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衝撃の可愛さ!
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あの後アヤナの入れてくれたお茶を飲み、ゆっくりとお風呂に入ってめちゃくちゃ寝た。
起きた時には昼を過ぎていたけど、誰も起こしに来なかった。
お腹が空腹を訴えたので身支度をして食堂に行くとリッツヘルムがご飯を食べていた。
すぐにアヤナが来て私のご飯を用意してくれる。
「お嬢様、ご気分は如何ですか?」
私の天使の慈愛に満ちた眼差しが眩しい!
「ううん、何ともない。
こんな時間にご飯用意させてごめんね。」
もう昼を大分回ってるのに温かいパンにスープ、鶏のような肉に白いソースがかかっている。
どれも優しい味で胃に負担をかけないような配慮があった。
リッツヘルムが今頃ご飯を食べてたのは、朝まで私の扉の外で護衛してさっき起きたそうだ。
リッツヘルムにもお礼を言うとペコッと頭を下げて夢中でご飯を食べている。
2人とも私のせいで疲れてるのに言葉にも態度にも出さない。
ありがたいなぁ~と思いながら私も夢中でご飯を食べた。
食後に応接室に行く途中で子供がこちらに走ってきた。
アヤナが抱きとめて子供を窘める。
「ナール、建物の中で走ったら駄目って言ったでしょう。」
ナール君は口を尖らせて言い返してきた。
「さっきまでちゃんと歩いてたよ。騎士のオジサンが遊んでくれるって!行ってもいい?」
アヤナは微笑んでナール君の頬をスリスリした。
「迷惑かけないようにね。」
ナール君は笑顔で頷き、また走って行った。
私はあまりの可愛さに衝撃を受け、固まっている。
何あれ!可愛すぎるーー!!
まん丸お目目にふくふく頬っぺ。子供特有の少し舌っ足らずも身悶えしたくなるほど可愛い!!
「ア、アヤナ、あの子、弟さん?」
アヤナに似てたから血縁関係あるよね。
「いえ、私の子です。」
2度目の衝撃!
えっ、あの子5才くらいだったよ。
聞けばアヤナは15才で結婚して16才で出産。
人質要員になりそうなので旦那さんと一緒に東塔に来たそうだ。ちなみに旦那さんはうちの庭師。
あ~人質かぁ。
リッツヘルムをチラッと見て家族構成を聞いてみたら天涯孤独の孤児だったそうだ。
マセル公爵領の孤児院で棒を振り回していたらスカウトされ、マセル家で騎士になるべく鍛錬を積み、騎士爵を持ってるらしい。マセルで一二の実力の持ち主との事。
それでもモテず振られてばかりのリッツヘルムに同情の眼差しを向ける。
「いつか子兎のような働き者の嫁さんを貰うんです!」
子兎のような嫁ってなんじゃ?
阿呆はスルーするに限る。
応接室に行くとマセル家の執事が先生と話していた。
執事が私に気付くと立ち上がって礼をする。
「そのままお話を続けて。
私は外に出た方が良いかしら?」
先生を見て聞いた。
「いや、体調が良ければここに座りなさい。
君に関する話だからね。」
体調は万全だし、私に関わるなら聞きたい。
先生の隣に座り話を聞いた。
今朝教会から神前裁判とその後の皇室での尋問の詳細が発表された。
もちろんキリカが300年前の大罪人ラフィルと同じ嫌疑がかかっている事も、屑達が保護された事も。
それを知った帝国民は皇宮へ殺到。
皇宮は蜂の巣をつついた騒ぎになっているそうだ。
そして私の皇宮への呼び出し。
お父様は娘は皇族の尋問に立ち会い心を病んで教会で療養中と伝え、勅命を拒否。
お父様、勅命を拒否るなんて凄いわ。そしてそんなお父様をビビらせる教会が一番凄いわ~。
さしもの屑皇帝も教会には勅命じゃなく、私や屑達を皇宮に戻すよう要請したが、当然突っぱねられたらしい。
後は屑皇帝が皇帝位から降ろされるのを待つだけ。
「皇帝が譲位したら後釜は誰ですか?」
側妃の子がいたよね。
「譲位じゃなく元老院、貴族院の満場一致で剥奪になると思うよ。
剥奪されたら子供に継承権は無くなるだろうね。
そして現皇帝には同腹の弟がいる。
皇位はそちらに移り、元老院、貴族院の発言力が強くなり、今までのように皇権を好きには出来なくなる。」
それって神前裁判前に先生が言ってたようになってる。
もしかして·····
疑いの目を思わず向けてしまい、先生が憮然とした。
「あのね、君の持ち札の使い方が悪いせいで私はそれを諦めてたんだよ。
はっきり言ってこれは予想外の結果なんだ。」
確かにキリカが大罪人の疑いをかけられるなんて、誰も予想しなかったもんね。
私はほとぼりが冷めるまで教会のお世話になるようにと、お父様からの伝言を執事が伝えて帰っていった。
「お父様は大丈夫なんですか?」
一応、私の父親だ。
心配になって先生に聞く。
「皇帝がそんな馬鹿な命令を出しても誰も取り合わない。
言ったろ。マセル公爵は仕事は優秀だって。」
つまりこの騒ぎの中優秀なお父様に何かしようものなら収集がつかないし、落ち目の皇帝の命令を聞く人間なんぞいない訳か。
フッフッフッ、いい気味だ。
喜びに浸る私の前にリッツヘルムが鏡を差し出してきた。
いらんわ!
起きた時には昼を過ぎていたけど、誰も起こしに来なかった。
お腹が空腹を訴えたので身支度をして食堂に行くとリッツヘルムがご飯を食べていた。
すぐにアヤナが来て私のご飯を用意してくれる。
「お嬢様、ご気分は如何ですか?」
私の天使の慈愛に満ちた眼差しが眩しい!
「ううん、何ともない。
こんな時間にご飯用意させてごめんね。」
もう昼を大分回ってるのに温かいパンにスープ、鶏のような肉に白いソースがかかっている。
どれも優しい味で胃に負担をかけないような配慮があった。
リッツヘルムが今頃ご飯を食べてたのは、朝まで私の扉の外で護衛してさっき起きたそうだ。
リッツヘルムにもお礼を言うとペコッと頭を下げて夢中でご飯を食べている。
2人とも私のせいで疲れてるのに言葉にも態度にも出さない。
ありがたいなぁ~と思いながら私も夢中でご飯を食べた。
食後に応接室に行く途中で子供がこちらに走ってきた。
アヤナが抱きとめて子供を窘める。
「ナール、建物の中で走ったら駄目って言ったでしょう。」
ナール君は口を尖らせて言い返してきた。
「さっきまでちゃんと歩いてたよ。騎士のオジサンが遊んでくれるって!行ってもいい?」
アヤナは微笑んでナール君の頬をスリスリした。
「迷惑かけないようにね。」
ナール君は笑顔で頷き、また走って行った。
私はあまりの可愛さに衝撃を受け、固まっている。
何あれ!可愛すぎるーー!!
まん丸お目目にふくふく頬っぺ。子供特有の少し舌っ足らずも身悶えしたくなるほど可愛い!!
「ア、アヤナ、あの子、弟さん?」
アヤナに似てたから血縁関係あるよね。
「いえ、私の子です。」
2度目の衝撃!
えっ、あの子5才くらいだったよ。
聞けばアヤナは15才で結婚して16才で出産。
人質要員になりそうなので旦那さんと一緒に東塔に来たそうだ。ちなみに旦那さんはうちの庭師。
あ~人質かぁ。
リッツヘルムをチラッと見て家族構成を聞いてみたら天涯孤独の孤児だったそうだ。
マセル公爵領の孤児院で棒を振り回していたらスカウトされ、マセル家で騎士になるべく鍛錬を積み、騎士爵を持ってるらしい。マセルで一二の実力の持ち主との事。
それでもモテず振られてばかりのリッツヘルムに同情の眼差しを向ける。
「いつか子兎のような働き者の嫁さんを貰うんです!」
子兎のような嫁ってなんじゃ?
阿呆はスルーするに限る。
応接室に行くとマセル家の執事が先生と話していた。
執事が私に気付くと立ち上がって礼をする。
「そのままお話を続けて。
私は外に出た方が良いかしら?」
先生を見て聞いた。
「いや、体調が良ければここに座りなさい。
君に関する話だからね。」
体調は万全だし、私に関わるなら聞きたい。
先生の隣に座り話を聞いた。
今朝教会から神前裁判とその後の皇室での尋問の詳細が発表された。
もちろんキリカが300年前の大罪人ラフィルと同じ嫌疑がかかっている事も、屑達が保護された事も。
それを知った帝国民は皇宮へ殺到。
皇宮は蜂の巣をつついた騒ぎになっているそうだ。
そして私の皇宮への呼び出し。
お父様は娘は皇族の尋問に立ち会い心を病んで教会で療養中と伝え、勅命を拒否。
お父様、勅命を拒否るなんて凄いわ。そしてそんなお父様をビビらせる教会が一番凄いわ~。
さしもの屑皇帝も教会には勅命じゃなく、私や屑達を皇宮に戻すよう要請したが、当然突っぱねられたらしい。
後は屑皇帝が皇帝位から降ろされるのを待つだけ。
「皇帝が譲位したら後釜は誰ですか?」
側妃の子がいたよね。
「譲位じゃなく元老院、貴族院の満場一致で剥奪になると思うよ。
剥奪されたら子供に継承権は無くなるだろうね。
そして現皇帝には同腹の弟がいる。
皇位はそちらに移り、元老院、貴族院の発言力が強くなり、今までのように皇権を好きには出来なくなる。」
それって神前裁判前に先生が言ってたようになってる。
もしかして·····
疑いの目を思わず向けてしまい、先生が憮然とした。
「あのね、君の持ち札の使い方が悪いせいで私はそれを諦めてたんだよ。
はっきり言ってこれは予想外の結果なんだ。」
確かにキリカが大罪人の疑いをかけられるなんて、誰も予想しなかったもんね。
私はほとぼりが冷めるまで教会のお世話になるようにと、お父様からの伝言を執事が伝えて帰っていった。
「お父様は大丈夫なんですか?」
一応、私の父親だ。
心配になって先生に聞く。
「皇帝がそんな馬鹿な命令を出しても誰も取り合わない。
言ったろ。マセル公爵は仕事は優秀だって。」
つまりこの騒ぎの中優秀なお父様に何かしようものなら収集がつかないし、落ち目の皇帝の命令を聞く人間なんぞいない訳か。
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