黒騎士はオメガの執事を溺愛する

金剛@キット

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58話 深夜の帰宅

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 深夜のレガロ伯爵邸に帰宅したグランデは、執務室の扉を開き一歩、足をふみいれたとたん…
 羽織っていた漆黒のマントをバサッ… と脱ぎ捨て、腰に下げた大剣をガチンッ… ゴトッ…! と絨毯じゅうたんが敷かれた床に、腰に巻いた剣帯ごと落とした。

 深紅の瞳をギラギラと野蛮に光らせ、グランデは無言でアスカルを怖い顔でにらんだ。

「グランデ様?」
<あれ? 思っていた反応と違う?! 帰ったらすぐに大喜びで、抱きしめてくれると思っていたのに?!>

 執務机から離れて、愛する夫に抱きつこうとしていたアスカルは… いつもとは違う、殺気のようなものを漂わせるグランデに戸惑い、途中で足を止めた。

「何かあったのですか?!」
<いや、普通に考えると… 何かあったも何も、魔獣討伐とうばつで命の危険にさらされた後なのは確実だけど…? すごくピリピリして、気が立っているみたいだ! こんな時はどうすれば良いのかなぁ…?>
 
 出会ってからまだ数日しか過ぎていないが、寝食を共にし身体を重ね濃密な時間を2人で過ごしたおかげで…
 いつも相手を威圧するように、怖い顔でにらんでいることが多く、表情がとぼしいグランデの喜怒哀楽を、アスカルは何となくだが読み取れるようになっていた。


「アスカル…」

「はい?」

「抱かせろ」

「え?! グ… グランデ様…っ?!」
<ううっ…! 予想はしていたけれど… まさか帰宅してすぐ、開口一番にこれを言われるとは思わなかったよ?!>
 
 激しく動揺し、アスカルが顔を真っ赤にしていると… 手首からアルファ用の抑制リングを外したグランデに抱きしめられた。

「お前を抱きたくて、急いで帰って来た… 抱かないと感情がたかぶって落ち着かない…!」

「ああ、それは… グランデ様… お疲れ様でした!」
<うわっ…! 恥ずかしいけど、そんなふうに言われるとすごく嬉しい!!>

 赤くなった顔を上げて背伸びをすると、チュクチュク…ッ…チュチュ… とアスカルの唇は貪るような熱烈なキスに襲われ、喜んで反撃した。

「んんっ… ん… ふうっ…!」
<魔獣独特の腐臭に似たきつい匂いがする… グランデ様… たくさん魔獣と戦って返り血を浴びたんだね?>

 ゴワゴワと硬い漆黒の騎士服を着た広い背中に、アスカルは腕を回し労いと感謝の気持ちを込めて、グランデをギュッ… と抱きしめた。

「アスカル?」

「少しだけ待って下さい、グランデ様…」
<こんなに頑張ってグランデ様は、お仕事をして来たのだから… 家に帰った時ぐらい、僕がグランデ様を甘やかしてあげないと!! ここで恥ずかしがって、もたもたとグランデ様を待たせてはいけないぞ?>

 ニコリと笑い、グランデから離れると… アスカルも自分の手首からオメガ用の抑制リングを外して執務机の上に置くと… 自分を包み込むような、グランデが放った大量のフェロモンを感じ取った。

<うわっ!! グランデ様が放った、濃厚なアルファのフェロモンが… こんなに僕を欲しがってくれていたんだ?! ああ… なんか発情期は終ったはずなのに… また、身体の奥から熱が…>

 上着を脱いで椅子の背に掛け、下衣のボタンを外し下着ごと足首まで下ろし、執務机に手をつきアスカルはグランデを誘惑するように見つめた。


「来てくださいグランデ様…」

「アスカル!」

 グランデのために自分で服を脱いだだけで、アスカルの欲望も昂ぶり、オメガの性器から淫密いんみつがとろりとあふれ出した。






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