありません! 旦那様… あっ?!」
「だから、頭を下げるなアスカル、これでは少しもまともに、話ができない」
再び頭を下げようとした、アスカルの細い肩をつかみ、グランデはこれ以上、頭を下げさせないよう阻止した。
「ですが、旦那様…」
「ああ、その格式ばった上品な話し方も止めろ! さっきみたいに、もっと気軽に話せ!」
「で… でも、私は執事ですから…」
「たとえお前が執事でも、オレは上品な話し方をされると… バカにされているような気持ちになるんだ」
「私には、そんなつもりは、ありません!」
「まぁ、お前は確かに、オレをバカにしていないのかも知れないが… 今まで騎士団にいて、同僚の騎士たちの従者にそういう扱いをされたから、オレは嫌いなんだ」
「まさか… 騎士団長の旦那様をですか?!」
「オレは元々非嫡出子で平民だから、他の黒騎士たちに比べて身分が劣るんだ… だから、オレと同じ平民の従者たちは、同僚の騎士たちよりも、オレを軽く扱うのを当然だと思っているのさ」
慇懃無礼に、わざとらしく表面上は従者たちも礼儀正しく見せるが、グランデへの嫌悪感を隠そうとはしなかった。
平民同士の中でも底辺に属する、娼婦の息子という生まれ育った境遇が、グランデをさらに劣る立場へと追い込んだ。
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「そう思うのなら、お前ぐらいは上品にオレを扱おうとするな」
「旦那様、ソレとコレとは別の話です!」
ぷんぷんと腹を立てながら、少し前より砕けた態度のアスカルに…
「お前は顔に似合わず、頑固だな!!」
呆れてため息をつくと、グランデはカラカラと笑った。
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