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歌姫の国
72、vs女騎士3
しおりを挟む(な、何だ、この赤い魔力は………)
私が詠唱を紡ぐと、真っ赤な魔力が自分の身を包んでいく………それはまるで自身の怒りが具現化したかのような赤銅の灼熱色、金属を精錬するため、融点の高い金属達を溶かし、不純物を取り除き、より純度を高めるため、溶解炉で溶かされ、液状になる銑鉄の色だ。
『ーーーい、いきなりでびっくりしましたよイヴ様』
「机上楼閣の愚女や機械仕掛けの有翼幻獣はロイ様に止められてるから、負担を分担できるこっちを使わせて貰った」
「な、なんだ?、誰と話している?、恐怖で気でも触れたか?」
「ああ、気が狂いそうだよ」
「ーーーッッッッ??!」
(傷がどんどん治癒していく???!)
憤怒の罪、サタンの力を借りると、いきなり魔力を引き出されたサタンは私の心に呼びかけてくる、彼に謝罪する私、どうやら心の中で喋っていたつもりだったが、口に出ていたようだ、女騎士は苦笑しながら嘲る、対する私は魔力を傷に集めて治癒する、刀傷はみるみる小さくなっていき、まるで最初から無かったように消えてしまった、その回復速度は獣人とは比べ物にならない………天使や悪魔はこの程度の傷ならば魔力を集めればいくらでも、あっという間に治すことができるらしい、半信半疑だったが、できてしまったのだから認めないわけにはいかない。
「ーーーッッッッ消えッッッッ??!!」
「ーーーー怒りでさ」
私は女騎士の背後に回り込み、感情の赴くまま殴りつける。
「……残念だったな」
「………」
危機一髪、剣の防御を滑り込ませる女騎士。
「……さっき貰った分返すよ、『一角反撃』!!」
「ーーーー??!!!」
私の右腕に一本の角が生える、瞬間、自分の拳が相手の剣を容易く叩き割り、それだけでは物足りんと言わんばかりに相手に直撃、刹那、女騎士の鎧が斬り裂かれ、そのまま相手の体に斬撃が走る。
「なッッッッ??!、何だこれは………?」
明らかに打撃だったのに、斬撃を受けたような傷に驚愕する女騎士。
「隙あり」
「ガッッッッーー?!!」
呆然としてる女騎士の頭を両足で挟み、そのまま地面に叩き落し、気絶させる。
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