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記憶にありません!

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「は?なんと?」

医者が私の言葉を聞き返す。

「あの私、ずっと此処にいますが、此処は何処ですか?私が誰かご存知ですか?」

もう一度言い方をかえて医者に聞く。本当はこの体の持ち主の素性は知ってるけど、日記だけじゃあ全てはわからないから嘘ではない。

「お、お嬢様。私を覚えていますよね?」

親切なメイドさんが恐る恐る聞いてくる。

「私のお世話をしてくれていた親切な方ですよね。いつもありがとうございます。」

お礼を言って頭を下げる。リアナの普段の様子はわからないから、自然にできる。
皆驚いた様子で騒ぎ出した。初老のお偉いさんぽい人が来て

「私が誰かわかりますか?」

と聞いてきた。
赤茶の髪に薄茶の眼だからーーー

「えーと、父親?」

色彩が似てるっちゃ似てるし、歳もつり合う。
お偉いさんは驚きに瞠目し固まった。

「違いました?お爺ちゃん?」

おーい!息してる?!
彫像になったお偉いさんを男の人達が連れ出した。医者も硬直してたけど立ち直り再び私を問診する。

「何故先程の方を父親と?」

「色彩が似てましたから。」

「なるほど。では字はわかりますか?」

そう言って持っていた書類を私に見せる。日本語ではないけどなんでか読める。

「サウスリアナの医療日誌?」

「字は解りますね。では、この国は?」

それからも色々聞かれたが、何もわからない。
1度目の人生で知った貴族階級も当てはまるかわからないので答えられなかった。

そうしている内にノックもなしにドアが乱暴に開いて男の人が入ってきた。
赤髪、金目のかなりのイケオジだ。どう見ても父親っぽい。
医者の顔を見ると頷かれたので

「お父さん?」

と呼んだらその人も固まった!えっ?父親じゃないの?!

「おじいちゃん?」

お偉いさんと同じく彫像になった!

正解はどれよ!!

「サウスリアナ。私はお前の父親だ」

んん?さっき呼んだら固まったじゃん!
なんだったの?

「お嬢様。お嬢様は普段旦那様をお父様と呼ばれていたのです。」

それだけで固まったの?
細かっ!
私が胡乱げな顔をしているからか困惑した顔で父親が見てきた。

「本当に覚えていないのか?」

記憶喪失を知ってんなら細かい事で固まらないで欲しい。

あんた1度も見舞いに来ないから似てても自信持てなかったんだよ!
前世の家族なんて私が病気してから死ぬまで、無理してまで会いに来てくれました!

「覚えてないし、父親なのに初めて見ましたよ。
そりゃ分かりませんよ。」

正直に言ったら皆が驚愕している。

ナゼ??

「お嬢様っ!何処でそんな言葉を?!」

今度は言葉遣い?

「私の言葉っておかしいです?」

イケオジは膝から崩れ落ち、また大騒ぎ。


ある程度騒ぎになるとは思ったけど、ここまでとは·····



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