王道わんこの奮闘記（仮）

新入生歓迎会

18

「お前らー席つけー」

「キャー！鷹野先生ー！！抱いてー！」
「今日もかっこいいですー！」
「ホストだねぇ」

もう入学式から3週間以上経っているのに、毎日のように先生への歓声が止まない。
しかし、鷹野先生もそれに慣れきっており、なんとも思ってないように連絡事項を話し始めた。
今日時間割変更で数学自習になるんだ…

そして、連絡事項を言い終わった鷹野先生がみんなに期待されていた転校生について告げる。

「えーとみんな知ってるみたいだけど今日は転校生達が来てる」

その鷹野先生の言葉にクラスは騒然とした。

「え、転校生達！？」
「え1人じゃないの？？」
「かっこいいかな！？」
「かっこい人と可愛い子だといいなあ！」
「おおう…2人か…非王道ですなあ」
「これ片方はアンチなんじゃ…」
「そんなの考えたくない…」

「静かにしろよーじゃあ、入ってきていいぞ」

鷹野先生がそう言うと、ガラッと大きな音を立てて扉を開けて入ってきた2人。
1人はもじゃもじゃとしててまるでマリモのような髪型をしてる。
あれ、なんだっけ…？アフロ？だっけ…でもちょっと違うような…？まあいっか
それに、目が見えない瓶底メガネをしているので、どこか気味が悪いように見えてしまう。
ゆうからは言動とかしか聞いてなかったけどこんな感じの見た目なんだ…
見た目で判断するのもあれだけどあんまり仲良くなれなさそう…
もう1人は、ふわふわとした水色の髪にパッチリとした目、大きめのマスクをつけて顔の半分は見えないけど多分可愛いんだろうなといった印象の可愛い男の子だった。

鷹野先生が自己紹介を促すと、マリモ頭の方の子が大きな声で自己紹介を始めた。

「俺の名前は神崎愛瑠！！よろしくな！！」

あまりにも大きな声だったので、おれはびっくりして座りながら飛び跳ねてしまった。
クラスの人達は、

「声デカ…びっくりしたあ…」
「ていうかあの髪型なんだろ…」
「ちょっと不潔に見えちゃう…」
「王道転校生ktkrー！！」

大半はおれと同じ反応してるけど一部の人は喜んでた。なんでだろ？
そう思ってみんなを見てると、

「人の悪口言うやつは嫌いだ！！だから、俺の事悪く行った奴らは嫌いだ！今すぐに謝らなかったら友達にならないからな！！」

そう言った瞬間、教室の空気は凍りついた。