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3、ガルシア国、第六王子、ロイフォード・ノーザンとの食事

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喉が詰まりそうだ、私だって貴族の娘だ………義理だけど………ま、まぁ偉い方々と上品に食事したことはある………が、このプレッシャーはその比ではない。

「…………」

「そんなに緊張しなくても良いですよ、僕にも王族とは思わず発言してもらって構いません、不敬罪など言いませんから………」

(この状況でリラックスできるわけないだろ)

なんせ、今、一緒に食卓を囲んでいるのは王族、つい先日まで戦場でまずい食料しか食ってない身からするとこの料理達は物凄く美味い、しかし、慣れてない美味と王族と卓を囲んでいるという事実の精神的ストレスに、なんか吐きそうだ。

チラリと相手の顔を盗み見る………このガルシア国の第六王子、ロイフォード・ノーザン様………流れる金髪に碧眼、スラっとした高身長、細くてカッコいいイケメン………確か軍内部にもファンクラブがある程、慕われている存在………もし、二人きりで食事をしたなんて知られたら八つ裂きにされそうだ………。

「弟が失礼しました、なにぶん好奇心が強いものでして………」

「あ、いえ、気にしてませんので」

ロイフォード様の謝罪を適当に流す私。

「全く、弟に頼んだのがいけませんでしたね」

「頼んだ?」

「これは失礼、実は元々、貴女に用事がありまして」

「なるほど、それで、用事というのは?」

「勲章を授与したいのです」

「勲章?」

「はい」

ああ、なるほど、そういえば軍のお偉いさんも私をえらい褒めていたな、勲章くらい授与されるか、だけど……………。

「……………すみませんが、お断りしてもよろしいでしょうか?」

「理由を聞いても?」

不敬罪が怖いが、はいそうですかと肯定するわけにもいかないため、ロイフォード様の王族とか気にしなくて良いという言葉を信じて断る私。

「私なんかに豪華な式を開くぐらいだったら、その分のお金を国民に回してあげてください、別に出世したいわけでもないので、今の立場で十分満足しています」

「なるほど」

……というのはもちろん建前だ、本音はこれ以上偉くなって責任重くなるのも嫌だし、そもそももう結婚相手もいないのだ、これ以上お金を貰っても虚しいだけ、私一人ぐらいだったら十分生きていける貯金はもうたまってるはずだし。

「優しく気高い、素晴らしい女性ですね、貴女は………」

「そんなことないですよ」

少し感心した様子で私を褒めてくる、適当に受け流すもくすぐったさから頬をポリポリ掻く。

「実は勲章授与だけでなく、貴女の結婚式を国を挙げて盛大に祝いたいのですが」

「……………」

「兵士たちに聞いたのですが戦争が終わったら結婚するらしいですね、人生でも指折りの幸せがスタートする式なのです、我が国を勝利へ導いた貴女の結婚式ぐらいは豪華に祝いたいのですが、それも嫌でしょうか?」

「いえ、いやとかそういうわけではなく、婚約者に婚約破棄をされてしまい、結婚式自体ががキャンセルになってしまいました」

「はい?」


私の無言を勘違いしたのか、断ると思ったらしいが、そもそも婚約破棄された私は結婚なんかできない、結婚できないんだから結婚式なんてできるはずもない、そう言うとロイフォード様のさっきまで落ち着いた様子は消え、驚愕に目を見開き、間抜けな声を出す。

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