第二の人生、公爵令嬢として頑張りますぅ?

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リッツヘルムの怒り

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「言いたいのはそれだけ?
じゃあ私も言うけど元凶はあんた。
この帝国の皇太子をたかが平民が誘惑して、調子に乗って次々洗脳して聖玉にそれがバラされた。
あんた自分が逃げるために大勢の人を殺した。
今は詐欺する為に聖玉狙って間抜けにもまだ大聖堂に隠れてる。
私まで洗脳するつもりだったんだろうけど残念だったね。
その手には乗らないよ。」

思いっきり馬鹿にしたよう目を細めて嗤ってやる。
ピンクの顔が悔しそうに歪んだ。

余裕ぶってるけど、リッツヘルムの追求と先生との話し合いなきゃ私も危なかったかも。

内心汗ダラダラだけどそれを悟らせるようなヘマはしない。

「ふふっ。その顔がいつまで続くかしら。」

男達がアヤナに剣を向ける。
こいつらっ!

「アヤナを傷つけたらあんたの顔をズタズタにしてやる!」

「じゃあ、アンタが変わる?」

そうくると思ったよ、クズ女!
でも逆らえばこいつらはアヤナ達を殺す。

私が一歩前に出るとリッツヘルムが私の腕を掴んだ。

「止めてください。お嬢様を守るのが俺達の務めです。」

「だからアヤナ達を見殺しにしろって?
あんた達を守るのも公爵家後継者のすべき事じゃないの?」

「お嬢様のすべき事は犠牲を教訓にする事です!」

「······ごめん。
やっぱり私は主失格だよ。
それはできない。」

リッツヘルムが怒り私を睨みつけても、アヤナ達を見捨てるのは無理だ。

私の言葉にリッツヘルムは怒気を含んだ声で警告するように言う。

「ここでアヤナと引き換えに人質になったらもう誰も貴女を助けない。俺も貴女が殺されそうになっても指1本動かさずに見てるぞ。
それでも行くのか!」

「死にたくなんかないけど、アヤナを専属にしたのもここまで連れてきたのも私だよ。
その責任は果たさなきゃ。
本当にごめんね。」

リッツヘルムを抱きしめて謝る。

〖私が背中を向けたら短剣を渡して〗

耳元で囁いた。
最後のお願いだから。

「お別れがすんだならこっちに来て。」

ピンクの楽しそうな声に怒りが湧き上がるが何とか抑えてリッツヘルムに背を向ける。

手に何も触れるものがない。
悲しいけど私が選んだんだ。
それにまだ私には秘密兵器がある。
ただで捕まるつもりはない。


ピンクまで後五歩の所で後ろから何かが飛んできた。

ドスドスと音がして3人が血を流して倒れた。
驚く私の横からリッツヘルムが飛び出し4人目の男を袈裟斬りにした。

ピンクは3人が倒れた時点で自分たちが入ってきた壁に向かい「開けて!」と怒鳴った。壁が開かれ、お腹から血を流しながら逃げて行く。
後ろから飛んできたのは短剣だったんだ。

私は追いかけるよりもリッツヘルムの容態が気になりそちらに向いた。

リッツヘルムは後の3人にもとどめを刺して座り込んだ。
目の前で敵とはいえ4人の命が消えた事よりアヤナやリッツヘルムの容態の方が心配だった。

「リッツヘルム···」

肩で息をして俯く姿にまだ動ける状態でなかったのに私を助けるのに無理をしてくれたんだ。お礼を、違う謝らなきゃ。それより何処が苦しいか聞かないと。

頭の中がぐるぐるして何をどう言ったらいいかわからなかった。

「あー!
なんでこんな幼獣の面倒なんか見なきゃいけないんだよ!
俺の趣味にかすりもしないのに命かけなきゃなんねーなんて虚しすぎる!!」

···色々と失礼過ぎる言われ方したけど、我慢するしかない。

「せめて言葉の通じる主が欲しかった!
幼獣の世話なんかした事ねーんだよ!!」

私が悪いから我慢しなきゃ···

「色気もねーのに」
「やかましいわ!」

護衛対象に色気関係あるか!

リッツヘルムは私を見て頭をぐしゃぐしゃにかきまわした。

「はあ、もうこーゆーのは勘弁して下さい。」

「ごめん、ありがとう···」

リッツヘルムは私の馬鹿な行動を何とか飲み込んでくれようとしてる。

マセル公爵令嬢としての行動ができなかった私に失望してる筈なのにーー

それでも助けてくれたリッツヘルムにこれ以上主として落胆させないようにしなきゃいけない!

さっきの発言だって私の気を楽にする為に言ってくれたんだ。

きっと·····多分·····そう思っていよう。

リッツヘルムは起き上がりアヤナ夫婦に懐からだした濁った緑色の小瓶の中身を口の中に落とした。

1分位で2人は噎せて苦しみ出し、私はリッツヘルムが毒を盛ったのかと青ざめてしまった。

噎せて苦しんでる旦那さんの胸元を乱暴に掴む。

「俺たちは今から大聖堂に向かう。お前達はどこかに隠れてろ。」

「ごふっ···何がっ」

「お前たちが倒れてる間にあの女が来て人質にされてたんだ。わかったか・・・・・。」

旦那さんとアヤナは噎せながら顔面蒼白で頷いた。

「お嬢様行きますよ。」

アヤナ達が気になるけど聖玉を狙っているとわかった以上、放っておく訳にはいかない。

聖玉に何かあれば教会総本部はここにいる皆を連帯責任に問う筈だ。
下手したら物理的に首が飛ぶ。

それに大聖堂には先生もいる。

「体調は大丈夫なの?」

リッツヘルムも煙を吸って苦しんでたんだ。その上あれだけ動いたから煙が体中に回ってしまったかも。

「解毒薬を飲んでいたので煙の影響は消えてます。」

えーと、苦しんでたのは煙じゃなくて解毒薬のせいだったの?

おの毒々しい解毒薬を思い浮かべて本当に解毒薬なのか怪しんでしまったーー
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感想 129

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みんなの感想(129件)

かな
2023.11.01 かな

久しぶりに始めから一気読み😆
やっぱり面白い💕
続きが気になる🎵
更新されるの楽しみにしています😊

解除
美夕
2022.11.14 美夕

続きを!お願いします!
まっています

2022.11.14 as

続きを望んで頂きありがとうございます(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”
構想は出来ているのですが、なかなか文章に出来ずお待たせしてしまい申し訳ありません💦
この作品には思い入れがあり中途半端には書きたくないと思ってしまい、かなり間が空いていますが、完結はしたいと思っています。
お待たせしているのに忘れずにいてくれて感謝しています!(˶ᐢωᐢ˶)

解除
わわ
2022.08.18 わわ

書きなおし前のお話、先の方まで書かれてたみたいなのでどんな展開になってたのかすごく気になります。きっとそれも面白かったんだろうな(  ̄- ̄)トオイメ  

2022.08.21 as

感想ありがとうございます
(。ᵕᴗᵕ。)
書き直し前は先生とリッツヘルムに助けられて、リアナが守られるだけだったんです。
最後も先生に泣き言を言って慰められ終了でした。
書き終わって自分で「ちょっとこれは·····」になったので(◠ ∀ ◠💧)
続きは煮詰まっているのでもう少々お待ちくださると嬉しいです。よろしくお願いします ((○| ̄|_

解除

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