魔力無しの聖女に何の御用ですか?〜義妹達に国を追い出されて婚約者にも見捨てられる戻ってこい?自由気ままな生活が気に入ったので断固拒否します〜

ターナー

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16、紅の少年

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「…………ここはどこ………?」

ベットで寝ていたはず…………目を開けるとそこは天を突かんばかりの石の塔が乱立した世界だった…………見たことの無い建造物、王族が住む王宮よりも精巧に、緻密に作られている、製造技術すら不明な希少な透明な板を何十枚、何百枚を寸分違わず並べられ、窓がわりにしている塔が幾つも聳え立っている、だが、些か不可解だ、まるで何年も放置された無人の民家のように紅い植物の蔓が塔に絡みついている………まるで拘束具のように見える………。

『グルルルル………』

「ーーー貴方は…………でも…………」

『グルルルル………グラァァッッッ!!!』

「ーーーッッッッッッ??!!!」

そこには私の所有する退魔の剣に宿る聖霊獣だと思われる狼が居た、だがおかしい……見た目はそっくりだが、毛の色が赤だったはずだ……なぜか白い……………不意に銀狼が私に噛みつこうと襲いかかってくる。

『ーーおっと』

『ーーーグラァッッッ??!!!』

『………どうどう』

私に到達する寸前、石の塔に絡みついた蔓達が銀狼に伸びて、手足を縛り付け、口も開けないよう巻きつかれ、空中で身動きが取れなくなる。

「………貴方は………誰?……」

『誰?、何言ってんの、僕だよ、■■■■■■だ』

「………?」

『…………ああ、そうか………まだ………』

いつの間にか背後に居たのはフード付き赤マントを見に纏い、厚い革グローブを手につけている少年、フードを被っているので詳しくは見えないが、幼げながらも整った顔、つボサついた栗毛、襟首の辺りで長い髪を一つに纏めていて、ポニーテールのようになっている、名前を問うが、名前の部分だけノイズがかかったように聞こえない…………私の様子に一人で勝手に納得げに呟く彼。


『………それにしても、いきなり他の聖武器とのリンクを切るから、■■■■■■■■■……いや聞こえないか………この子が暴れ始めちゃったじゃないか、困るよ、世話できないのに餌をお腹いっぱい食べさせたら、最近胃拡張気味なのか、食欲旺盛で制御するのも大変だよ』

「聖武器との、リンク?」

『?、うん、君の退魔の剣が吸収した魔力は他の聖武器へと流れ、強化するために消費されていただろう?』

「え?……そう、なの?」

子供にペットの世話を押し付けられた母親のような口ぶりでぼやく少年………途中なんかサラッととんでもない秘密を言われた気がする。


『ありゃ、結構長い付き合いだったのに、聞かされてなかったんだ………まぁこの秘密が知られたら困るからねぇ、仕方ないのかな』

「………いろいろ聞きたいことがあるけど、その前に貴方の名前を聞かせてよ、まだ教えてもらってない」

『ごめんね、教えたいのは山々なんだけど、教えるわけにはいかないかな………知れば必ず君は不幸になる、知らなくて良い事なんてこの世にはごまんとあるさ』

「……………」

『…………納得いかないって顔だね』

「よくわからないけど………私をあの狼から助けてくれたよね?」

『うん?、まぁそれが僕の仕事だからね』

「確かに貴方の言う通り、この世には知らなくて良い事が溢れてる…………だけど、助けてもらった恩人の名前を知れないのは、もうそれ自体が不幸だよ」

『…………頑固だねぇ、ま、君とは長い付き合いになるだろうし、名前がないと不便か…………それじゃあ、ブランシェットとでも名乗っておこうか………気軽にフランって呼んで』

ゆっくりと優しい声音で語り続ける少年………再度名前を尋ねるも、言い渋る彼………少年改めフランは根負けする形で名乗る。

「ブランシェット…………」

『………うん、話はここまでにしようかな』

「え?、ま、まだ話したいことが山ほど………」

『続きはあっちでしよう』

「?」

私の意識はそこで途絶えた。

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