王道わんこの奮闘記（仮）

新入生歓迎会

12

side春

ーガラガラガラッ

「春様！」
「おはようございます」
「ん…おは…よ…」

おれが教室に入ると、数人の生徒が穏やかに挨拶をしてくれた。
おれがあまり大きな声が得意でないことを知っているからか、俺が来てから教室の音のボリュームは少し下がったが、それでも1年S組の教室は今日も賑やかだ。

ーおれが倒れちゃった入学式から早くも2週間がたった。
皆がおれの事をふしぎに思ってるかもしれないと思っていたけど、れおがあの場で「書記のハルは急な体調不良で安静にしている。このことについてはあまり触れないで普通に接してやってくれ」と伝えてくれたみたいで、教室に入っると心配そうな目で見られるが、その後すぐにみんなが気を使って目を逸らしていた。

その事がおれには凄いありがたかった。

そんなこんなで高校1年生のスタートダッシュは好調に切れたようだ。
とは言っても、俺たちがいるS組は内部生がほとんどなので、見知った顔ばかりだったというのも、安心して過ごせた理由だ。

と、自分の席に向かいながらここ2週間のことを思い出していると、

「はるちゃん！大変だよ！！」
「「大変大変！」」

そう言って忙しく教室に入ってきたのあと双子。
3人は僕の席まで来ると口を揃えてこう言った。

「「「来週、転校生が来るんだって！！」」」