暴力的衝動的不治の病、もしくは愛と呼ばれる類のそれについて

KUZUME

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番外編(悪恋未収録)

番外編2 その後の魔王と聖女の話

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 「まーちゃんっ!」

 今日も今日とておはようからおやすみまでずっと後ろをついて回るその声に、魔王は深いため息を吐いた。

 「その馬鹿みたいな呼び方はやめろ」
 「え、でもまーちゃんの名前、私には発声出来ないよ…?」
 「魔王様と呼べばいいだろうが、魔王様と」
 「そんな…それじゃまるで私達他人みたい…っ」
 「赤の他人だろうが!」

 何が楽しいのか、どう答えてもにこにこと笑っている女に、正直最初こそ頭のどこかがおかしいのではないのかと、具体的に言うならば何か腫瘍でも出来て精神がイっているのかと疑いもしたが、ただ単にこいつがぶっ飛んだ精神構造をしているのだと気づいた今となってはどこか色々なものの諦めが強くなった。主に聖女に関する全てに。
 そしてその時の仲間を得たり、といった勇者達の顔を生涯忘れまい。俺は断じてお前達の聖女被害者の会の一員ではない。断じて!

 「…はぁ。惚れた腫れたと…お前ら人間は呑気なものだな。いいのか?お前達がこうしてる間にも我らはお前達人間の国を滅ぼそうとしているのやも知れぬのだぞ」
 「ふふ!まーちゃんってば、顔だけじゃなくて心意気まで本当にイケメン…!!やだ、惚れ直しちゃう!」
 「待て待て待て!今絶対そういう流れになる話してなかっただろうが!!何をどう受け取ったらそうなるのだ!?」

 ぎょっ。どこぞのお魚博士じゃないが思わずぎょっ!と叫びそうになった。随分と聖女のゴーイングマイウェイぶりに慣れたと思っていた魔王だが、やっぱり聖女の思考回路は意味不明過ぎる。

 「だって、それって私達を心配してくれてるから出る言葉でしょう?」
 「そんなわけっ…!」

 にこにこと頬を赤らめて笑う聖女にぐっと言葉が詰まる。
 嬉しそうに微笑む聖女こいつを見て殺す気が失せるなんて、嗚呼、この俺ともあろう者がほとほと呆れる。

 「あっ、あとね、そういえばね、あの…」
 「……なんだ」

 聖女が更に頬を赤く染めてもじもじと指と指を合わせて視線を泳がせる。

 「実は…ちょっとお掃除しようとしたら、勢い余ってまーちゃんの部屋の壁が崩れちゃった」
 「…はあぁぁぁ!?!?」
 「でもねでもね、埃とかは全部吹っ飛んでったよ。外に」
 「ふざけるなよ貴様…!!だからあれほど自分の怪力について自覚しろと…!!はっ、魔王軍に混じっての訓練はどうしたのだ!?」
 「訓練はちゃんと参加してますよ?皆さんに混じって組手して相手をぼこぼこにしてます」
 「俺が言ったのは訓練で力加減を覚えろということだ!!手加減せずに相手をぼこぼこにしてどうする!!それじゃいつまで経ってもお前は城のあちこちを破壊しまくるだろうが!!」

 訂正。聖女ごりら被害者の会の一員にはなってもいい気がする。
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