王道わんこの奮闘記（仮）

新入生歓迎会

19

えっと…？
今誰か悪口言ってたのかな？確かに不潔って聞こえたような気はするけど…
転校生くん耳いいなあ…

でもこの場でそれを言っちゃう勇気もすごいと思う。おれなら絶対に言えない。
ていうかこの空気で悪口言いましたって出てくる子いるのかな？

と考えていると、そんな空気を変えるように鷹野先生がもう1人にも自己紹介を促した。

「初めまして。僕は坂下詩乃と申します。これからよろしくお願いします」

ーこっちの子は普通そうな子で良かった。
仲良くなれるかも…

愛瑠のせいでカオスと化した教室の雰囲気が少し元に戻った頃、一限目が始まる鐘が鳴った。
鷹野先生は坂下くんと神崎くんに何かを告げると教室を出ていった。

坂下くんは先生に言われたであろうおれの隣の席に座って授業の準備を始めた。
転校してきてまだ用具がないのだろう。
困ったようにおれを見ていたので、

「きょ…か…しょ…な…？」
「許可証…？ああ、教科書ですね！あ、ないです！ありがとうございます！」
「よか…た」
「えーと、お名前は…？」
「そ…か…おれ、眞中…春…」
「名前は聞こえる…！眞中くんですね、良ければ下の名前でも？」
「ん…！おれ…も…しのく…て…よぶ…！」
「分かりました！」

まだ一限の先生は来ていないようだ。
2人で話していると、前の席ののあが話しかけてきた。

「坂下くん！僕は大西ノアっていうんだ！よろしくね！あと、はるちゃんは口下手というか話すのが苦手だから、勘弁してやって！」
「あ、大丈夫ですよ、分かってるんで！」
「？そっか。あと、僕達生徒会やってるんだよね」
「春くんと大西くんでですか？」
「そうそう。ていうか僕もノアでいいよ～」
「じゃあ春くんは書記でノアくんは会計かな？」
「え、せいかーい！なんでわかったの？」
「ふふっ勘かな？」

2人が楽しそうに話しているのを見ていると、先生が入ってきた。