二人の魔法使い ~死が二人を分かつまで~

渡邊まさふみ

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プロローグ

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 長い詠唱が終わり、床に描かれた魔法陣から光が生まれる。
 部屋一杯に満ちた光は、瞬く間に収束し、魔法陣の中心で白く輝く球体を構成し、浮遊する。

「死が二人を分かつまで」

 彼女がそっと呟くと、揺らめく光を纏った二つの球体へと分かれ、ひとつは彼女に、もうひとつは僕の胸に吸い込まれる。

 胸に光が満ちる

 暖かい……

「これで今日から君は私の唯一無二の弟子よ。文字通り、どちらかに死が訪れるまで私達は永遠に師弟として生きて行く。」

 優しく手を差し伸べる彼女の微笑みは、僕の幼い心に新たな感情を芽生えさせるには十分だった。

 女神とはまさに彼女のことだろう。

「さぁ、立ちなさい」

 そっと差し伸べられた細く美しい手を取ると、長く美しい赤髪をかき上げながら女神が再度微笑む

「修行だ!行くぞ!」

 それから……

 女神の幻想が打ち砕かれるまで早かった

 すぐに二人が分かれそうなんですけど……



 「ギリギリを攻める!」

 いや、ちょっとでもそのギリギリを超えると二度と戻って来られないんですけど……

 いや、何回か超えたな

「三秒ルールでセーフ!」

 という意味の分からない理由で蘇生させられると

 あの微笑みだ

 この笑顔が見られるなら頑張れる!

 なんて思えたのも最初だけだ!!!

「ふざけんな、このやろ!死んだ母さんが川向こうから手招きしてたぞ!」

「限界ギリギリを攻めるのが……」

「とっくに超えてるわ!」

「そ、それは三秒ルールで蘇生されたからセーフなの!」

「だからそのルールなんなんだ!てか、三秒なんてとっくに超えてるだろ!」

俺大丈夫なの???



「お腹減ったー!」

「あっ?」

「君の師匠は夕飯をご所望なのだが」

「俺、今生き返ったばかりなんだけど?」

 つい先ほど、常連となったギリギリの向こう側にちょいと行って来た……
 いつの間にか知り合いが出来るぐらい頻繁に通ってる。

 蘇生魔法が行使され無理やり引き戻されると動き出した心臓がようやく血液を一周させる。
 この時が一番負荷がかかるのでキツイのだが、自己中の極みに関係などあるだろうか。

 ……無いな

「もう一度あっち行ってくる?」

 あっ、これダメなやつだ……

「今すぐ用意します!材料は……」

 ある訳無いか……

「狩るのも修行!不肖の弟子の為に我慢してたんだから、さっさと行く!」

「火ぐらい起こしとけよな」

 せめてもの捨て台詞を吐きながら身体強化魔法をかけて出て行く。

 捨て台詞なのか?とも思うが、これだけ空気の薄い中では、まだ未熟な俺では火を点けるのも大変なのだ。
 というよりも、思ったことをそのまま言った後が怖い。

 それよりも食材調達の方が大変だしな……

 本日何度目かの限界ギリギリ目指して突撃だ!

「おらぁ!死にさらせ!」



修行って過酷……

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