2 / 3
2、お前もか
しおりを挟む「私ね私ね、シンお婆ちゃんみたいにいっぱい、いろんな忍術や忍法を使える立派な忍びになる!!」
「紅葉、立派な忍びってのは、使える忍術や体術、幻術の数で決まるもんじゃないさね」
「?、じゃあ立派な忍びってどんな人なの?」
「まぁ人によって主張は変わると思うが………私は忍び堪えることができる人だと思っとる」
「………忍び……耐える?」
「……………まだ紅葉には難しい話だったね」
………幼い頃の私は祖母の言ってる事は難しく、よく分からなかった…………。
~~~~~~~~~~~~~~~~~ーーーー
「………お婆ちゃん、私は立派な忍びにはなれなかったよ……」
………我慢すると決めたのに、最後の最後で我慢し切れなかった………。
「取り敢えずこれで運ぶか」
いつまでも死体を背負って移動するわけにもいかず、棺桶に入れ、背負うことにした私………ぶっちゃけこれでもかなり不審人物だが、死体を直で持ってるよりはマシと割り切る。
「………つい、きちゃったな…………」
義妹や義父に金をむしり取られる毎日だったが、良い事もあった、養子とはいえ貴族だったので、婚約者ができた、義父の凡ミスで祖母が死に、精神的に追い詰められた私の足は自然と婚約者の元へと向かった。
「………どっちにしろ、話は通しておかないといけないか」
義父をぶん殴ってしまったのだ……どうなるかわかったものではない………せめて婚約者として事前に話を通しておくべきだろう………。
「………先客がいるのかな?」
使用人に婚約者と説明すると快く、屋敷内に入れてくれた、彼の部屋に向かうと……何だか話し声が聞こえてくる。
「気持ちよかった♡」
「俺もだよ♡」
ドアの向こうから聞こえてきたのはアルフレッドと女の声だった……………。
「ーーーーーー!!!」
私は氷の手に心臓を鷲掴みされたような悪寒を感じ、絶句してしまう。
「でもよかったのかいマリアンヌ、家にいた老人が苦しんでいたよう見えたけど………」
「良いのよ、あんな老い先短い老人、未来ある若者の私達が愛を確かめる方がよっぽど大事だわ、悲しむのはきっと金金うるさいオバサンだけよ」
「~~~~巫山戯るなッッッッッッッ!!!!」
少し聞き覚えがある声と感じたが、どうやら声の主はマリアンヌのようだ、言動から察するにコイツも祖母が死にかけていたのを見てみぬフリをしてほったらかしにしたらしい、私から金を毟りとって、祖母を見殺しにして、そんでもってその孫の婚約者と男女の関係になる?、あまりに鬼畜な行為に思わず歯噛みをしながらドアを蹴破って部屋の中へ入る私。
「~ーーモミジ??!!」
「お姉さま??!!」
「………これは一体どういう事なの?、アルフレッド」
いきなり姿を現した私に驚愕する二人。
「あ、い、いやこれはその………」
油汗を浮かべ、言い訳しようとするが、裸で絡み合っている状態では何を言っても私を納得させる事は難しいと、口ごもるアルフレッド。
「あーーあ、バレちゃったか……あんたの想像通りよ、モミジ」
「……………」
謝罪でも反省する様子もない、開き直るマリアンヌ………彼女のその態度に自分の血管が切れたような幻聴が聞こえる。
「ちょ、マリアンヌ、何をーーー」
「何を言ったところで、この状況で言い逃れるのは無理よ…………モミジはただの養子、そんな奴に浮気がバレたところで実子の私の方が立場が上なんだから、そんなにビビる事はないじゃない………それにちょうど良い機会だし、直接言っておいた方がいいじゃないの?」
「な、なるほど……言われてみれば確かにそうか………」
「………?」
ちょうど良い機会とは一体……………。
「すまない、モミジ、俺は彼女との真実の愛に気づいてしまったんだ………だから君との婚約は破棄させてもらう………」
「…………はい???」
………純粋に意味がわからない、何を言っているんだコイツは、真実の愛?、ただお手軽に体を許してくれる、頭も股も緩い義妹との行為が気持ちよかっただけだろう?、私がいるのにという背徳感をスパイスにして、楽しんでいただけだろう?、そんな最低な行為をしておいて真実の愛?、婚約破棄?…………疑問はだんだん殺意に変わっていく、すぐさまコイツらを八つ裂きにしたい衝動を何とか抑える私。
「そういう事、私とアルフレッドは今から愛し合うから、さっさと出て行ってよ、元婚約者さん」
お次は私に見せつけるようにディープキスをかますマリアンヌ、蛇のように舌を絡み付かせ、ねっとりと数秒かけて口づけを味わい、口を離すと、ツゥっと唾の糸が垂れ落ちる。
「……………」
私は無言でその場を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
四季
恋愛
もう好きと思えない? ならおしまいにしましょう。あ、一応言っておきますけど。後からやり直したいとか言っても……無駄ですからね?
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
四季
恋愛
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。
どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
聖女の力は使いたくありません!
三谷朱花
恋愛
目の前に並ぶ、婚約者と、気弱そうに隣に立つ義理の姉の姿に、私はめまいを覚えた。
ここは、私がヒロインの舞台じゃなかったの?
昨日までは、これまでの人生を逆転させて、ヒロインになりあがった自分を自分で褒めていたのに!
どうしてこうなったのか、誰か教えて!
※アルファポリスのみの公開です。
奥様は聖女♡
喜楽直人
ファンタジー
聖女を裏切った国は崩壊した。そうして国は魔獣が跋扈する魔境と化したのだ。
ある地方都市を襲ったスタンピードから人々を救ったのは一人の冒険者だった。彼女は夫婦者の冒険者であるが、戦うのはいつも彼女だけ。周囲は揶揄い夫を嘲るが、それを追い払うのは妻の役目だった。
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
愛しの第一王子殿下
みつまめ つぼみ
恋愛
公爵令嬢アリシアは15歳。三年前に魔王討伐に出かけたゴルテンファル王国の第一王子クラウス一行の帰りを待ちわびていた。
そして帰ってきたクラウス王子は、仲間の訃報を口にし、それと同時に同行していた聖女との婚姻を告げる。
クラウスとの婚約を破棄されたアリシアは、言い寄ってくる第二王子マティアスの手から逃れようと、国外脱出を図るのだった。
そんなアリシアを手助けするフードを目深に被った旅の戦士エドガー。彼とアリシアの逃避行が、今始まる。
その国が滅びたのは
志位斗 茂家波
ファンタジー
3年前、ある事件が起こるその時まで、その国は栄えていた。
だがしかし、その事件以降あっという間に落ちぶれたが、一体どういうことなのだろうか?
それは、考え無しの婚約破棄によるものであったそうだ。
息抜き用婚約破棄物。全6話+オマケの予定。
作者の「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹が登場。というか、これをそっちの乗せたほうが良いんじゃないかと思い中。
誤字脱字があるかもしれません。ないように頑張ってますが、御指摘や改良点があれば受け付けます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる