王道わんこの奮闘記（仮）

新入生歓迎会

17

春side

扉がガラガラと音を立てて開いた。
入ってきたのは今日転校生の迎えがあると言っていたゆうとあきだった。

ゆうはとても疲れた顔をしており、背中にはどんよりとしたオーラが漂っていた。
それに対してあきは、どんよりとしたゆうを励ますような苦笑いをしていた。

ー何かあったのかな？

俺と同じように思ったみたいで、前の席にいたのあが、

「ゆうちゃんすっごい疲れてるねぇ…転校生と何かあったのかな？」
「わか…な…け…ど…げん…き…づ…ける…！」
「そうだね！元気付けなきゃ！！」

と話しているとゆうの方からこっちへやってきてくれたみたいで、

「今朝はドッと疲れました…春…癒してください…」
「ん…！」
「あちゃー…ゆうちゃんがこう言う時は本当に参ってる時だからなあ…ほんとに何があったのぉ…？」
「聞いてくださいよ…実は…」

と、そこから聞いた話はとても衝撃的だった。
え、転校生って門を登ってくるんだ…

「初対面の人に敬語使わずに、しかも愛想笑いを気持ち悪いってなんなんですか！？こっちだって無理矢理笑ってますよ！それは！無理やりにでも笑ってないとあなたの相手なんかやってられませんからね！！」

ゆうは周りの人にバレてはいけないので小声でキレるという器用なことをしている。
俺に出来ることってなんだろう…
そう考えて、出てきたことは、

「ゆ…おい…で…」
「？はい」
「ぎゅ…」
「！？」

おれの無駄に大きい体で包み込んであげること！
こうしてると安心出来るんだって！
ふゆが言ってた！

「よく…が…ばっ…た…！え…らい…！」
「ああ…ああ…」

様子がおかしくなって喋れなくなっちゃったゆう。
どうしたんだろうと思ってゆうをみると、顔が赤くになっていた。

「…ありがとうございます。もう大丈夫ですよ」

次の瞬間にはいつものゆうに戻っていたけど、どこかスッキリしたような、どこか嬉しいような顔でこっちを見てくれた。
良かった。

「結局、」
「これから、」
「「どうするの～？？」」

と途中から話を聞いていたらしい双子がどうするのかと聞いたところで教室の扉が空いて鷹野先生が入ってきた。