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第1章 雪解けと嵐
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しおりを挟む違法な課税や処罰、公金横領など、今まで国王のもと甘い汁を吸ってきた者たちの罪がつまびらかにされていく。
この場に参席している者たちと違い、両親、兄弟、宰相、侍女たちと知っている者たちの名前が続いていく。
身近だった人々の行く末を知らせることで、フレアの心を折っていくことが目的なのかもしれない。しかし、処罰されていく人々に情がわく者はおらず、冷めた目でその場を眺めていた。
強欲者たちの処罰の方針があらかた決まり、会議の議題が内政の立て直しなどこれからのことに移った。
どこそこの領地の状況が特にひどい、あそこの領主を処罰するなら、領主の親族にもまともな人間はいないから誰か適当な人間を探さなければいけない、などと国の現状について確認を進めていく。どこから手を付けるべきか、参席者が各々意見を述べていく。
自分には発言権はおそらくないと思われるので、黙って会議の行く末を眺めていた。
発言の内容や話し方、服装などから判断すると、文官と武官が半分ずつぐらい。そして神官が少し、そんなところか。
彼らの話に耳を傾けていると、あることに気が付いた。この場にいるものの中で、一人だけ周りの様子が違う。この場には風格のある、いかにも手ごわそうな老人たちもいるが、その彼らがまだ年若い青年を立てている。
この反乱の中心を担った人なのかな? よくもまあ、あの若さで束ねられたものだ、と思わず感心した。
なかなか会議は終わらない。今まで会議に参加したことがないので、これが標準的な長さなのかどうか分からないが、もうずいぶんと時間が経つ。フレアをここに参加させたのは、ただ王族だったからで本当にただの会議だったのかな、とか思っていると不意に名前が呼ばれた。
「ミリアーナ様、あなたには天の加護を無くさぬために、ジークフリートの妻になっていただきます」
やっぱり……。王城に呼ばれた時から、想像ついていたことだ。
「ジークフリートと結婚していただきます。よろしいでしょうか」
無反応のフレアの様子に焦れたのか、再度告げられる。
「私に拒否権はあるのですか?」
誰も答えない。無言こそが返事であろう。
この瞬間、フレア・ミアルは完全に殺された。
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