用心棒

りーた

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プロローグ

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 レオが街道を都に向かって歩き丁度橋に差し掛かったとき、身分の良さそうな牛車が隣の橋を通ったことがレオの運命を変えた

 レオの通っている橋は平民用の橋で、ところどころ板が抜けているおり足元には蒼糸川が流れているのが見える
 蒼流川はその名の通り普段は蒼く透き通った水の流れる綺麗な川なのだが、ここ最近あった大嵐の所為で茶色く濁った水がものすごい勢いで流れておりとても恐ろしい光景が足元に広がっていた

 寄れて擦り切れた旅衣を着て、荷物の入った革袋を背負い、短槍を肩に担ぎながらながら歩いているレオは、そんな川へ一切の恐怖も持たず、ただ黙々と目的地へ向かって歩いていた
 レオは今年で28歳、背が低く小柄だが、柔軟な筋肉を持つ体をしている
 髪は短くボサボサで、肌は日に焼けてている少し童顔ではあり、優しそうな顔をしているがどこか一般人にはない雰囲気を持っており、武に長けた人が見ればその強さに気づくだろう

 レオは橋を渡ろうとすると後ろから煌びやかな牛車が十数人の家来と共に来ることに気づいた

 (あれは第3皇子の牛車か、今は国内視察からの帰りかな?しかしめんどうだな)

 レオは少し考えながら土下座をして通り過ぎていくのを待った
 レオ自身はこの国の民ではなく、この国の神話にも興味がないのでここまでする必要はなかったのだが、周りにいるであろう近衛に不敬罪であると絡まれてはたまらないと思ったのである

 やっと皇子の一行が通り過ぎたと感じ、レオは立ち上がって先を急ごうとしたその時だった
 突然その皇子の一行の方から悲鳴が上がったそしてちらっとレオがその一行の方を見た瞬間、小さい影が牛車から川へ放り出され落ちていくのを見た、どうやら牛車が壊れてその振動で乗っていた皇子が振り落とされたらしかった

 そこからのレオの動きは早かった

 荷物と旅衣の上着を脱ぎ、荷物から金具のついた縄を取りだすと金具を橋を吊っている太い縄に固定して反対側を自分に括り付けて激しい川の流れの中に飛び込んだ
 とてつもない衝撃がレオの体を襲い、意識を持ってかれそうになるが必死に堪える
 やっとのことで水から顔を出し方向を確認してこちらの方に流れてくる綺麗な布の塊の方へ向かう
 しかし、小柄であるレオは自分より少し小さいだけの皇子を救うのはとても難しいことだった

 (どうか暴れないでくれよ)

その願いが通じたのか、川に落ちた皇子は気を失っておりなんとか流されながらも岸に辿り着くことができた
 なんとか重い体を動かして皇子を岸にあげ、皇子の気道を確保すると、近衛兵が近づいてくるのが見えた

(めんどくさい事になってしまったなぁ、まぁ成るように成るか)
 レオはため息をついた

 レオは当然すぐに解放されるわけもなく、なんやかんや事情聴取や口止めやらの話を長くされて、その後、橋の上に置きっぱなしだったものを回収しにいくなどをすると終わる頃には日も暮れかけてしまい、野宿することになってしまった

(今日は宿屋に泊まれると思っていたんだがな)
少しガッカリしながら、しかし皇子を助けられたことに満足するレオだった


 

その夜、レオは第3皇子の構える陣の中に呼び出された

 陣の中に入った瞬間、目の前の人物を見てレオは唖然とした

(えっっっ!?)
 
レオが驚くのもしかたなかった
何かあった時でも普通、下々の者に対しては、現人神であるとされている皇族から何かすることはない
 あっても代理の者が謝礼を払うかお礼を言うだけであるはずだった
 
しかしレオの目の前にいたのは先程助け出した第3皇子だったのである
 
(やれやれ、少し面倒ごとを引き当ててしまったかもしれないな)

 レオはため息をついた

 だが、この出会いがどれほど自分の人生に影響を及ぼすのかを、彼は知る由もなかったが、これは、すべてのはじまりに過ぎなかったのである
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