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第四話
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「そうそう、それで馬車に乗っていた人が誰だか分かるかしら?」
知らないわ。わたくしはまだ転生してなかったもの。
「……あなたよ。正しくはバイオレッタ・スリマーラね。お父様と早く会いたいから、そんなの放っておきなさいと言ったらしいわよ。もしかして、記憶にあるのかしら」
知らない。
「まあ、その当時は転生していなかっただろうからあなたに言ってもしょうがないでしょうね。姉も元気にすごしていることだし。
それで、ちょうど5年前。王家からスリマーラ公爵家の密通の調査を依頼されたわ。爵位は低くても、情報収集にたけ、建国当初からこの国に忠誠を誓う意外と歴史のある家だものね。この隣国との密通、実は攻略本に書いてあったのよ。ゲームのその後として、バイオレッタが追放された後、公爵の密通が明らかになるという話が載っていた。そして、私たちはついにゲームの舞台、王立学園に入学するのよね。そのとき、まだ私はここがゲームなのか小説なのか分からなかったけど、調査の報告もあって王太子殿下とは親しくさせていただいていたわ。でも、決して恋愛関係になってはいない。
学園に入学して私は当たり前のことに気づいた。この世界がゲームの中でも小説の中でも私も、周りの人たちも生きている。確かにこの世界はゲームや攻略本どおりのことが起きているわ。でも、それが何?前世の私たちと変わらず、この世界の人たちもただ美しいだけではなく、喜ぶし、悲しむわ。そんな当たり前のことに私はあなたのおかげで気づいたの」
何が言いたいの?
「あなたはどこまでも、この世界をゲームして見ているわ。だから、学園に入学しても、勉強をせず、贅沢三昧ですごしていた。自分に従う子だけをまわりに侍らせてね。気に入らないことがあれば父である公爵に言って解決してもらった。解決策が、罪のない子の退学でもあなたは気にしていなかったわ。あなたを見てすぐに転生者、私と同じ立場だと分かったのよ。
ゲームの中でさえ、悪役令嬢バイオレッタ・スリマーラは公爵令嬢として、学力も振る舞いもスタイルも洗練されたものだった。それなのにあなたはどうなの?ずいぶんと醜い姿だけど……、公爵家お抱えの料理人は腕がいいのね」
……私は醜くないわ……。
「まわりの方がどう見てるかきっとわからないでしょうね。あなたはずっと現実を見ていないもの。でも、これからはこの世界が現実であることを、嫌というほど思いしらされるから安心していいわよ。反逆罪は20年間の強制労働のすえ死刑だったかしらね。すごいわねこの国。死刑が認められていた日本でさえ、死刑囚は穏やかに過ごせたそうなのに20年もの強制労働なんて、救いがないわね。あ、もちろん女、それも貴族の女性はしっかり配慮されているから大丈夫よ。力がないのは分かっているから、強制労働所内で囚人たちを慰めるだけらしいわ。よかったわね」
全部でたらめにきまってる。お父様が何かしたとしても、わたくし何もしてないもの。それに、わたくしに何かあったら隣国の王太子さまが助けてくれるわ。
「そうそう、なぜあなたも捕まるのか言っていなかったわ。あなたが休暇のたびに公爵家の領地にある別荘で隣国の王太子と会っていたわね。そのときに公爵は密談していたの。あなたはただ王太子とお茶をしていただけだったけど、普通ならそう考えないわね。あなたも関わっていると思うわ。それに、あなたがきているそのドレス、ずいぶん派手でフリルが多いけど、それ、密輸入で入ってきた絹を使ってあるのよ。後は、娘と妻をひき逃げした犯人を憎む、私の父のアランダ男爵がやってくれたわ。その結果がこれよ」
ほら、やっぱりわたくしは関係ないじゃない。わたくしの前で暴露しちゃうなんてばかね。裁判でそのことを言えばあなた、おわりじゃない。
「ふふふ、裁判なんてやるわけないでしょ。私がそんな簡単にあなたに暴露するわけないじゃない。きちんと勉強していないバイオレッタ様に教えてあげましょう。
国王陛下、王太子殿下、両名が認めた場合、反逆罪の裁判はおかなわれず、即、刑が執行される」
……。
「もうすぐ魔法もきれる。さあ、お別れの時間ですわ。これからは、現実としてこの世界をお楽しみください」
なぜ、わたくしは失敗したの?悪役令嬢はざまぁするのでしょう。
「そうでした。最後に言い忘れておりましたわ。
隣国の王太子は3年前に婚約しておりますわ。現在も婚約者との仲は良好だとか。
残念でしたわね。
ちなみにその婚約者とは私のことですのよ。すべてはスリマーラ公爵家、いえ、あなたに私が断罪されないために仕組んだこと。もとより、隣国が公爵家に協力してこの王国を倒す利点なんてありませんわ。
自分だけが特別な存在、なんて、そんなことはあるわけない。すべてが王道、テンプレート、そんなつまらない世界で私は生きていたくない」
嘘よ。わたくしは公爵令嬢よ。ざまぁをするの。
「衛兵、早くスリマーラ嬢を連れて行け。多少手荒に扱っても構わない。彼女はもう公爵令嬢でないからな」
知らないわ。わたくしはまだ転生してなかったもの。
「……あなたよ。正しくはバイオレッタ・スリマーラね。お父様と早く会いたいから、そんなの放っておきなさいと言ったらしいわよ。もしかして、記憶にあるのかしら」
知らない。
「まあ、その当時は転生していなかっただろうからあなたに言ってもしょうがないでしょうね。姉も元気にすごしていることだし。
それで、ちょうど5年前。王家からスリマーラ公爵家の密通の調査を依頼されたわ。爵位は低くても、情報収集にたけ、建国当初からこの国に忠誠を誓う意外と歴史のある家だものね。この隣国との密通、実は攻略本に書いてあったのよ。ゲームのその後として、バイオレッタが追放された後、公爵の密通が明らかになるという話が載っていた。そして、私たちはついにゲームの舞台、王立学園に入学するのよね。そのとき、まだ私はここがゲームなのか小説なのか分からなかったけど、調査の報告もあって王太子殿下とは親しくさせていただいていたわ。でも、決して恋愛関係になってはいない。
学園に入学して私は当たり前のことに気づいた。この世界がゲームの中でも小説の中でも私も、周りの人たちも生きている。確かにこの世界はゲームや攻略本どおりのことが起きているわ。でも、それが何?前世の私たちと変わらず、この世界の人たちもただ美しいだけではなく、喜ぶし、悲しむわ。そんな当たり前のことに私はあなたのおかげで気づいたの」
何が言いたいの?
「あなたはどこまでも、この世界をゲームして見ているわ。だから、学園に入学しても、勉強をせず、贅沢三昧ですごしていた。自分に従う子だけをまわりに侍らせてね。気に入らないことがあれば父である公爵に言って解決してもらった。解決策が、罪のない子の退学でもあなたは気にしていなかったわ。あなたを見てすぐに転生者、私と同じ立場だと分かったのよ。
ゲームの中でさえ、悪役令嬢バイオレッタ・スリマーラは公爵令嬢として、学力も振る舞いもスタイルも洗練されたものだった。それなのにあなたはどうなの?ずいぶんと醜い姿だけど……、公爵家お抱えの料理人は腕がいいのね」
……私は醜くないわ……。
「まわりの方がどう見てるかきっとわからないでしょうね。あなたはずっと現実を見ていないもの。でも、これからはこの世界が現実であることを、嫌というほど思いしらされるから安心していいわよ。反逆罪は20年間の強制労働のすえ死刑だったかしらね。すごいわねこの国。死刑が認められていた日本でさえ、死刑囚は穏やかに過ごせたそうなのに20年もの強制労働なんて、救いがないわね。あ、もちろん女、それも貴族の女性はしっかり配慮されているから大丈夫よ。力がないのは分かっているから、強制労働所内で囚人たちを慰めるだけらしいわ。よかったわね」
全部でたらめにきまってる。お父様が何かしたとしても、わたくし何もしてないもの。それに、わたくしに何かあったら隣国の王太子さまが助けてくれるわ。
「そうそう、なぜあなたも捕まるのか言っていなかったわ。あなたが休暇のたびに公爵家の領地にある別荘で隣国の王太子と会っていたわね。そのときに公爵は密談していたの。あなたはただ王太子とお茶をしていただけだったけど、普通ならそう考えないわね。あなたも関わっていると思うわ。それに、あなたがきているそのドレス、ずいぶん派手でフリルが多いけど、それ、密輸入で入ってきた絹を使ってあるのよ。後は、娘と妻をひき逃げした犯人を憎む、私の父のアランダ男爵がやってくれたわ。その結果がこれよ」
ほら、やっぱりわたくしは関係ないじゃない。わたくしの前で暴露しちゃうなんてばかね。裁判でそのことを言えばあなた、おわりじゃない。
「ふふふ、裁判なんてやるわけないでしょ。私がそんな簡単にあなたに暴露するわけないじゃない。きちんと勉強していないバイオレッタ様に教えてあげましょう。
国王陛下、王太子殿下、両名が認めた場合、反逆罪の裁判はおかなわれず、即、刑が執行される」
……。
「もうすぐ魔法もきれる。さあ、お別れの時間ですわ。これからは、現実としてこの世界をお楽しみください」
なぜ、わたくしは失敗したの?悪役令嬢はざまぁするのでしょう。
「そうでした。最後に言い忘れておりましたわ。
隣国の王太子は3年前に婚約しておりますわ。現在も婚約者との仲は良好だとか。
残念でしたわね。
ちなみにその婚約者とは私のことですのよ。すべてはスリマーラ公爵家、いえ、あなたに私が断罪されないために仕組んだこと。もとより、隣国が公爵家に協力してこの王国を倒す利点なんてありませんわ。
自分だけが特別な存在、なんて、そんなことはあるわけない。すべてが王道、テンプレート、そんなつまらない世界で私は生きていたくない」
嘘よ。わたくしは公爵令嬢よ。ざまぁをするの。
「衛兵、早くスリマーラ嬢を連れて行け。多少手荒に扱っても構わない。彼女はもう公爵令嬢でないからな」
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